レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年09月07日
- 登録日時
- 2024/01/11 11:16
- 更新日時
- 2024/01/19 15:07
- 管理番号
- 横浜市中央2707
- 質問
-
解決
大佛次郎が戦時中に外地で活動した際に記した、当時の随筆や紀行文を読みたい。
- 回答
-
下記の資料によると、大佛次郎は複数回、中国や東南アジアを訪問したことが分かりました。
『大佛次郎 ミネルヴァ日本評伝選』 福島行一/著 ミネルヴァ書房 2017.11
p.325-335 「大佛次郎略年譜」より抜粋。
1938年 8月 満洲の松花江を遡り、移民村などを訪問
1940年 6月 文藝春秋社より報道班員として火野葦平らと共に中支宜昌戦線に派遣
7月 文藝春秋社の文芸銃後運動の講師として、菊池寛らと満洲朝鮮に赴い
た
1941年 6月 朝日新聞社より戦地慰問として満洲各地を回った
1943年 10月 同盟通信社の嘱託で東南アジアの占領地視察に旅立った
1944年 1月 インドネシアで元旦を迎え、2月帰国
上記の訪問年などを踏まえ、今回の調査では大佛次郎が戦時中に発表した随筆や紀行文等の作品(小説を除く)のうち、外地を訪問したことやその活動などに触れていたり、関連した作品を調査しました。大佛次郎が当時発表した作品については1の目録を調査し、
その結果として横浜市立図書館で閲覧できる資料を2にてご紹介します。
1 目録などの参考にできる資料
(1)『おさらぎ選書 第6集』 大仏次郎記念会/編 大仏次郎記念会 1992.03
「大佛次郎エッセイ作品目録」(p.1-146)や「エッセイ初出年表」(p.148-172)が収録されています。
明治41(1908)年から昭和49(1974)年に発表した作品のうち、
エッセイとして内容分類された作品の題名、発表紙・誌・書名が確認できます。
こちらのエッセイ目録では、初出の作品名から後に改題した際のタイトルや、
その後の図書への収録・再録の情報も確認することができます。
(2)『大佛次郎時代小説全集 第24巻 初期作品』
大佛次郎/著 朝日新聞社 1977.2
p.357-392 作品目録
明治41(1908)年から昭和48(1973)年の間の作品目録です。
初出時の作品名や発表紙誌名だけでなく、短編・長編・随筆等といった作品の種類も記されています。
(3)『鞍馬天狗とは何者か 大佛次郎の戦中と戦後』 小川和也/著 藤原書店 2006.7
p.236-240 附表1 戦時下における大佛次郎随筆作品一覧(1931~45年)
1(1)や(2)の作品目録などにより作成された一覧表です。
各作品の発表紙・詩・書名だけでなく、その作品が戦後に再発表されたかについてもわ
かります。また、大佛次郎の戦時下における随筆作品や動向については、下記の章でも
解説があります。
p.47-77 第Ⅰ章 大佛次郎の「空白」と「満洲」
p.78-150 第Ⅱ章 戦時下の大佛次郎
(4)『おさらぎ選書 第8集 大佛次郎作品掲載紙誌目録』
大仏次郎記念会/編 大仏次郎記念会 1993.03
大佛次郎が発表した作品を掲載紙誌名ごとに分類した目録です。
ただし、小説・随筆等の分類はされていません。
2 実際の作品を図書から見る
1の作品目録による調査を行い、その中から当館で所蔵・閲覧できる資料をご紹介します。
1の作品目録を確認すると、それぞれの作品の初出は戦時中であることも分かります。
(1)『大佛次郎随筆全集 第3巻』 朝日新聞社 1974
「氷の花」
p.61-75 松花江
p.75-80 新京
p.80-81 歴史
p.82-88 千振弥栄
p.99-105 北京の風
p.105-109 花を載せて行った飛行機
p.109-123 宜昌
p.123-128 小さい町
上記の作品はこちらにも収録されています。
『氷の花』 大仏次郎/著 六興商会出版部 1942.3
こちらは国立国会図書館デジタルコレクションでもご覧いただけます。
(図書館送信参加館・個人送信限定資料 https://dl.ndl.go.jp/pid/1134882)
(2)『宜昌戦線』 木村毅/著 博文館 1942.1
紀行篇
p.146-170 「宜昌」 大佛次郎/著
p.171-179 「小さい町-従軍のノート-」 大佛次郎/著
1940年6月に宜昌へ派遣された大佛次郎氏を含む計5名による小説・随筆集です。
こちらは国立国会図書館デジタルコレクションでもご覧いただけます。
(図書館送信参加館・個人送信限定資料 https://dl.ndl.go.jp/pid/1131041)
(3)『大佛次郎エッセイ・セレクション 2 人間と文明を考える』
大佛次郎/著 小学館 1996.10
p.174-184 「北京の風」
p.184-186 「斉堂盆地」
(4)『大佛次郎エッセイ・セレクション 3 時代と自分を語る』
大佛次郎/著 小学館 1996.11
p.97-108 「満洲の旅を終えて」
(5)『南方軍政関係史料 4 上 新ジャワ』 倉沢愛子/編 竜渓書舎 1990.8
新ジャワ 1944年12月号 第一巻 第三号
p.68-71「浦島」
第二次世界大戦中、日本軍占領下のジャワで刊行された日本語の月刊誌の復刻資料です。
3 新聞記事で見る
(1) 朝日新聞
ア 「満洲の旅を終へて(1)-(4)」
(「東京朝日新聞」 1938年10月13日~16日 東京朝刊 p.7)
イ 「宜昌戦線を見て(上)・(下)」
(「東京朝日新聞」 1940年7月8日9日 東京朝刊 8日p.4 9日p.6)
ウ 「生きてゐる歴史」(「朝日新聞」 1941年9月22日 東京朝刊 p.3)
エ 「冬に寄せて」(「朝日新聞」 1944年3月5日 神奈川県 通し番号1)
(2)『都新聞 昭和16年7月〈第19284号~第19314号〉』
中日新聞社/監修 柏書房 2020.10
p.50、63、75、85 昭和16(1941)年7月5日~8日
「北京の風」(1)~(4)
4 当時の日記・手記等
(1)『南方ノート・戦後日記』 大佛次郎記念館/編 未知谷
「南方ノート」は戦時中、昭和18(1943)年11月から3か月、同盟通信社の嘱託とし
て南方(現シンガポール、マレーシア、インドネシアなど)を視察した際に、6冊の大
学ノートに綴った手記が収録されています。
(2)『終戦日記 文春文庫』 大佛次郎/著 文藝春秋 2007.7)
『大佛次郎 敗戦日記』(草思社刊 1995.4)の増補改題版です。
昭和19(1944)年9月10日から昭和20(1945)年10月10日までの日記が収録されて
います。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 評論.エッセイ.随筆 (914 10版)
- 日本文学 (910 10版)
- 個人伝記 (289 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000344512