レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年12月17日
- 登録日時
- 2021/10/28 16:09
- 更新日時
- 2022/02/01 17:18
- 管理番号
- 川図20-09
- 質問
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解決
昔の新鶴見操車場に関連する資料を探している。参考になる資料があれば教えてほしい。
- 回答
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[1]当館が所蔵する日本国有鉄道の社史で、新鶴見操車場に関する記述があるものを紹介した。
(1)『日本国有鉄道百年史 第8巻』(日本国有鉄道、1971)
p.479-485「第2節 運転施設の増強」の「第1 停車場および機関庫設備の増強」に、1923(大正12)年から1931(昭和6)年にかけて使用を開始した貨車操車場について、また、1926(大正15)年から1933(昭和8)年にかけて新設された客車操車場について記述がある。
新鶴見操車場については貨車操車場・客車操車場の両方の項に記述されている。それぞれ、設置の背景などについて記述されている。
(2)『日本国有鉄道百年史 第9巻』(日本国有鉄道、1972)
p.3-14「第1節 概説」の「第2 施設」に、新鶴見操車場の設置の目的・着工年・用地・用地面積などについて記述がある。
p.237-254「第6節 停車場改良と水陸連絡設備」の「第1 停車場の改良」(p.237-248)に「新鶴見操車場」(p.247)の項目がある。第1節と重なる内容もあるが、設置の目的・着工年・用地面積・工事の経緯・設備内容などについてより詳しい記述がある。
p.369-410「第4節 通信」の「5 電話交換機」(p.377-380)に、自動交換機が新鶴見操車場に設備されたことについて記述がある。
(3)『日本国有鉄道百年史 第11巻』(日本国有鉄道編、1973)
p.265-358「第1節 建設工事と改良」の「第2 戦時下の建設と改良」(p.270-347)に「新鶴見操車場」(p.293)の項目がある。
第1期工事・第2期工事の計画や軌道・盛土の規模などについて記述があり、わが国初の「カーリターダ」(軌道貨車制動装置)が試験的に設置されたことについて記述されている。
p.593-644「第4節 信号」の「第4 連動装置」(p.634-643)に「カーリターダ」(p.635)の項目があり、新鶴見操車場に設けられたわが国初の「カーリターダ」(軌道貨車制動装置)について記述がある。
p.637-639「Ⅰ型とⅡ型」では、新鶴見操車場の営業開始日・ハンプヤードの使用開始日・改良工事などについて記述がある。
[2] 当館が所蔵する神奈川県・川崎市に関する資料を調査し、以下の資料を紹介した。
(4)『神奈川県の百年 県民100年史』(高村直助著、山川出版社、1984)
p.189-232「五 恐慌の嵐のなかで」の「3 京浜工業地帯の発展」(p.207-222)に「臨海鉄道と新鶴見操車場」(p.210-213)の項目があり、新鶴見操車場の建設の背景・建設場所・建設に対する住民の反対運動と議会の対応などについて記述がある。
(5)『川崎市史 資料編 4 下 現代 産業・経済』(川崎市、1990)
p.3-446「第一編 戦前の川崎」のなかで「第一章 恐慌より戦争へ」(p.3-263)に、「58 大正十四年十二月 日吉村地主、市会宛新鶴見操車場用敷地移転議決に対する要望」(p.167)がある。
[3]神奈川県立図書館に調査を依頼し、以下の回答を得たので質問者に伝えた。
(6)『新鶴見操車場しおり』(日本国有鉄道新鶴見操車場、1953)
内容は、「1.沿革」「2.地勢」「3.設備」「4.作業」「5.職員」となっている。
(7)『川崎市史 通史編 4下:現代 産業・経済』(川崎市、1997)
「第一編 戦前の川崎」の中の「第一章 恐慌より戦争へ」の中に「第四節 川崎市域の陸上交通」が立項されており、p.83-85に「新鶴見操車場の開設」が立項されている。
p.84「鉄道省東京改良事務所は、計画どおり第一期工事に着手し、昭和四年八月に新鶴見操車場を完成させた。初代駅長には菊地淡水が着任し、同操車場には一三五名の職員を擁した(『鶴操誌』川崎市公文書館蔵)。」と記されている。
また、p.178-179には「川崎周辺の鉄道被害」が立項されており、p.178「(昭和二十年の空襲で)新鶴見操車場の大部分が被災した。」と記載されている。
(8)吉田ミチ子著「新鶴見操車場の変遷~鶴操誌を読む~」が以下の資料に所収されている。
『郷土つるみ 第73号』(鶴見歴史の会 p.1-14 2014.4)
『郷土つるみ 第73号』の表紙には「新鶴見操作場のポイント切り替所(昭和30年代)」の写真が掲載されている。こちらの論考は、川崎市公文書館で所蔵している『鶴操誌』原本を一字ずつ書き写したうえで読み解き、論考したものである。
(9)君嶋武胤著「新鶴見操車場跡地の整備構想をめぐって」
『地域経済研究 1987-第5号』(川崎市 p.67-75 1987.3)
上記は跡地の整備構想を主眼とした論考だが、「新鶴見操車場をめぐる経緯」が立項され、「新鶴見操車場略年表」(p.70)も掲載されている。
(10)『神奈川県統計書』(神奈川県)
昭和4~12年まで、「交通及土木」の中の「県下各駅旅客及貨物運輸収入」に「支線」の中に「新鶴見操車場」が立項され、「貨物収入」「収入総額」の項目に記載がある。なお、項目名称は年により若干の変更がある。
昭和24、25・26、1952-54においては、「交通・通信・郵便」の中の「県内国鉄各駅別運輸成績」の中に「(新鶴見)」と立項され、「発送貨物」「到着貨物」「中継貨物」「貨車」「貨物収入」「収入合計」などの項目に記載がある。なお、こちらの年代においても項目名称は年により若干の変更がある。
(11)この他にも神奈川県立の図書館OPAC(蔵書検索・横断検索)で「全項目」の検索窓に「鶴見操車場」と入力すると新聞記事(県内記事)が、1982年4月24日15面の神奈川新聞の記事から2019年2月27日の読売新聞26面の記事まで36件ヒットする。いずれも神奈川県立図書館のかながわ資料/新聞・雑誌室で閲覧可能。
