当館の所蔵資料から、「今市報徳農事実行組合」が栃木県の団体であるという確かな情報は確認できませんでした。
■以下の資料から埼玉県内にも「今市」があることを確認しました。
・『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』(「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編 角川書店 1980)
p.118-119 「いまいち 今市〈寄居町〉」「いまいちむら 今市村〈越生町〉」と「いまいちむら 今市村〈越生町〉」の項があります。また、今市村〈越生町〉は明治6年に越生村と改称したとあります。
・『日本歴史地名大系 11 埼玉県の地名』(平凡社 1993)
p.350-351 「今市村 現 越生町越生・越生東」
p.799-800 「今市村 現 寄居町今市」
■栃木県内の農事実行組合について記述を確認しました。
・『栃木県農業団体史』(栃木県農務部/編、発行 1954)
p.526-528 「第五編 日華事変以降 団体統合まで」「第一章 日華事変と産業組合拡充第二次計画」の「第三節 農事実行組合の整備強化運動」項に、昭和8年から16年までの農事実行組合数(組合員数)が記述されています。
・『栃木県史 通史7 近現代 2』(栃木県史編さん委員会/編 栃木県 1982)
p.839-842 「第五章 大正・昭和前期の産業」「第八節 戦時農業統制の実態」「一 戦時農業統制機構の整備」に「農事実行組合の整備」の項があります。
・『今市市旧町村郷土誌』(今市市歴史民俗資料館/編、発行 2001)
p.58 「今市町郷土地誌」「第二編 人文編」「第九章 産業団体」「今市町農会」の「三、指導督励機関」項に、農事実行組合の組合数と一組合の戸数が記述されています。
・『いまいち市史 通史編 6』(今市市史編さん委員会/編 今市市 2005)
p.188-191「第三章 今市の大正・昭和」「第二節 好況から不況・戦時統制へ」「七 農業恐慌と経済更生運動」に「副業と農事実行組合」の項があります。
また、今市の報徳運動について「第三章 今市の大正・昭和」「第五節 文化活動」に「二 報徳運動の展開」(p.287-302)の項があります。
・『いまいち市史 史料編 近現代6』(今市市史編さん委員会/編 今市市 2000)
お探しの組合名とは異なりますが、今市市内に「報徳」と付く農事事項組合連合会があったことが確認できました。
p.255-259 「第二章 大正・昭和前期の教育と文化」「第十節 二宮神社と報徳運動」に「110 昭和八年六月 大沢村報徳主義青年農事実行組合会会則」の項があります。
■栃木県外の報徳運動および報徳農事実行組合について以下の資料に記述がありました。
・『報徳運動100年のあゆみ』(八木重樹/著 緑蔭書房 1987)
報徳主義の全国への広まりについて確認できます。
p.242-245 「第三編 大日本報徳社史編」「第四章 大日本報徳社(戦前・‘11~’36)」「第五節 昭和大恐慌と振興報徳運動」の「新興報徳運動」項に新興報徳運動を推進した人物として遠山信一郎が紹介されています。遠山は埼玉県経済部長を歴任していることから、埼玉県内でも報徳主義が推進されていたと推測できます。
・『村は生きている 新生運動の発展と成果』(的場徳造/編 新評論 1959)
山口県厚狭郡小野地区の農山漁村新生運動についてまとめられた資料です。
p.43-44 「第一章 「村づくり」の歴史」「第四節 経済更生運動」の「(二)農事組合の活動」項に、昭和八年の更生運動の際、すでに結成されていた農事実行組合の名称を報徳農事実行組合と改めて報告したとあります。
・『昭和前期の報徳運動と報徳教育 「長所美点」をめぐる「対話」の教育史』(須田将司/著 明誠書林 2021)
「第Ⅰ部 「新興報徳運動」の展開と報徳教 内務省・遠山信一郎に着目して」「第四章 埼玉県における「新興報徳運動」と報徳教育」(p.137-166)、「第Ⅱ部 「新興報徳運動」と報徳教育の伝播」「第六章 栃木県における「新興報徳運動」と報徳教育」(p.211-232)のほか、神奈川県、富山県、北海道、島根県における報徳運動についての項が目次から確認できます。
また、国立国会図書館デジタルコレクションより、以下の資料を確認しました。
・『かつらぎ町史 近代史料編』(かつらぎ町史編集委員会/編 かつらぎ町 1995)
※利用登録をした図書館・個人に公開されている資料です。
https://dl.ndl.go.jp/pid/9576761 (2022.12.22確認)
p.1252-1253(664コマ) 「史料解説」「Ⅳ 昭和戦前期のかつらぎ」「昭和恐慌化の農村」に「(2)報德実行組合」の項があります。明治30年代に農事実行組合が各地に普及、再編成されたとあります。