レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年10月15日
- 登録日時
- 2021/10/17 12:55
- 更新日時
- 2021/11/06 12:51
- 管理番号
- 県立長野-21-148
- 質問
-
解決
長野県内で「徒然(とぜん)」という方言は使われているか。また、「徒然(とぜん)」の方言分布について参考となる資料を探している。
- 回答
-
1 当館所蔵の方言に関する資料、当館契約データベースにあたったが、「徒然(とぜん)」という長野県の方言は確認できなかった。(以下の資料、データベースを調査した)
『長野県史 方言編 全1巻』長野県編 長野県史刊行会 1992【N209/11-6/1】
『長野県方言辞典』馬瀬良雄編集代表 信濃毎日新聞社 2010【N880/26】
『長野県方言辞典 特別版』馬瀬良雄編集代表 信濃毎日新聞社 2013【N880/26a】
『信州のことば』馬瀬良雄 信濃毎日新聞社 2003【N880/24】
『信州の方言』馬瀬良雄 第一法規 1971【N880/6】
『信州 ふるさとのことば』小池博子 八十二文化財団 2012【N880/27】
『しなの方言考』福沢武一 信濃毎日新聞社 1979【818/フ/】
『日本列島方言叢書 8中部方言考 ①(中部一般・長野県)』井上忠雄[ほか]編 ゆまに書房 1996【N880/22】
『近代日本方言資料集 群誌編 第5巻 中部』木村晟編 2010【N880/29】
ジャパンナレッジLib
2「徒然(とぜん)」の方言分布についての参考資料。
・『県別 方言感情表現辞典』真田信治・友定賢治編 東京堂出版 2015【818.03/サシ】p.22「寂しい」の解説として、
「とぜん」が東北と九州にあり、古い語が中央から離れたところに同心円状に分布するという、
いわゆる周圏分布していることが注目される(分布図参照)。「とぜん」は古語の「徒然」に由来
する語である。『地方別方言言語語源辞典』(東京堂出版)によると、この語は平安時代の漢詩文に
「退屈」の意味で用いられ、室町時代頃から地方にも広まり、『日葡辞典』では「ひとりぼっちで
寂しくしている」の意味があるとされる。
とあった。
・『地方別方言語源辞典』 真田信治・友定賢治編 東京堂出版 2007【818.03/サシ】p.58-59に、『県別 方言感情表現辞典』の上記引用箇所あり。また、p.231に「漢語由来の方言の地域差」の記述あり。
・「とぜん(徒然)考-漢語史と方言」 福島邦道 『実践国文学』通号17 実践国文学会 1980 p.2-9 漢文史の中の(徒然)の発生と方言としての展開
・「近代における二字漢語「-然」の展開と定着」 小野寺学 『言語科学論集2』 p.144-133
・『平安時代の記録語の文体史的研究』遠藤好英 おうふう 2006【810.23/エヨ】p.7-9、p.48-61 漢語「徒然」の意味・用法、p.63-72 和化漢語「徒然」の意味変化
・『蝸牛考』 柳田国男 岩波書店 1980【01/0164】p.142 方言周圏論
・『お国ことばを知る 方言の地図帳』 佐藤亮一監修 小学館 2002【818/オク】p.329 「方言の基礎知識」
・『邦訳日葡辞書逆引索引』 山田潔編 笠間書院 1998 【869.3/ヤキ】p.283に、「とぜん,とぜんな」のポルトガル表記「tojen,tojenna」あり。
<調査資料>
『日本言語地図』国立国語研究所編 大蔵省印刷局 2002【818/60/1】
『日本方言大辞典(下)』 た~ん 尚学図書編集 小学館 1989【818.03/シヨ/2】
『標準語引き 日本方言辞典』 佐藤亮一監修 小学館 2004【818.03/シヨ】
『全国方言辞典』 東條操 東京堂版 1951【818/3】
『方言地理学図集』 徳川宗賢・W.A.グロータース編 秋山書店 1976【818/54/A】
『長野県方言関係研究文献目録(稿)』 上田女子短期大学 国語研究倶楽部 2002【N880/20a】
『明解 方言学辞典』 木部陽子編 三省堂 2019 【818.03/キノ】
『空間と時間の中の方言』 大西拓一郎編 朝倉書店 2017【818.04/オタ】
『古典基礎語辞典』大野晋編 角川学芸出版 2011【813.6/オス】
『日本語源大辞典』前田富祺監修 小学館 2005【813.6/ニホ】
magazineplus
CiNii
- 回答プロセス
-
