レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年12月14日
- 登録日時
- 2024/01/12 18:00
- 更新日時
- 2024/02/07 09:17
- 管理番号
- 県立長野-23-164
- 質問
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解決
上伊那郡中箕輪村の唐澤錠吉氏と氏が運営にかかわっていた中箕輪村の丸ト製糸場および伊那製糸合名会社について知りたい。国立国会図書館デジタルコレクションで送信サービスで閲覧できるものは確認した。
- 回答
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唐澤錠吉氏について書かれた略歴等は確認できなかった。また、氏がかかわった製糸工場についても、国立国会図書館デジタルコレクションで確認できる資料以上に詳細がわかるものはなかった。
唐沢錠吉氏にかかわる工場の記述は、利用者調査済みの『箕輪町誌 自然現代編』 箕輪町誌編纂刊行委員会編・刊 1976【N242/67/1】p.622-644にかけての記述が一番詳しい。[国立国会図書館デジタルコレクション インターネット公開 最終確認2024.1.14]
『上伊那郡旧家鑑』本郷鶴八編・刊 1902【N280/21】の25丁裏「同(上伊那)郡中箕輪村大字澤 徳川本領松平丹波守御預リ所」の代々名主年寄に「唐澤錠吉」が見られるが、略歴などの記載はない。錠吉の先代として唐沢東一郎の名が見られる。この資料は当館が運営する信州デジタルコモンズで公開している。[34コマ目 最終確認2024.1.14]
利用者調査済みの『信濃蚕糸業史 下巻』 江口善次, 日高八十七共編 大日本蚕糸会信濃支会 1937【N630/30/3】[国立国会図書館デジタルコレクション 送信サービス 最終確認2024.1.24] p.503-522に、「長野県下拾人繰以上器械製糸所一覧表 明治十二年二月現在」があり、上伊那地域はp.519-522に掲載されている。このうち中箕輪村の製糸場(4カ所)の持ち主名に、唐澤錠吉氏の名前は確認できない。上伊那地域全体を見ても、唐澤姓の人物は見当たらない。問い合わせの工場名の記載もない。
p.584-616に「十人以上器械製糸場調 明治十六年十二月現在」があり、上伊那地域はp.593-600に掲載されている。p.598に中箕輪村の製糸場(10カ所)があり、唐澤姓の人物は唐澤彌平の名前のみ。この表にも問い合わせの会社および工場名の記載はない。
続く、p.616-622に「揚籰器械場調 明治十六年十二月現在」があり、上伊那地域はp.617-621に掲載されている。p.620に中箕輪村の製糸場(10カ所)があり、唐澤姓の人物は唐澤彌平のみ。
『長野県史 近代資料編 第5巻(3) 蚕糸業』長野県編 長野県史刊行会 1970【N209/11-1/5-3】巻末に「明治二十六年 製糸工場表」(農商務省の農務局調査ニヨル)があり、そのp.35に
上伊那郡 中箕輪村 唐沢定吉 明治九年七月(起業) 一五(釜) 水力 再繰
八四四(一ヵ年製造額) 一一〇(百斤に対する製造費)
とある。工場名の項目は、社名の場合と人名の場合があるが、問い合わせの社名は確認できなかった。定吉と錠吉との関係は不明。誤植であれば錠吉氏かもしれないが、図書館としては断定できない。
既に調査済みの資料だが、『龍水社七十年史』 龍水社七十年誌刊行委員会 1984【N631/14】[国立国会図書館デジタルコレクション 送信サービス 最終確認2024.1.24] p.68-72に「明治13年御巡幸ニ付調査セル製糸家一覧表(南信)」があるが、唐澤錠吉氏の名前は確認できない。ただ、中箕輪村に「千葉廉三」「荻原国助外四人」「小原民吉」「小林徳兵衛」が見られる。
また、p.193-196に大正3年(1914年)に龍水社ができた当時の上伊那郡内製糸場一覧があるが、唐澤錠吉氏の名前は確認できない。中箕輪村の項目には問い合わせの製糸場の名称もない。唐澤姓の人物が営む製糸場として、
大和製糸場 大正2年6月創業 唐沢員雄 220釜
入〇製糸場 明治41年7月創業 唐沢春吉 11釜
∧保製糸場 明治13年7月創業 唐沢光司 10釜