- 回答プロセス
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○Googleで「新鶴見操車場」と検索し、ヒットした下記のページを確認した。
(12)川崎市幸区役所「新鶴見操車場」https://www.city.kawasaki.jp/saiwai/page/0000024752.html(2021年10月28日最終閲覧)
このページを確認し、昭和4年に始動した旧国鉄の施設だということが分かった。
[1]上記(12)から、日本国有鉄道の施設だということが確認できたので、日本国有鉄道の社史を確認した。
(13)『日本国有鉄道百年史 索引・便覧』(日本国有鉄道、1974)
p.84「新鶴見操車場」⑧479・480、⑨14・247・380、⑪293・635・639と記載されている。
これを受けて、(1),(2),(3)の該当ページを調査した。
[2]上記(12)で確認できた、「1925(大正14)年に建設計画が始まり、1929(昭和4)年に始動、1984(昭和59)年に信号所としての機能を残して貨物区は廃止となった」という情報から、この年代の情報を含んでいる神奈川県または川崎市に関する資料として、(4),(5)を確認した。
[3]神奈川県立図書館の「かながわ資料/新聞・雑誌室」に所蔵がある郷土資料にも参考になる資料があると考え、調査を依頼した。
注:(11)でOPACでの「全項目」検索について回答しているが、回答後に図書館システムの更新によってこの機能はなくなっている。
当事例作成時には「神奈川県関係記事・文献情報検索」でフリーワードを「鶴見操車場」とし検索すると、42件のデータがヒットする。
○回答後、2021年3月発行の新鶴見操車場に関する資料が受け入れされていた。
(14)『なつかしの新鶴見操車場 矢向・江ケ崎・尻手住民の思い出ばなし』(つるみ地域つながりクラブ郷土史研究会編、2021)
- 事前調査事項
- NDC
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- 関東地方 (213)
- 鉄道運輸 (686)
- 参考資料
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日本国有鉄道. 日本国有鉄道百年史 第8巻. 日本国有鉄道, 1971.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001167815-00 -
日本国有鉄道. 日本国有鉄道百年史 第9巻. 日本国有鉄道, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001167816-00 -
日本国有鉄道. 日本国有鉄道百年史 第11巻. 日本国有鉄道, 1973.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001167818-00 -
高村直助 [ほか]著 , 高村, 直助, 1936-. 神奈川県の百年. 山川出版社, 1984. (県民100年史 ; 14)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001687021-00 -
川崎市. 川崎市史 資料編 4 下 (現代 産業・経済). 川崎市, 1990.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002063922-00 -
日本国有鉄道新鶴見操車場 編 , 日本国有鉄道新鶴見操車場. 新鶴見操車場しおり. 日本国有鉄道新鶴見操車場, 1953.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I105958061-00 -
川崎市/編集 , 川崎市. 川崎市史 通史編4下. 川崎市, 1997.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I011573992-00 -
鶴見歴史の会 , 鶴見歴史の会. 郷土つるみ 第73号. 鶴見歴史の会, 2014.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I096872138-00 -
川崎市経済局産業政策部企画課 編 , 川崎市. 地域経済研究 (5). 川崎市, 1987-03., ISSN 02886391
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I000583224-00 -
神奈川県 編 , 神奈川県. 神奈川県統計書 昭和4年 1. 神奈川県, 1929.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I105937053-00 -
神奈川県関係記事・文献情報検索.
https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/k_bunken/ (2022年1月8日最終閲覧) -
日本国有鉄道. 日本国有鉄道百年史 索引・便覧. 日本国有鉄道, 1974.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001167825-00 -
なつかしの新鶴見操車場 : ~矢向・江ケ崎・尻手住民の思い出ばなし~. 史季の郷, 2021.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I105018878-00
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日本国有鉄道. 日本国有鉄道百年史 第8巻. 日本国有鉄道, 1971.
- キーワード
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- 新鶴見操車場
- 日本国有鉄道
- 社史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000306651