レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年11月08日
- 登録日時
- 2024/03/19 18:44
- 更新日時
- 2024/03/19 18:44
- 管理番号
- 千県東-2023-0009
- 質問
-
解決
1940年代後半から1960年代前半にかけての全国と千葉県の電気の普及率が知りたい。全国に対して千葉県の普及が進んでいたのか遅れていたのかも知りたい。
- 回答
-
以下の資料に記載がありました。
【資料2】【資料4】【資料5】は千葉県立図書館にあります。
【資料1】【資料3】は国立国会図書館デジタルコレクションで図書館・個人送信限定で公開されています。
未点灯率から電気普及率を知ることができます。
【資料1】『へき地未点灯解消のあゆみ : 僻地未点灯解消記念誌』(僻地未点灯解消記念会 1967)
p30に全体の割合(100%)から未点灯率を引き普及率を算出している記述がありました。昭和23(1948)年頃の電気普及率(推定)が全国98.5%である旨の記述がありました。
p31に47都道府県中、千葉県は18番目に未点灯戸数が多い旨の記述がありました。
p229「17.未点灯部落調査」に昭和23(1948)年と昭和29(1954)年に行った未点灯部落調査の結果が掲載されており、全国と都道府県の未点灯戸数が分かります。ただし、昭和23(1948)年の調査では、千葉県は個別の記載がなく、関東に含まれています。昭和29(1954)年の未点灯戸数は全国223,916戸、千葉県3,033戸でした。
【資料2】『電力百年史 後篇』(政経社 1980)
p229に全国の昭和26(1951)年の未点灯率が1.9%である旨の記述がありました。
p312に全国の昭和37(1962)年の未点灯率が0.25%、昭和40(1965)年度末の未点灯率が0.07%である旨の記述がありました。
【資料3】『電気事業の現状 : 電力白書 昭和39年度』(通商産業省公益事業局編 通商産業調査会 1965)
p37に全国の昭和26(1951)年の未点灯率が1.9%である旨の記述がありました。
p37に全国の昭和36(1961)年の未点灯率が0.36%、昭和37(1962)年の未点灯率が0.23%である旨の記述がありました。
【資料4】『日本統計年鑑 第6回(1954)』(総理府統計局編 日本統計協会 東京 1954)
p199「103府県別未点灯需要状況(昭和26年)」に昭和26(1951)年の全国と都道府県の未点灯戸数と未点灯率の記載がありました。昭和26(1951)年の全国の未点灯率は2.02%、未点灯戸数は305,063戸でした。昭和26(1951)年の千葉の未点灯率は2.71%、未点灯戸数は10,182戸でした。
【資料5】『日本統計年鑑 第8回(1957)』(総理府統計局編 日本統計協会 東京 1957)
p189「101電灯および電力需要(昭和22~31年)」に昭和26(1951)年の全国と都道府県の未点灯率の記載がありました。昭和26(1951)年の未点灯率は全国2.02%、千葉2.71%でした。
※『日本統計年鑑』について、今回は第2回(1950)~第11回(1960)分を確認しました。
・「未点灯戸数と未点灯率の記載」は第6回(1954)に記載がありました。「未点灯率の記載」は第7回(1955・1956)と第8回(1957)に記載があり、その前後の巻には見つかりませんでした。また、いずれの巻も昭和26(1951)年の未点灯率が記載されていました。
【資料1】~【資料5】に記載のあったことをまとめて要約すると次のようになると考えられます。
① 昭和23(1948)年頃の電気普及率(推定)※
全国:98.5%(【資料1】p30より)
千葉県:不明
② 昭和26(1951)年の電気普及率
全国:98.1%(【資料2】p229、【資料3】p37の記述「未点灯率1.9%」より算出)
97.98%(【資料4】p199、【資料5】p189の記述「未点灯率2.02%」より算出)※
千葉県:97.29%(【資料4】p199、【資料5】p189の記述「未点灯率2.71%」より算出)
③ 昭和29(1954)年の未点灯戸数(【資料1】p31、229より)
全国:223,916戸
千葉県:3,033戸