があった。なお、赤穂村の項目に
㋣製糸場 大正元年7月創業 吉沢峰太郎 8釜
があるが、唐沢錠吉氏の製糸場との関係は不明。
また上述の『上伊那郡旧家鑑』に見られた唐澤錠吉氏の父である東一郎氏については、『長野県史 近代史料編 第2巻 3 (市町村政)』長野県編 長野県史刊行会 1984【N209/11-1/2-3】p.72からの「明治9年8月 筑摩県下村吏人名一覧」のp.83に第十七区の村があり、中箕輪村の副戸長8名の中に名前が見られる。
利用者調査済みの『伊那蕗原の里』千村茂著 信濃路 1979【N242/77】[国立国会図書館デジタルコレクション 送信サービス 28コマ目 最終確認2024.1.24] p.50-51 に、沢区と大出区の土地を交換した際の約定書があり、この日付が明治39年10月になっており、この最後に唐沢東一郎氏の名前があった。
同様に『長野県町村誌 第3巻』長野県 編 名著出版 1973【N290/33a/3】[国立国会図書館デジタルコレクション送信サービス 398コマ目 最終確認2024.1.24] p.3537に、明治10年5月県へ報告する戸長、副戸長の署名に副戸長の一人として「唐澤東一郎」がある。ただ、明治11年11月の追申として報告されたものの署名には「唐澤東一郎」の名前はない。
- 回答プロセス
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1 国立国会図書館デジタルコレクションで送信サービス資料を確認済みとのことだが、唐澤氏についてどの程度分かっているのかがつかめないため、主な資料を確認する。『箕輪町誌 自然現代編』 箕輪町誌編纂刊行委員会編・刊 1976【N242/67/1】p.622-644にかけての記述が詳しく書かれている。
2 郷土人物を調査する際に使う『長野県姓氏歴史人物大辞典』等を確認する。中箕輪村の人物とのことから、『上伊那文化大事典』伊澤和馬編 信濃路出版 1990【N242/109】も調べるが、記載はない。
3 製糸にかかわっていることから、『信州蚕界之人物』尾崎章一著 信濃蚕業評論社 1929【N280/26】等を調べるが、記載はない。
4 既に調査済みの『信濃蚕糸業史 下巻』 江口善次, 日高八十七共編 大日本蚕糸会信濃支会 1937【N630/30/3】[最終確認2024.1.13] p.503-522に、「長野県下拾人繰以上器械製糸所一覧表 明治十二年二月現在」があり、上伊那地域はp.519-522に掲載されている。このうち中箕輪村の製糸場(4カ所)の持ち主名に、唐沢錠吉氏の名前は確認できない。
p.584-616に「十人以上器械製糸場調 明治十六年十二月現在」があり、上伊那地域はp.593-600に掲載されている。p.598に中箕輪村の製糸場(10カ所)がある。しかし、上伊那地域全体を見ても、唐沢錠吉氏は確認できない。この表にも、丸ト製糸場および伊那製糸合名会社の記載はない。
続く、p.616-622に「揚籰器械場調 明治十六年十二月現在」があり、上伊那地域はp.617-621に掲載されている。p.620に中箕輪村の製糸場(10カ所)があるが、上伊那地域全体を見ても、唐沢錠吉氏は確認できない。
5 国立国会図書館デジタルコレクションで送信サービスとなっていない『長野県史 近代資料編 第5巻(3) 蚕糸業』長野県編 長野県史刊行会 1970【N209/11-1/5-3】を見る。巻末に「明治二十六年 製糸工場表」(農商務省の農務局調査ニヨル)があり、そのp.35に上伊那郡中箕輪村が掲載されているが、表内に唐澤錠吉氏は確認できなかった。唐澤姓の人物は「定吉」のみ。誤記、誤植の断定はできないため、記載がある旨だけを伝える。
6 調査過程で、小さな製糸工場はやがて連合して「天龍社」や「龍水社」などのように経営形態を変えていったことがわかったので、社史である『龍水社七十年史』 龍水社七十年誌刊行委員会 1984【N631/14】[最終確認2024.1.13]をみる。p.68-72に「明治13年御巡幸ニ付調査セル製糸家一覧表(南信)」があるが、唐澤錠吉氏の名前は確認できない。
また、p.193-196に大正3年(1914年)に龍水社ができた当時の上伊那郡内製糸場一覧がある。唐澤錠吉氏の名前は確認できない。中箕輪村の項目には丸ト製糸場および伊那製糸合名会社も記載はない。
