レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20210907
- 登録日時
- 2021/11/10 00:30
- 更新日時
- 2021/11/19 10:44
- 管理番号
- 0000201844
- 質問
-
解決
方言「徒然(とぜん)=退屈だ。寂しい」の使用状況について調べています。
「とぜん」という方言は、福岡で「とぜなか」、熊本で「とぜんなか」、鹿児島で「とぜんね」や、秋田で「とぜない」、宮城で「とぜんだ」と主に年配が使っているようです。「とぜん」が京都を中心とした畿内から全国に広がったとすれば、ほかにも過去に使われていた地域があったのではないかと考えています。
つきましては、貴県の民俗に関する文献や郷土資料、地元の方言をまとめた冊子や辞典に「とぜん」と思われる記述がありましたら、いつごろ、どのような表現で、どのように使われていたのか、時期や使用例などをお教えください。
- 回答
-
御質問の件について、以下のとおり回答します。
1.御質問の「徒然」については、次の資料に記載がありました。
(1)『佐賀の方言 中巻・述語編』 志津田 藤四郎/著 述語編 佐賀新聞社 1999
p.303 トゼンナカ
共通語で「所在ナイ」とか、「スルコトガナクテ タイクツダ」とかいった意味を、佐賀方言では、「トゼンナカ」と表現する。~「トゼン」は「徒然」と漢字を当てられる語で古語の「ツレヅレ」に相当する。~「トゼンナカ」は「トゼンイタシ」ということで「甚ダ徒然ダ」ということである。
(2)『佐賀弁一万語』 福山 裕/著 佐賀印刷 1995
p.253 とぜんなか
形容詞 (徒然な)つれづれな。無聊な。手持ち無沙汰。さみしい~
※佐賀のなかには肯定の…なと、否定の…のないの二つ意がある。否定の場合多くは…のないが、んなかとなり、→しょーねんねか。肯定の…なは共通語のせわしない。突拍子もないなどの強調の(な)で、→ごーほなかの例である。徒然の場合は語尾がたまたま(ん)で終わるので、否定の(徒然草の本)がないから、さみしいという人があるが、誤りである。
2.御質問の方言「徒然」の用例については、次の資料に記載がありました。
(3)『佐賀県近世史料 第1編第2巻』佐賀県立図書館/編 1994
p.259 御私遣もしもし御不弁ニもや被思召候半と存知、親類談合申候而、段錢之躰二而成共、米一萬石進之置、徒然ニ可有御座候間、是を以、思召侭御遣被成、被召遣候者共之御扶持方ニもさセられ~
(4)『佐賀県近世史料 第2編第1巻』佐賀県立図書館/編 2009
p.16 親類談合申候而反錢之体ニ而成共、壱万石進之置、徒然ニ可有御座候間、思召侭ニ御遣被成、被召仕候者共之御扶持方ニもさせられ、御奉公被相續候様にと存、~
p.863 今度家康公上洛有を殺さハ御母義を焼殺すへしと詈る、高力ハ四方山の物語をし知らぬ国へ来り給ひ嘸や、御徒然に候ハんと懇に労ハり慰めけると也、其後度々の御加増にて弐万五千石を領し、武州岩付城ニて、慶長十三年正月廿六日七十九歳にて病死す、~
p.911 一太閤秀吉公肥前名護屋於御陣中、御徒然の餘り上□(方カ)より能太夫を被召下御自身も能を御興行被成しより以来将軍家を始御大名方の御自身に能を被成候事ハ始りけるとかや、~
(5)『佐賀県近世史料 第5編第1巻』 佐賀県立図書館/編 2008
p.281 同 八日 大雨 一今日は雨天ニ付甚徒然
p.779 同 二日 一雨天、別而徒然也 p.781 雨中ニ而徒然、帰情頻相起リ候事
p.826 同 十一日 一今朝ヨリ雨、徒然候付申遣候得共不参、夜雨晴
p.841 同 廿三日 雨~一家来共徒然ニ付、津ノ善参リ候様取計散財之事~
(6)『佐賀県近世史料 第8編第2巻』 佐賀県立図書館/編 2006
p.330 吉利支丹ニ似たる被仰事ニ候へ共、御徒然ニ候間、くう(※口)せひなから孫四なと之きかれ候て、よさう之事ニ而候間御語候~
p.627 若キ時ヨリ学バサレハ和漢ノ文ヲモ読シラス、徒然ナルママニ仮名草紙ナントヒロケテ、朝寐昼寐ノ間ハ居睡リシテ~
(7)『佐賀県近世史料 第8編第3巻』 佐賀県立図書館/編 2007
p.462 同心駿府御番を勤メ帰リ来リ、折ニ触レテ幼女ニ留守ノ徒然ヲ問フ、何某ト云フ者夜ルハ泊リテ伽ヲナスト語ル、~
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 方言.訛語 (818)
- 参考資料
-
-
(1)志津田藤四郎 著 , 志津田, 藤四郎, 1899-1987. 佐賀の方言 中巻(述語編) 新版. 佐賀新聞社, 1999.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002878994-00 , ISBN 4882980894 -
(2)福山 裕/著. 佐賀弁一万語. 佐賀印刷, 1995.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I070890581-00 -
(3)佐賀県立図書館 編 , 佐賀県立図書館. 佐賀県近世史料 第1編 第2巻. 佐賀県立図書館, 1994.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002318908-00 -
(4)佐賀県立図書館 編 , 佐賀県立図書館. 佐賀県近世史料 第2編 第1巻. 佐賀県立図書館, 2009.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010083881-00 -
(5)佐賀県立図書館/編. 佐賀県近世史料 第5編 第1巻. 〔佐賀〕佐賀県立図書館, 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I070960353-00 -
(6)佐賀県立図書館 編 , 佐賀県立図書館. 佐賀県近世史料 第8編 第2巻. 佐賀県立図書館, 2006.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008182210-00 -
(7)佐賀県立図書館 編 , 佐賀県立図書館. 佐賀県近世史料 第8編 第3巻. 佐賀県立図書館, 2007.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008531182-00
-
(1)志津田藤四郎 著 , 志津田, 藤四郎, 1899-1987. 佐賀の方言 中巻(述語編) 新版. 佐賀新聞社, 1999.
- キーワード
-
- 徒然
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000307382