レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2004/10/13
- 登録日時
- 2005/02/17 02:18
- 更新日時
- 2021/06/04 16:21
- 管理番号
- 埼久-2004-055
- 質問
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未解決
「遠仁者疎途 不苦(富久)者有知」の読み方、意味、由来を知りたい。インターネット検索では複数の情報が見つかったが、活字資料がほしい。
- 回答
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『鉄斎研究 51・58号』にも「福内鬼外図」が掲載されており、表記は「富久者有智 遠仁者疎道」となっている。読み方は「ふくはうち おにはそと」(富久しき者は智あり。仁に遠き者は道を疎んず。)とあるが、意味、由来については記述なし。
『茶席の禅語大辞典』に「不苦者有智」あり。読み方は「智有れば苦しからず」、意味は「どんな逆境にあっても、智恵が有ればそれを乗り切ることができる。だからこそ順境にあっても智恵を磨いておくことが大切である。」とあった。由来と「遠仁者疎途」については記述なし。
以上を連絡する。
備考欄に追記あり。
- 回答プロセス
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『鉄斎研究 総目録』から『鉄斎研究』の該当号を探す。
また、『富岡鉄斎 資料編』等の富岡鉄斎関係資料、『禅語辞典』『茶掛を読み解く』等の禅語関係資料、『仏教法話大事典』等の法話・人生訓関係資料、落語「一目上がり」(別名:「七福神」「軸ほめ」)にも言及部分があることから『古典落語大系』等の落語関係資料にあたった。しかし、由来までは分からなかった。
- 事前調査事項
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照会済機関:鉄斎美術館
富岡鉄斎の作品に「不苦者有智 遠仁者疎道」と書いた作品があることから問い合わせる。「鉄斎研究 70号」掲載の「福内鬼外図」解説の訓読「ふくはうち をにはそと」と、漢文読み「苦しまざる者は智有り。仁に遠き者は道に疎し。」を教えてもらう。
調査済資料:「成語大字苑」「世界の故事・名言・ことわざ」「茶席の禅語句集」「名僧百言」「大宅壮一雑索CD-ROM」
- NDC
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- 各宗 (188 9版)
- 音声.音韻.文字 (811 9版)
- 参考資料
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- 『鉄斎研究 51・58・70号』
- 『茶席の禅語大辞典』(有馬頼底 淡交社 2002)
- キーワード
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- 禅宗-語録
- 富岡 鉄斎(トミオカ テッサイ)
- 語彙-漢字-日本語
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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追記(2021年6月4日)
一般の方から情報提供があり、下記の資料を確認した。
『百家説林 正編 上』(吉川弘文館 1905)
p1256「志りうこと」の項に、屋代弘賢から「富久者有智。遠仁者疏德の十字」が書かれた書を配られたとの記述あり。
『百家説林 正編 下』(吉川弘文館 1905)
p914「金剛談」の項に、屋代弘賢から「富久者有智。遠仁者疎德」の十字が書かれた書を配られたとの記述あり。この言葉は屋代弘賢の造語ではないが元の作者は不明で、草案は「不苦者有智」だったとの記述あり。
《国立国会図書館デジタルコレクション》「鼠璞十種 第二」(国書刊行会編 国書刊行会 1916)p141「道聽塗說 第廿一編」の項に、屋代翁が福は内、鬼は外を富久者有智、遠仁者疎德と書いたとの記述あり。読み方は「ふくはうち、おにはそと」とあり。(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1767733 国立国会図書館)79コマ インターネット公開(保護期間満了)
『風俗画報 第393号』(東陽堂 1909.2)(県内大学図書館所蔵)
p4「歲事典禮 追儺の詞」の項に、「屋代弘賢ある年。鬼は外福は内という詞を。意義ある萬葉假名に綴り。之を印刻し諸友に頒ちしよし。その文字左のごとし。 遠仁者疎德 富久者有智 即ち仁に遠ざかる者は德に疎く。富久しき者は智有りの義なり。亦文壇の一佳話といふべし。」とあり。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000020321