レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/07/01
- 登録日時
- 2023/05/26 00:30
- 更新日時
- 2023/05/26 10:39
- 管理番号
- 所沢本-2023-006
- 質問
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解決
高濱虚子の「白牡丹といふといへども紅ほのか」という句の解説を読みたい。
- 回答
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以下の資料に記載があります。
○『高浜虚子』 川崎展宏/著 永田書房 1974年
○『新編俳句の解釈と鑑賞事典』 尾形仂/編 笠間書院 2000年
○『高浜虚子』 清崎敏郎/著 桜楓社 1980年
○『古今俳句の鑑賞』 永田義直/編著 金園社 1975年
○『近代俳句大観』 秋元不死男/[ほか]編 明治書院 1977年
○『名句鑑賞読本』 行方克巳/著 角川書店 1997年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
○『高浜虚子』 川崎展宏/著 永田書房 1974年
P38「白牡丹といふといへども紅ほのか」の解説あり。
○『新編俳句の解釈と鑑賞事典』 尾形仂/編 笠間書院 2000年
P356-375「高浜虚子」の項目あり。
P360-361「白牡丹といふといへども紅ほのか」の解説あり。以下の記述あり。
季語―「白牡丹」初夏。(後略)
区切れ―「紅ほのか」。
句解 「清楚な白牡丹がある。白牡丹ではあるけれども、ほのかに紅色もさしてかすかな艶を漂わせている。」
鑑賞 「『ホトトギス』大正一四年八月号巻頭の<近詠>二七五句中に発表した。虚子五一歳。この句の句切れは下五で、一本の棒のように下まで続いている。しかし、読むときの調子では、多くの俳句がそうであるように、上五でちょっと切れる。つまり「白牡丹!」と読んで休止する。真っ白なふっくらとした牡丹の大輪が彷彿とする。すると、<といふといへども>とくる。この悠揚迫らぬ気息がいい。この気息こそ八五歳の長寿を保ち、全俳句界を掌握した虚子独特のものだ。意味は「白牡丹なれども」「白牡丹だが」というほどの意である。そして<紅ほのか>と結ばれる。句意は右に通釈したとおりであるが、この句の味わいは、実はこのような通釈とは別なところにある。この句の味わいは、そのテンポの緩急にあり、間のよさにある。(後略)」
○『高浜虚子』 清崎敏郎/著 桜楓社 1980年
P193「白牡丹といふといへども紅ほのか」の解説あり。
○『古今俳句の鑑賞』 永田義直/編著 金園社 1975年
P403「白牡丹といふといへども紅ほのか」の解説あり。以下の記述あり。
「大正十四年五月、大阪での作である。この句のほかに、「白牡丹いづくの紅のうつりたる」という一句もあり、同時の作である。中七の「いふといへども」という、しつこい言い方のような、そのおおらかに停滞した調子が、白牡丹の情艶な美しさによく調和し、初五の字余りした調子から、中七への緩徐調が、「紅ほのか」の詞でよく結ばれている。やはり虚子の句だなあといった風格を感じる。」
○『近代俳句大観』 秋元不死男/[ほか]編 明治書院 1977年
P11-21「高浜虚子」の項目あり。
P18「白牡丹といふといへども紅ほのか 虚子」の解説あり。以下の記述あり。
季語 牡丹―夏
出典 年代順虚子俳句全集第三巻・五百句
年代 大正一四年
鑑賞 「五月十七日、大阪に在り。毎日俳句会。この時の作に「雨風に任せて悼む牡丹かな」「白牡丹いづくの紅のうつりたる」がある。「いづくの紅」の句はモチーフがよく似ているが、白牡丹一花をとらえ、そこに「紅ほのか」を見つけたつややかさは、はるかに勝る。「虚子有情」の子規評言の思い出される句だ。上半の表現のたゆたいが、「紅ほのか」で程よく引き緊められ、全体として牡丹のふくよかさを引き立てている。虚子代表作に入れるに躊躇しない。五十二歳。」
2.後日調査の追加事項
〇『名句鑑賞読本』 行方克巳/著 角川書店 1997年
P17-26「高浜虚子」の項目あり。
P20「白牡丹といふといへども紅ほのか」の項目あり。以下の記述あり。
「季題は<白牡丹>で夏。白牡丹とはいいながら、全くの純白かと見るとさにあらず、何となく淡い紅がさしている、というのである。淡い紅の部分が花のどこかにある、ということも考えられるが、やはり花全体に心なしか淡い紅が滲んでいると考えた方が美しい。同時作に、<白牡丹いづくの紅のうつりたる>がある。(後略)」
3.記載のなかった資料
×『高濱虚子句集』/遠山 高濱虚子/著 ふらんす堂 2012年 俳句のみ記載あり
×『定本高浜虚子全集 第3巻』 高浜虚子/[著] 毎日新聞社 1974年
×『評解名句辞典』 麻生磯次/著 創拓社 1990年 俳句のみ記載あり
×『俳句辞典 近代』 松井利彦/編 桜楓社 1977年
×『俳文学大辞典』 角川学芸出版 2008年 俳句のみ記載あり
×『現代俳句大事典』 稲畑汀子/監修 三省堂 2005年 俳句のみ記載あり
×『作家の自伝 6』 佐伯彰一/監修、松本健一/監修 日本図書センター 1994年
×『名句鑑賞辞典』 飯田龍太/監修 角川書店 2000年
×『こころの歳時記』 石寒太/著 毎日新聞社 2012年
×『秀句鑑賞十二か月』 草間時彦/著 朝日新聞社 2000年
×『近代の秀句』 水原秋桜子/著 朝日新聞社 1986年
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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- 高浜虚子 川崎展宏/著 永田書房 1974 911.362
- 新編俳句の解釈と鑑賞事典 尾形仂/編 笠間書院 2000.11 911.3036 4-305-70223-1
- 高浜虚子 清崎敏郎/著 桜楓社 1980.1 911.362 4-273-00337-6
- 古今俳句の鑑賞 永田義直/編著 金園社 1975 911.304
- 近代俳句大観 秋元不死男/[ほか]編 明治書院 1977 911.304
- 名句鑑賞読本 行方克巳/著 角川書店 1997.11 911.36 4-04-883503-3
- キーワード
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- 高浜虚子
- 白牡丹
- 紅ほのか
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000333562