47都道府県中、千葉県は18番目に未点灯戸数が多い旨の記述がありました。
④ 昭和36(1961)年の電気普及率
全国:99.64%(【資料3】p37の記述「未点灯率0.36%」より算出)
千葉県:不明
⑤ 昭和37(1962)年の電気普及率
全国:99.75%(【資料2】p312の記述「未点灯率0.25%」より算出)
99.77%(【資料3】p37の記述「未点灯率0.23%」より算出)※
千葉県:不明
⑥ 昭和40(1965)年度末の電気普及率
全国:99.93%(【資料2】p312の記述「未点灯率0.07%」より算出)
千葉県:不明
※【資料1】p27の記述によると、昭和23(1948)年の調査では山間へき地の部落はかなり調査もれになっているそうです。昭和25(1950)年度以降約5万2千戸の未点灯戸を解消しているにもかかわらず、昭和29(1954)年度の再調査では未点灯部落が逆に増加しているという旨の記述がありました。
※②の全国の電気普及率は【資料2】【資料3】と【資料4】【資料5】で若干の違いがあったので、並列して記載しました。
※⑤の全国の電気普及率も【資料2】と【資料3】で若干の違いがあったので、並列して記載しました。
- 回答プロセス
-
1.レファレンス協同データベースを「電気 普及率」で検索
「明治期の電灯の家庭への普及率について書かれた資料を探している。」
(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000201487)という質問の参考資料(下記資料)を確認。電灯需要家数(契約口数)は確認できたが、普及率や未点灯率は見つからなかった。
『電気事業要覧 第35回』(通商産業省公益事業局編 日本電気協会 1953)
『電気事業要覧 第43回』(通商産業省公益事業局編 日本電気協会 1961)
『日本長期統計総覧 第2巻 企業活動 農林水産業 鉱工業 建設 エネルギー・水』(総務省統計局監修 日本統計協会 2006)
2.統計の参考書を確認
『日本統計総索』(専門図書館協議会編 東洋経済新報社 1959)を確認
電灯需要を調べるための参考書として以下の資料が挙げられていた。内容を確認したが、電灯需要家数(契約口数)は確認できたが、普及率や未点灯率は見つからなかった。
『電気事業要覧 第43回』(通商産業省公益事業局編 日本電気協会 1961)
3.統計類を確認
【資料4】【資料5】を発見。
4.【資料4】【資料5】の出典から、Googleおよび国立国会図書館サーチを「通商産業省 未点灯」「電気事業要覧 未点灯」で検索
【資料3】を発見。
以下の資料は確認したが、該当の記述は見つからなかった。
『電気事業の現状 : 電力白書 昭和45年度』(通商産業省公益事業局編 通商産業調査会 1971)
p253「昭和44年度の未点灯解消実績」→昭和44(1969)年のため、今回の調査の対象外。
『電気事業10年の統計』(通商産業省公益事業局・電気事業連合会編 通商産業省公益事業局[ほか] 1962)→電灯需要家数(契約口数)は確認できたが、普及率や未点灯率は見つからなかった。
5.用語・キーワードを確認
・上記統計で使われている用語「未点灯」「電灯需要」「電力需要」「需要家」の意味を確認するため、Googleおよび当館契約のデータベースJapanKnowledgeを検索。『デジタル大辞泉』(小学館)に「需要家」の意味が記載されていた。「需要家:商品やサービスの供給を受け、利用する者。多く、電気・ガス・水道などの利用者をさしていう。「大口―」「事業―」」
・電力関係の辞典を確認。『産業用語の基礎知識』(自由国民社 1967)に「電灯需要」「電力需要」の意味が記載されていた。p724「電力需要は産業用に使われる電力の需要で、大口電力、小口電、業務用電力、臨時電力、農事用電力、融通補給用電力、建設工事用電力、特殊電力、事業用電力に分かれる。」「電灯需要は家庭用の電力の需要で、定額電灯、従量電灯、大口電灯、臨時電灯に分かれる。」
・「未点灯」の意味は見つからなかった。
6.国立国会図書館サーチを「電気」「電力」「普及」「未点灯」「電灯」などのキーワードを掛け合わせて検索
【資料1】を発見。「未点灯」のおよその意味も記載されていた。
7.540(電気工学)の棚を探索
