平成31年(2019年)に県立長野図書館3階「信州学び・創造ラボ」の開設に伴い、「信州情報探索ゾーン」の象徴資料群として、信濃図書館から寄贈された資料(「信濃図書館寄贈」の印あり)を「信濃図書館」資料群として再編成した。同様に、西沢喜太郎氏寄贈(「西沢喜太郎寄贈」の印あり)のものは、「西沢」資料群、また戦前(1945年以前)に受け入れされたものを「戦前蔵書」資料群として編成しなおした。
現在の資料数は、
信濃図書館 11,875冊
西沢喜太郎 5,865冊
戦前蔵書 23,528冊
となっている。ただし、上記資料群はいわゆる一般図書にあたるもので、現在、当館で郷土資料として登録されているものは、この資料群には入っていないため、実際の数量は不明。
なお、質問のあった2014年当時の回答は、以下のとおり。
当館では資料は永年保存を原則としているのでいったん登録したものについては紛失、その他の理由がなければ、廃棄したとは考えられない。(推察)
『
信濃図書館 和漢図書分類目録』 信濃図書館編・刊 1918 【N029/14】(国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開/最終確認2022.4.14)に記載されているすべての資料を、当館のデータと検索して照合することは困難である。
また、保科五無斎が信濃図書館に寄贈した資料については、『蔵書目録 昭和4年10月現在』 県立長野図書館編・刊 1930 【N029/6/1】 p.135-136の鉱物学の項に掲載された資料のうち、先述の『信濃図書館 和漢図書分類目録』の「5 鉱物学」に掲載されている資料が数件確認できる。また、当館で貴重書庫に1件登録されていない資料があるが、他の所蔵状況については不明。
以下調査状況を報告。
〈開館当時の寄贈資料の状況〉
県立図書館の設立が長野県議会で可決されたのは大正13(1924)年12月。
昭和4(1929)年9月1日に開館。
信濃教育会は信濃図書館の蔵書の一部を同会図書室に残し、その他はすべて(14,624冊と新聞・雑誌996綴)を県立図書館に寄贈。
長野市の書店主西沢喜太郎は図書9,000冊を寄贈。
(『長野市誌第6巻 歴史編近代2』 長野市誌編さん委員会編 長野市 2000【N212/318/6】)
1 当館のデータおよび資料を調査した結果は以下のとおり。
県立図書館の設立が可決されたのは1924年12月のため、直後から開館準備をしたとして、1925/01/01~1930/03/31(昭和4年度末)の受入件数を調査すると13,418冊(内寄贈3,204冊であり、10,214冊が購入分か)となる。
『県立長野図書館概覧』 県立長野図書館編・刊 県立長野図書館 1936【N016/4】p.10によると、昭和4年度の累積蔵書冊数は31,362冊である。
31,362冊から13,418冊を引くと18,214冊となる。この数字は何を意味しているのかわからない。
31,362冊から、購入分10,214冊をひくと21,148冊となる。
14,624冊(信濃図書館寄贈分)と9,000冊(西沢書店分)を足すと23,624冊となる。しかしこれらすべてが初年度に受け入れられたのかはわからない。また資料の状態、重複の状況もあり、すべて登録されたかどうかは不明。
2 長野県立歴史館に移管した資料があるかどうか。
『長野県立歴史館収蔵品目録2;県立長野図書館移管文書2』 長野県立歴史館編 長野県立歴史館 1998 【N208/63/2】p.3、12によると、県立歴史館へ移管した資料は、個人から寄贈、寄託された古文書が主だが、その他に郷土陳列室資料があった。郷土陳列室資料は、県立図書館創立時(昭和4年)から収集に力をいれてきた郷土資料のうち、閲覧に供していた図書類を除き、特別室を設けて陳列してきた、古文書・絵画その他の資料。とあり。
ファイル『郷土陳列室資料14』で移管しなかった資料のうち図書の類を実際に貴重書庫で蔵書印を確認しながら調査。現在残っている陳列室資料のうち数点は信濃図書館の印あり。
これら残存の陳列室資料は所蔵登録されていない。
<新聞雑誌について>
『信濃図書館 和漢図書分類目録』 信濃図書館編 信濃図書館 1918 【N029/14】
p.247「第27門 新聞雑誌(保存するもの)」15件(官報・県含む)のうち『新聞雑誌総合目録 平成8年4月1日現在』【N027/10b】で確認できたもの14件。1誌を除き明治から所蔵しており、信濃図書館からの寄贈資料だと思われる。
『県立長野図書館概覧』 県立長野図書館編・刊 1936 【N016/4】p.11 分類別蔵書(昭和11年4月1日現在)によると、雑誌は133種、新聞は36種となっている。
<保科五無斎の資料について>
『県立長野図書館十年史』 県立長野図書館編・刊 1939【N016/1】p.40「第2資料篇 4 創立全史資料 1 保科百助氏愛蔵鉱物学巻頭由来書」に五無斎がこの書を信濃教育会の図書館に寄贈する所以の記載あり。日付は明治40年4月10日。保科五無斎図書献納章(角印)の掲載あり。
『蔵書目録 昭和4年10月現在』 県立長野図書館編・刊 1930 【N029/6/1】p.135-136の鉱物学の項に掲載された資料のうち、先述の『信濃図書館 和漢図書分類目録』の「5 鉱物学」に掲載されている資料が数件ある。また貴重書庫内にかつて郷土陳列室にあった保科百介愛蔵鉱物学の原書1点(明治40年寄贈)がある。(登録されていない)
『県立長野図書館概覧』 県立長野図書館編・刊 1936 【N016/4】p.11 分類別蔵書(昭和11年4月1日現在)によると自然科学は1,673冊となっている。先述の『県立長野図書館十年史』にはp.69「13 蔵書統計」昭和14年3月末現在の分類別蔵書冊数として、自然科学は1,912冊となっている。
『[信濃教育博物館]収蔵品目録』 信濃教育会編 信濃教育会出版部 1992 【N069/39/2】p.168「保科五無斎」12件記載あり。保科百助の著書2件。他は百助全集、評伝など。p.845-853研究図書室「自然科学」には鉱物学の資料掲載なし。
貴重書庫に保科五無斎図書献納印の押印写真?有。(保科五無斎が信濃図書館に献納した1,735冊に押印された印)