1「徒然(とぜん)」の語意、出典等を確認するため、『広辞苑[2]た~ん』第7版 新村出編 岩波書店 2018【813.1/シ/2】と、当館契約データベースの「ジャパンナレッジLib」にあたった。
2 長野県全域を対象に編纂された、方言に関する当館所蔵の郷土分類N880(方言)にあたったが、「徒然(とぜん)」は確認できなかった。
3 「徒然(とぜん)」の方言分布について書かれた資料を調査するため、NDC分類810(日本語)の書架にあたった。古語辞典、語源辞典には、参考となる記述は確認できなかった。同様に、NDC分類818(方言)の書架にあたった。以下の資料に、「徒然(とぜん)」の方言分布に関連するする記述を確認した。(NDC=日本十進分類法)
・『県別 方言感情表現辞典』 真田信治・友定賢治編 東京堂出版 2015【818.03/サシ】p.22
・『地方別方言語源辞典』 真田信治・友定賢治編 東京堂出版 2007 【818.03/サシ】p.58-59、p.231
・『平安時代の記録語の文体史的研究』遠藤好英 おうふう 2006【810.23/エヨ】p.7-9、p.48-61、p.63-72
4 論文検索サイト「CiNii」、当館契約データベース「magazineplus」により、「徒然(とぜん)」に関する論文と論文掲載雑誌を確認した。
・「とぜん(徒然)考-漢語史と方言」 福島邦道 『実践国文学』通号17 実践国文学会 1980 p.2-9 漢文史の中の(徒然)の発生と方言としての展開
・「近代における二字漢語「-然」の展開と定着」小野寺学 『言語科学論集2』 1998 p.144-133
- 事前調査事項
- NDC
-
- 方言.訛語 (818 10版)
- ロシア語 (880 10版)
- 参考資料
-
-
真田信治, 友定賢治 編 , 真田, 信治, 1946- , 友定, 賢治, 1948-. 県別方言感情表現辞典. 東京堂出版, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026797300-00 【818.03/サシ】p.22 , ISBN 9784490108705 -
真田信治, 友定賢治 編 , 真田, 信治, 1946- , 友定, 賢治, 1948-. 地方別方言語源辞典. 東京堂出版, 2007.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009089315-00 【818.03/サシ】p.58-59、p.231 , ISBN 9784490107241 -
佐藤亮一監修 , 佐藤, 亮一(1937-) , 小学館. お国ことばを知る方言の地図帳 新版. 小学館, 2002-07.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000408992-00 【818/オク】p.329 , ISBN 4095041528 -
山田潔編 , 山田, 潔(1943-). 邦訳日葡辞書逆引索引. 笠間書院, 1998-11. (笠間索引叢刊)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000303509-00 【869.3/ヤキ】p.283 , ISBN 4305201186 -
新村出編 , 新村, 出(1876-1967). 広辞苑 : [セット]- 第7版. 岩波書店, 2018-01.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000702067-00 【813.1/シヤ/2】p.2101 , ISBN 9784000801324 -
遠藤好英 著 , 遠藤, 好英, 1932-. 平安時代の記録語の文体史的研究. おうふう, 2006.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008342697-00 【810.23/エヨ】p.48-61、p.63-72 , ISBN 4273033747
-
真田信治, 友定賢治 編 , 真田, 信治, 1946- , 友定, 賢治, 1948-. 県別方言感情表現辞典. 東京堂出版, 2015.
- キーワード
-
- 徒然
- とぜん
- つれづれ
- 寂しい
- 退屈
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000306171