レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年08月13日
- 登録日時
- 2022/09/11 10:04
- 更新日時
- 2023/02/22 16:54
- 管理番号
- 相大-R4-006
- 質問
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解決
国道16号線(相模原付近)が、有事の際には滑走路として使えるように造られたと聞いた。本当かどうか知りたい。
- 回答
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1939(昭和14)年に始まる相模原都市建設区画整理事業の当時の設計担当者・浅野英の後日談に「四十メートルという道路幅員は防火道路といざというときの飛行機の発着をも考えてきめたもの」とあること、また、1939年7月の内務省計画局での審議の結果、当初の35メートルから「防空上の理由から、緊急時の飛行機の発着、相模兵器製造所従業員の避難路確保のため、更に幅員40mに拡幅された。」との記載から飛行機の発着も想定した計画だったことがわかった。
現在の国道16号線の相模原警察前を中心とする約3kmが該当の部分となる。
下記の資料と情報を提供した。
『国道16号線スタディーズ』
『相模原市史 現代通史編』
『米軍基地と神奈川』
『戦時体制下の相模原都市建設区画整理事業の成立と展開』 中島将弘・秋本福雄/著 掲載誌『都市計画報告集 3(4)』 2005 J-STAGE
- 回答プロセス
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●自館OPACでキーワード‶国道16号"で検索する。
『国道16号線スタディーズ』 塚田修一・西田善行/編 青弓社 2018 【s33593864 K1-68チャ】
p121 「第5章「軍都」から「商業集積地」へ 2 軍都計画と戦後相模原」あり。
「相模原の十六号線は広い。(中略)これは戦前、戦車の走行にも耐えうるように、また有事の際には飛行機の滑走路としても使用可能なように設計されたもの」との記載あり。
●上記資料の注記より下記の資料にあたる。
『相模原市史 現代通史編』 相模原市教育委員会教育局生涯学習部博物館/編 相模原市 2011 【s30972830 K1-21アオ】
p343-349 「第5章 市の誕生 第3節 軍都計画処理と中心市街地の形成」あり。
「当時の設計担当者であった浅野英の後日談(「内務省時代の都市計画」『都市計画』144)によれば「四十メートルという道路幅員は防火道路といざというときの飛行機の発着をも考えて決めたものである」という。」との記載あり。「この当時計画された道路はそのまま、「国道十六号線」と「グリーンプラザ~市役所さくら通り」として、広い歩道・緑樹帯・側道を残して、前者は東西約三キロメートル、後者は南北約二キロメートルにわたる直線道路として現存している。」との記載あり。
1939(昭和14)年当時の神奈川県都市計画課長だった野坂相如(のさか すけゆき)の記録(「相模原都市建設区画整理事業」『区画整理』五巻十一号)によれば、「造兵廠」を中心に「現在の集落たる省線淵野辺駅付近、橋本駅付近及上溝町中心付近」の「之等を結ぶ三角形」を基幹として設計され、「「造兵廠」という軍事施設をシンボリックに演出した、軍事都市ならではの街路設定であったと言うことができる」、また「幅員四十メートルを確保して、植樹帯を設け、高速車線と緩速車線・歩道とに区分された。」との記載あり。
『米軍基地と神奈川』 栗田尚弥/編著 有隣堂 2011 【s30871289 K0-39】
p96 「防空・防火に備えて四〇メートルという幅員がとられた。」との記載あり。
●国立国会図書館サーチでキーワード‶相模原都市建設整理事業"で検索する。
『戦時体制下の相模原都市建設区画整理事業の成立と展開』 中島将弘・秋本福雄/著 掲載誌『都市計画報告集 3(4)』 2005年4月5日 p102-105 J-STAGE(オープンアクセス)
p104 街路網に関する記載の中に、「街路の最高幅員は25m。但し縦の幹線、横の幹線の交点付近を幅員35mとした。しかし、1939年7月4日、内務省計画局での本案審議の結果、防空上の理由から、緊急時の飛行機の発着、相模兵器製造所従業員の避難路確保のため、更に幅員40mに拡幅された。」との記載あり。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/reportscpij/3/4/3_102/_article/-char/ja/ (最終確認 2022.9.18)
注:【 】内は自館の資料コードと請求記号
- 事前調査事項
- NDC
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- 関東地方 (213 9版)
- 交通政策.行政.経営 (681 9版)
- 参考資料
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- 『国道16号線スタディーズ』 塚田修一・西田善行/編 青弓社 2018
- 『相模原市史 現代通史編』 相模原市教育委員会教育局生涯学習部博物館/編 相模原市 2011
- 『米軍基地と神奈川』 栗田尚弥/編著 有隣堂 2011
- 『戦時体制下の相模原都市建設区画整理事業の成立と展開』 中島将弘・秋本福雄/著 掲載誌『都市計画報告集 3(4)』 2005
- キーワード
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- 国道16号線
- 相模原都市建設区画整理事業
- 軍都計画
- 野坂相如(のさか すけゆき)
- 滑走路
- 浅野英(あさの はなぶさ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000321105