レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/11/02
- 登録日時
- 2022/12/14 00:31
- 更新日時
- 2022/12/14 00:31
- 管理番号
- 6001058553
- 質問
-
解決
笹魚とは何か詳しく知りたい。また昔の人が笹魚を何だと思っていたか知りたい。
- 回答
-
笹魚は虫こぶの一種であることがわかった。
次の資料に笹魚の項目がある。
・『竹類語彙:自然科学から民俗学まで』(室井綽/編 農業図書 1968)
この資料は「国立国会図書館デジタルコレクション」で図書館・個人送信資料として公開されている。
p.57-58(コマ番号:36-37)「ササウオ」
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1382850/37 (2022/11/2 現在)
「アズマザサ、クマイザサ、ネマガリダケなどの葉にササウオタマバエが寄生した虫癭の一種である。その他、ヤダケ、メダケ、モウソウチク、ネザサなどのものは別種の昆虫によるもので小形である。かつては、この魚形をした芽が水中に入ってイワナになるという伝説があった。つぎの狂歌はよくこのことを物語っている。
イワナにはまだならずとも笹魚の ササをすすむる一節となれ 荏翁」
ササウオタマバエやその虫えいについては以下の資料に概要が載っていた。
・『世界大百科事典 11 サ-サン 改訂版』(平凡社 2005)
p.242「ササウオタマバエ」
「双翅目タマバエ科の昆虫。幼虫はササの側芽に長さ4~40cmのタケノコに似た虫えいをつくる。この虫えいは江戸時代から笹魚として知られている。笹魚には、ひとりでに谷川に落ちてイワナになるという伝説があり、橘南谿の≪東遊記≫や木村蒹葭堂の≪蒹葭堂雑録≫(1856)などにはその記述が見られる。また長谷川忠祟はこの伝説に疑問をもち、その構造を調べ、骨も肉もなく焼いても魚の臭気のないことを確かめて<是れ竹の病ならん>と≪飛州志≫(1745ころ)の中に記している。本種の属名Hasegawaiaは彼を記念したものである。成虫はカに似ており、体長5mm、長期休眠性があり、産卵された翌年羽化するものから、4年間休眠し足かけ6年目に羽化するものまでが通常混在する。一つの虫えいに10~50匹の幼虫がそれぞれの幼虫室に入っている。おもに北日本の日本海側に分布する」
ササウオタマバエの幼虫長期休眠時の虫えい(虫こぶ)については以下の資料で詳しく論じられている。
・巣瀬司「ササウオタマバエの長期休眠」『インセクタリゥム.』16(2)<182>(インセクタリゥム編集委員会/編 東京動物園協会 1979.2)
p.4-10(コマ番号:4-6)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2367700/4 (2022/11/2 現在)
なお同資料p.6 図4ではゴール(虫こぶ)の形成過程とタマバエが成虫になるまでの成長過程が図示されている。
この資料は「国立国会図書館デジタルコレクション」で図書館・個人送信資料として公開されている。
その他、ササウオタマバエとその虫こぶ(笹魚)については次の資料が詳しい。
・『日本原色虫えい図鑑』(湯川淳一/編著 全国農村教育協会 1996.6)
p.310-311「E-005 ササウオフシ」
昔、笹魚がどのように考えられていたかについては以下の資料に記載があった。
・『広文庫. 第8冊』(物集高見/著 広文庫刊行会 大正5-7)
この資料は「国立国会図書館デジタルコレクション」で図書館・個人送信資料として公開されている。
p.796-799「さヽうを」(コマ番号:418-419) (2022/11/2 現在)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/969102/418
「百品考」「笈埃随筆」「蒹葭堂雑録」等における笹魚の記述が抜粋されている。
・『俳人仲間』(滝井孝作/著 新潮社 1980)
p.167
「笹魚といふのは、平湯峠の笹やぶの中に何年目かに成る笹の実と云はれ、普通の竹の実よりも太くたくましく、笹の枝にウロコの荒い魚が取付いたかたちに見え、平湯温泉の湯治客がミヤゲに持って帰る例で、平湯の笹魚といはれた」
平湯峠の笹魚については、次の資料に「平湯峠に多き笹魚」の一文があった。
・『飛騨山川』(岡村利平/著 住伊書店 大正15)
この資料は「国立国会図書館デジタルコレクション」で図書館・個人送信資料として公開されている。
p.331(コマ番号:204) (2022/11/2 現在)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1020469/204
[事例作成日:2022年11月2日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 昆虫類 (486 10版)
- 参考資料
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- 世界大百科事典 11 改訂版 平凡社 2005 (242)
- 日本原色虫えい図鑑 湯川/淳一∥編著 全国農村教育協会 1996.6 (310-311)
- 広文庫 第8冊 物集/高見∥著 広文庫刊行会 1925 (796-799)
- 俳人仲間 滝井/孝作∥[著] 新潮社 1980 (167)
- 飛驒山川 改版 岡村/利平∥著 斐太中央印刷所 1926 (331)
- https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1382850/36 (竹類語彙:自然科学から民俗学まで (2022/11/2 現在))
- https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2367700/4 (インセクタリゥム.16(2)(182) (2022/11/2 現在))
- https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/969102/418 (広文庫. 第8冊 (2022/11/2 現在))
- https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1020469/204 (飛騨山川 (2022/11/2 現在))
- キーワード
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- 笹魚(ササウオ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000325680