7 当館が運営する信州デジタルコモンズ内を「唐澤」「錠吉」「製糸」などで検索する。『上伊那郡旧家鑑』の「同(上伊那)郡中箕輪村大字澤 徳川本領松平丹波守御預リ所」の代々名主年寄に「唐澤錠吉」が見られ、先代として「唐澤東一郎」があった。
8 国立国会図書館デジタルコレクションを「唐澤東一郎」で検索する。『長野県史 近代史料編 第2巻 3 (市町村政)』『伊那蕗原の里』『長野県町村誌 第3巻』がヒット。『長野県史 近代史料編 第2巻 3 (市町村政)』以外は利用者が確認できる資料。
9 当館所蔵の郷土雑誌の論題を検索する。念のため、『信濃』『長野』のwebサイトの目次検索でもヒットなし。『伊那』については、飯田市立図書館のサイトでも検索したが、ヒットしなかった。
<調査資料>
・『長野県姓氏歴史人物大辞典』 長野県姓氏歴史人物大辞典編 角川書店 1996【N288/158】
・『長野県史 通史編 第7巻近代1』長野県編 長野県史刊行会 1988【N209/11-4/7】
・『信濃蚕糸業史 上巻』 江口善次・日高八十七編 信濃毎日新聞社 1975
(1932年 大日本蚕糸会信濃支会発行の復刻)【N630/30/1】
・『信濃蚕業沿革史料』 高島諒多著 吉田金次郎 1892【N630/28】
・『長野県蚕糸業外史 上編』尾崎章一著 大日本蚕糸会信濃支会 1954【N630/14/1】
・『長野県蚕糸業外史 中編』尾崎章一著 大日本蚕糸会信濃支会 1955【N630/14/2】
・『長野県蚕糸業外史 下編』尾崎章一著 大日本蚕糸会信濃支会 1958【N630/14/3】
・『近世の信州伊那・高遠』北原眞人著 伊那毎日新聞 1977【N242/71】
・『上伊那文化大事典』伊澤和馬編 信濃路出版 1990【N242/109】
・『長野県 上伊那誌 第3巻 現代社会篇』上伊那誌編纂会編 上伊那誌刊行会 1967【N242/32/3】
・『長野県 上伊那誌 第4巻 人物篇』上伊那誌編纂会編 上伊那誌刊行会 1970【N242/32/4】
・『伊那市史 歴史編』伊那市史編纂委員会編 伊那市史刊行会 1984【N242/86/3】
・『伊那谷のかいこ』 平沢清人文 熊谷元一え 伊那史学会 1970【N630/44】
・『帝国信興名鑑 長野県の部』丸山孝編 信興社 1904【N280/7】
・『上伊那聰芳録』池上久太郎編 上伊那聰芳録編纂会 1926【N280/14】
・『信州蚕界之人物』尾崎章一著 信濃蚕業評論社 1929【N280/26】
・『長野県生糸同業組合聯合会沿革史』竹中三吉著 長野県生糸同業組合聯合 1931【N630/20】
・『協同の礎伊那谷の天龍社 蚕と絹の歴史』天龍社 1984【N630/69】
・『信濃名士伝 初編』松下軍次著・刊 1894【N280/5】
・『信濃名誉録』西沢俊司編・刊 1893【N280/61】
・『空拳努力信濃立志伝』轟真広著・刊 1922【N280/22】
・『上伊那聨芳録』 池上久太郎著 上伊那聨芳録編纂会 1926【N280/14】
・『おらがふる里みのわ』 箕輪町農業協同組合有線広報課編 箕輪町農業協同組合 1984【N242/99】
・渋沢社史データベース[最終確認2024.1.24]
人名 会社名ともにヒットなし
- 事前調査事項
- NDC
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- 蚕糸業史.事情 (632 10版)
- 中部地方 (215 10版)
- 参考資料
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- 本郷鶴八編. 上伊那郡旧家鑑. 本郷鶴八, 1902. (【N280/21】)
- 長野県編. 長野県史 近代史料編 第2巻 3 (市町村政). 長野県史刊行会, 1984. (【N209/11-1/2-3】)
- キーワード
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- 唐澤錠吉
- 唐澤東一郎
- 丸ト製糸場
- 伊那製糸合名会社
- 中箕輪村
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000344573