レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/1/9
- 登録日時
- 2023/03/04 10:38
- 更新日時
- 2023/03/17 16:54
- 管理番号
- 川図22-10
- 質問
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解決
明治から終戦前後にかけて、横浜港から台湾の港(基隆、高雄など)への貨物の運賃(船賃)を調べる方法はあるか。
食料品などの一般物品を想定しており、危険物や冷蔵品などではない。
- 回答
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[1]当館が所蔵している日本郵船、日本海汽船、川崎汽船の社史、および海運(日本十進分類法で683)の書架を確認したが、横浜港から台湾の港への貨物の運賃の記載を見つけることができなかった。
[2]明治から終戦前後なので、国立国会図書館デジタルコレクションを「運賃 横浜 高雄」で検索したところ、(1)から(5)の資料が見つかった。
(1) 『海運経済諸統計 第4輯 本邦中心主要運賃記録』(日本海運集会所, 海軍協同会調査部 編, 日本海運集会所, 昭14至15) https://dl.ndl.go.jp/pid/1072406
31コマ目に「統制下の運賃、傭船料標準率記録」があり、追加運賃標準率の中に、1.製品肥料 (イ)臺灣行 として項目が積地、揚地、臨時船積、定期船積とする表がある。この揚地が高雄であり、積地の1つとして「東京、横濱、名古屋」がある。
32コマ目に、2.臺灣砂糖(一擔ニ付)、3.臺灣米(一擔ニ付)について項目が積地、揚地、運賃とする表がある。積地は高雄で揚地が「東京、横濱」の砂糖、積地が高雄と基隆で揚地が「東京、横濱」の米がある。
続けて、近海鹽標準運賃(單位瓲)の表に揚地、臺灣鹽などの項目がある。揚地に横濱がある。
(2) 『高雄の港勢及貿易』 2版 (高雄商工会, 1924) https://dl.ndl.go.jp/pid/1914936 送信サービスのみ。
61コマ目に船舶貨物運賃として、積地が基隆や高雄、揚地が横濱の品名ごとの表がある。
63コマ目に内地對臺灣間貨物運賃表として、安平高雄-横濱間の品名ごとの運賃がある。
(3) 『満鮮台湾運送案内 : 附・船舶運賃表』(荻野孝廉 編, 運輸交通研究会, 大正11) https://dl.ndl.go.jp/pid/971673
70-71コマ目に臺灣往復貨物運賃表という表があり、品名、地積・揚地・單位という項目で、東京・横濱と基隆間、東京・横濱と安平・高雄・澎湖島間の金額がある。
(4) 『日鮮満台連絡貨物運賃表 : 昭和十二年八月現在』(秀平浩士 編纂, 運輸事情社, 1937.8) https://dl.ndl.go.jp/pid/1079870 送信サービスのみ。
113コマ目に「臺灣航路往航運賃表」がある。積地に濱、揚地に基隆と高雄などがあり、品名ごとの単位と料金がある。
(5) 『いろは引停車場貨物運賃早見便覧』(平中義忠 編, 松陽堂書店, 大正2) https://dl.ndl.go.jp/pid/912733
142-145コマ目の「東京横濱朝鮮、清國、臺灣間各港運賃表」の中に「東京横濱より基隆、安平、打狗港間汽船運賃表」がある。品名、単位、着港ごとの運賃がある。
[3]神奈川県立図書館にも調査を依頼したところ、質問への直接の回答となる所蔵資料は見つけることができなかったが、参考となりそうな(6)の紹介があった。また、国立国会図書館デジタルコレクションから(7)から(9)の紹介があった。
(6) 『最近貿易実務誌 新訂』(浜谷源蔵, 同文館, 1948)
「下篇 貿易実務の特殊問題 第二十七章 海上運賃及びリベート」が立章されている(p.515~529)。
第二節 運賃額計算の基礎(p.516~519)
第三節 運賃額計算の方法 1.重量運賃及び容積運賃 2.従価運賃 3.最低運賃(p.519~521)
第四節 運賃の換算率(p.521)
がそれぞれ立項されており、算出の仕方が掲載されている。
「第二節 運賃額計算の基礎」の中に、「通常各運賃同盟(Freight Conference)に於て決定協約し、之によつて運賃表(Freight Tariff)を発表している。検才及び秤量は貨物の荷造のまゝのもの即ち総重量(Gross weight)又は総容積(Gross measurement)による。」とある(p.517)。
なお、神奈川県立図書館で所蔵している(6)は紙の劣化が非常に進んでおり、状態が良くないため、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている方もお勧めする。https://dl.ndl.go.jp/pid/2489521
(7) 『日本戦時海運論』(藤川洋, 富山房, 1944) https://dl.ndl.go.jp/pid/1916157 送信サービスのみ。
「第七章 海上運賃 第二節 海上運賃の種類」の中に「一 運送客体に依る区別 (二)貨物運賃」が立項されている(p.97~98、60~61コマ)。
「個々貨物の運賃を計算する基準は、特殊の高価品に限り価格に基づくこともあるが、大部分は船会社側の選択に依り、貴重品は重量噸、軽量品は、容積噸を単位として計算される。支那及び南方諸国の海運界には、特にピクル(擔、六十瓩)といふ重量の単位が行はれている。その他貨物により俵・棚特有の計算単位がある。」と記載されている(p.97、60コマ)。
(8) 『海商通報 第四百十六号』(海商社, 明治34年3月14日) https://dl.ndl.go.jp/pid/1892257 送信サービスのみ。
「●日本郵船株式会社貨物運賃表」が掲載されている(14ページ、14コマ)。
「雑貨 秤量一噸ニ付 横浜ヨリ」とあり、「▲内国之部」に「仕向地」が「基隆 十円」とある。
なお、他の号にも同様の掲載があるものがあり、各号の「目次」より「運賃」や「汽船運賃相場表」と表示されているところから、横浜から各地への運賃相場等を確認することができる。
(9) 『臺灣海運史』(臺灣海務協會, 1941) https://dl.ndl.go.jp/pid/1904493 送信サービスのみ。
p.404(209コマ)からp.455(234コマ)に「第三章 運賃 第二 運賃率の沿革」があり、「内地基隆間貨物運賃表(明治三十五年四月以降)」などが掲載されている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 海運 (683)
- 貿易 (678)
- 参考資料
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日本海運集会所, 海軍協同会調査部 編 , 日本海運集会所 , 海軍協同会. 海運経済諸統計 第4輯 本邦中心主要運賃記録. 日本海運集会所, 1940.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001421667-00 -
高雄商工会. 高雄の港勢及貿易 2版. 高雄商工会, 1924.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001962213-00 -
荻野孝廉 編 , 荻野, 孝廉. 満鮮台湾運送案内 : 附・船舶運賃表. 運輸交通研究会, 1922.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001627943-00 -
秀平浩士 編纂 , 秀平, 浩士. 日鮮満台連絡貨物運賃表 : 昭和十二年八月現在. 運輸事情社, 1937.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001858108-00 -
平中義忠 編 , 平中, 義忠. いろは引停車場貨物運賃早見便覧. 松陽堂書店, 1913.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001620646-00 -
浜谷源蔵 著 , 浜谷, 源蔵, 1905-2001. 最近貿易実務誌 新訂版. 同文館, 1948.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000997971-00
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日本海運集会所, 海軍協同会調査部 編 , 日本海運集会所 , 海軍協同会. 海運経済諸統計 第4輯 本邦中心主要運賃記録. 日本海運集会所, 1940.
- キーワード
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- 運賃
- 横浜港
- 台湾
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000329831