『よくわかる最新発電・送電の基本と仕組み 現在と次世代の電力システムの概要を網羅 図解入門 How nual Visual Guide Book』(木舟辰平著 秀和システム 2016)を確認。
該当の記載は見つからなかったが、p60の記述から「電気事業連合会」という電力関係機関があることが分かった。
8.電力関係機関・企業のHPを確認
・電気事業連合会のHP「電気事業60年の統計」を確認。、電灯需要家数(契約口数)は確認できたが、普及率や未点灯率は見つからなかった。
・東京電力のHPを確認。「数表でみる東京電力」を確認したが、該当の記述は見つからなかった。
9.東京電力の社史を確認
『関東の電気事業と東京電力 電気事業の創始から東京電力50年への軌跡』(東京電力 2002)
該当の記述は見つからなかったが、p1046「主要参考文献」から【資料2】を発見。
10.千葉県の県史を確認
『千葉県の歴史 通史編近現代3』(千葉県史料研究財団編 千葉県 2009)
目次を中心にp373「第2編 1950年代の千葉県」のp390「電力事業の制約」、p392「東京電力千葉火力発電所の建設」、p479「東京電力の進出と埋立反対運動」などを確認したが、該当の記述は見つからなかった。
『千葉県の歴史 資料編近現代6』(千葉県史料研究財団編 千葉県 2006)
目次を中心に第一部p80「4.住宅地のインフラ整備」、資料編p29「東京電力」などを確認したが、該当の記述は見つからなかった。
※この回答プロセスで紹介した資料の需要家数は主に9電力会社(北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力)が供給している需要家のみであり、その他の電気事業者・自家用電気工作物設置者のものが含まれないため、普及率までは分からなかった。
※未点灯率は、【資料2】p312、『電気事業10年の統計』(通商産業省公益事業局・電気事業連合会編 通商産業省公益事業局[ほか] 1962)p510の記述によると、9電力会社だけでなく、その他事業者の供給区域や小規模自家発電所も調査対象として算出されている。
※ここでいう「自家用電気工作物」「小規模自家発電所」は【資料1】p31、【資料2】p312の記述によると、一般家庭が私財のみで設置したというより、政府や農業関係団体・水力発電関係メーカー・学識経験者なども協力し、農山漁村電気導入促進法に基づく資金の貸付をうけて設置したもののよう。【資料2】p312には、この方法で発電している戸(家庭)を点灯とみなしている旨の記述があった。
※参考資料末尾の数字は当館の資料番号
(インターネット最終アクセス:2024年2月13日)
- 事前調査事項
- NDC
-
- 電気工学 (540 9版)
- 参考資料
-
-
【資料1】『へき地未点灯解消のあゆみ : 僻地未点灯解消記念誌』(僻地未点灯解消記念会 1967)
(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3452280)
(国立国会図書館デジタルコレクション国立国会図書館/図書館・個人送信限定) - 【資料2】『電力百年史 後篇』(政経社 1980)(9103487544)
-
【資料3】『電気事業の現状 : 電力白書 昭和39年度』(通商産業省公益事業局編 通商産業調査会 1965)
(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2478001)
(国立国会図書館デジタルコレクション国立国会図書館/図書館・個人送信限定) - 【資料4】『日本統計年鑑 第6回(1954)』(総理府統計局編 日本統計協会 東京 1954)(9101341970)
- 【資料5】『日本統計年鑑 第8回(1957)』(総理府統計局編 日本統計協会 東京 1957)(9101341999)
-
【資料1】『へき地未点灯解消のあゆみ : 僻地未点灯解消記念誌』(僻地未点灯解消記念会 1967)
- キーワード
-
- 電力(デンリョク)
- 電気(デンキ)
- 電灯(デントウ)
- 普及(フキュウ)
- 未点灯(ミテントウ)
- 千葉県(チバケン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000347686