レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年06月16日
- 登録日時
- 2023/06/27 12:52
- 更新日時
- 2023/07/24 21:48
- 管理番号
- 県立長野-23-060
- 質問
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解決
小田切ダム(長野市・犀川)の水が払われた際に、湖底に何かの遺構のようなものがあったが、これは何か。犬戻りトンネルの松本側の付近に見えた。
- 回答
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ダム湖の遺構は、おそらく川中島方面への灌漑用水の取水を目的とする上中堰の頭首工(とうしゅこう)と思われる。現在は別の場所から取水している。
『上中堰の歴史』上中堰土地改良区編・刊 1986 【N517/82】p.147-150およびp.242に、ダム建設にあたって取水口の位置をめぐって水利組合との交渉が影響をおよぼした記述や1986年2月に小田切ダムの水を払った際に姿を現した頭首工や水門の写真がある。p.149には、「図34 犀川旧流路の状況」の図がある。
また、滝沢公雄著「文化財講座第17回 犀川右岸小松原付近の操穴(くりあな)堰遺構」『千曲』第81号 1994.5 p.75-78のうち、p.76に「犀口付近の犀川と農業用水」の図があり、犬戻トンネル(この図では双子トンネル)の松本側に、旧頭首工が図示されている。
両資料の図にある場所は、利用者が指摘しているポイントとほぼ一致していると思われる。
- 回答プロセス
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1 小田切ダムの場所を確認する。長野市の西部小田切地区の犀川に建設された東京電力の水力発電のためのダム。湖底に遺構があるとのことから、ダム建設の際に水没することになった集落の何かの可能性を考え、『長野市誌 第7巻』『小田切村誌』を調べる。建設にあたり移転することになった家屋もあったようだが、どの地点かの記述はない。
2 利用者が遺構を見た場所は、犀川の川筋の中央に近いことから、もともとの流域の河床もしくは川岸にあったものの可能性が高く、水位が上がり水没したものとは考えにくかった。小田切ダム建設についての記録集は所蔵していないため、犀川に関する資料を調べる。『信濃の青竜 犀川』にも、遺構の記述は確認できなかった。
3 小田切ダムの周辺で長野市川中島方面へ灌漑用水を引くための取水口があったため、これを調べることとする。「県立長野-21-139東京電力小田切ダムから取水している現在の上中堰、下堰の取水口の位置」を参考に、『上中堰の歴史』『上中堰沿革史』を調べる。
4 取水口の施設の名称が「頭首工」とわかる。上記レファレンスを担当した職員から『千曲』第81号掲載の滝沢公雄著「文化財講座第17回 犀川右岸小松原付近の操穴(くりあな)堰遺構」を提供される。
5 『上中堰の歴史』にある写真と、「文化財講座第17回 犀川右岸小松原付近の操穴(くりあな)堰遺構」の図から、利用者が指摘しているポイントと一致すると思われ、これを回答とした。
<調査資料>
・『長野市誌 第7巻』長野市誌編さん委員会編 長野市 2004【215.2/ナガ/7】p.346-348
・『信濃の青竜 犀川』建設省北陸地方建設局千曲川工事事務所編・刊 1994【517/ケ】p.346-348
・「集落の上部に隆起の川底」『信濃毎日新聞』 平成8年(1996年)5月14日 第13面
・『上中堰沿革史』上中堰普通水利組合事務所編・刊 1914 【N614/8】
・『小田切村誌』小田切村誌編纂委員会編 小田切村誌刊行委員会 1965【N212/74】
・『水よ!よみがえれ』長野県川中島平土地改良区編・刊 1990【N517/103】
- 事前調査事項
- NDC
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- 河海工学.河川工学 (517 10版)
- 農業工学 (614 10版)
- 参考資料
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上中堰土地改良区 編 , 上中堰土地改良区. 上中堰の歴史. 上中堰土地改良区, 1986.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001896468-00 (【N517/82】)
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上中堰土地改良区 編 , 上中堰土地改良区. 上中堰の歴史. 上中堰土地改良区, 1986.
- キーワード
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- 小田切ダム
- 犀川
- 灌漑用水
- 上中堰
- 頭首工
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000334981