レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/05/19
- 登録日時
- 2011/08/03 02:00
- 更新日時
- 2011/09/27 19:17
- 管理番号
- 埼熊-2011-051
- 質問
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解決
『カトリック神学への招き』(増田祐志編 上智大学出版)のp242(倫理神学 竹内修一著部分)にトマス・アクィナスの説「三つの徳」のうち、知的徳(知恵・知識・直知)という記述があるが、そのうちの〈直知〉の意味と読み方を知りたい。
- 回答
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《NDL-OPAC(雑索)》や《自館目録》で、他の論文や図書のタイトル等に使用されている〈直知〉という語の読みを調べると、いずれも〈チョクチ〉であることから、読みは〈チョクチ〉と推定される。
〈直知〉の意味について記述のあった以下の資料を紹介した。
『トマス・アクィナス 思想学説全書』(稲垣良典著 勁草書房 1979)
p142-143に〈直知〉についての解説あり。
読み仮名はないが、巻末索引のタ行に〈直知〉あり。
『西洋哲学史の再構築に向けて』(哲学史研究会編 昭和堂 2000)
p160-180「スコトゥス、オッカムの直知認識(notitia intuitiva)と抽象認識論についての解説があるが、トマス・アクィナスとは解釈が異なる可能性あり。巻末索引タ行に〈直知〉あり。読み仮名なし。
『中世哲学を学ぶ人のために』(世界思想社 2005)
オッカムの直知理論。トマス・アクィナスとの関連については記述なし。
p129「事物の直知認識とは、その知のちからによって事物が存在するか否かが認識されることが可能であり、もし事物が存在するならば、知性は直ちに事物が存在すると判断し、事物が存在することを明証的に認識するところの知である。」
巻末の「用語集」にも「直知と抽象知」の解説あり。
- 回答プロセス
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思想事典および思想に関係する資料を調査する。
『岩波哲学・思想事典』(岩波書店 1998)
索引に「intellectus」あり。
p1674「中世スコラにおいては、〈感覚(sensatio)〉、〈論証知(ratio)〉、〈理性知(intellectus)〉という序列の観念となって継承された。そこでは〈理性知〉こそ、原理を洞察する精神的直観の働きとして、神の直観にさえ至りうる最高のものであるのに対し~(略)」と記述あり。トマス・アクィナスとの関連は記述なし。「直知」では記述なし。
p1091-1093〈直観 intuitio〉の項に、トマス・アクィナスの「神学大全」に影響を与えたアリストテレスの「ニコマコス倫理学]についての記述はある。
p1093には〈直観知 scientia intituitiva〉の項目があるが、いずれにも、トマス・アクィナスの名は見あたらない。
その他調査済み資料
『日本語大シソーラス』(山口翼編 大修館書店 2003)
『逆引き熟語林』(日外アソシエーツ辞書編集部編 日外アソシエーツ 1992)
『キリスト教神学用語辞典』
『トマス・アクィナス』(講談社 1999)
『トマス・アクィナス「神学大全』(講談社 2009)
『トマス・アクィナスの倫理思想』(創文社 1999)
p226「知性的徳」の項目はあるが、「直知」については記述なし。
『ラルース哲学事典』(弘文堂 1998)
『哲学辞典』(青木書店 1995)
『哲学・論理用語辞典』(三一書房 1995)
『事典哲学の木』(講談社 2002)
『中世哲学の源流』(創文社 1995)
『中世の哲学』(岩波書店 2010)
- 事前調査事項
- NDC
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- 中世哲学 (132 9版)
- 参考資料
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- 『トマス・アクィナス 思想学説全書』(稲垣良典著 勁草書房 1979)
- 『西洋哲学史の再構築に向けて』(哲学史研究会編 昭和堂 2000)
- 『中世哲 学を学ぶ人のために』(世界思想社 2005)
- キーワード
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- 神学
- Aquinas Thomas(アクィナス トマス)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000089480