栃木県内の女郎墓の所在についてまとめた資料は確認できませんでしたが、以下の資料に具体的な場所の記述を確認しました。
・『日光道中雀宮宿』(辻光義/著 随想舎 1992)
p.265-271「十四 旅籠屋と飯盛女」の項に、雀宮宿で飯盛女の霊を祠るお墓が雀宮五丁目のあだて地蔵であると記述があります。(p.270)
また、調査の過程で以下の資料に関連する記述を確認しました。
・『日光例幣使のみち』(清水蓼人/著,永岡利一/画 あさを社 1986)
当資料の別冊として「「風のなかの街道」第一集 日光例幣使のみち 別冊 良寛と上州飯売下女」(永岡利一/著)が収録されています。
内容は上州(現在の群馬県)に関するものですが、「飯売下女の墓」の項に、宿場跡の町に飯売下女の墓があったことや、一部の墓については所在地(寺院名)の記述があることを確認しました。(p.10-13)
上記資料の記述に基づき、「日光例幣使街道」に関する資料を中心にお調べしたところ、旅籠や遊廓、飯盛女等に関して記述のある資料を確認しましたので、参考までにご紹介します。
■「日光例幣使街道」の旅籠や遊廓、飯盛女等に関する資料
・『史談 第13号』(安蘇史談会/編、発行 1997)
p.45-62「堀米宿における旅籠屋渡世」(京谷博次/著)の項に、飯盛旅籠、飯盛下女奉公人についての記述があります。
・『日光例幣使街道』(五十嵐富夫/著 柏書房 1977)
p.138-160「第三章 日光例幣使道とその宿駅 第二節 日光例幣使道における宿駅 四 日光例幣使道における飯盛女」の項に、各宿場の飯盛女についての記述があります。
・『今昔三道中独案内 新装版』(今井金吾/著 JTB 2004)
日光道、日光壬生道、日光例幣使街道、奥州街道、甲州街道の各宿場の概要、宿場間の道程や旧跡等が地図で分かる資料です。
p.145-195「日光例幣使街道」の各項に遊女屋に関する記述があります。
「木崎より太田へ」(p.161-168)
「八木より梁田へ」(p.165-166)
「梁田より天明へ」(p.167-168)
「合戦場より金崎へ」(p.179-180)
・『栃木の街道』(奥田久/監修 栃木県文化協会 1978)
p.141-186「四章 日光例幣使街道」の各項の各宿に飯盛女、遊女屋、遊郭の記述が散見されます。
「八木宿」(p.149-151)
「梁田宿」(p.151-152)
「堀米・犬伏宿」(p.163-165)
「富田宿」(p.167-169)
「金崎宿」(p.183-184)
■その他
調査の過程で確認した資料のうち、栃木県内の遊廓の所在に関する資料です。参考までにご紹介します。
・『近代庶民生活誌 14』(南博/責任編集 三一書房 1993)
p.7-172「全国遊廓案内」の「関東地方 栃木県の部」に、本県内の遊郭の概要が記されています(p.24-29)。
なお、「凡例」の項に「明治、大正から昭和十年代までに発表された文献を主体として収録した。」とあるため、紹介されている遊廓は明治時代以降のものと考えられます。
以下の資料をお調べしましたが、関連する記述は確認できませんでした。
・『栃木縣史 第17巻(墳墓編・總索引)』(田代善吉/著 臨川書店 1972)
・『下野の野仏』(栃木県教育委員会/編,発行 1973)
・『とちぎの野仏』(成島行雄/著 花神社 1977)
・『とちぎの石造物』(塙静夫/文・写真 随想舎 2022)
・『日光道中江戸近郊の宿駅と文化』(佐藤久夫/著,発行 1993)【館内】
・『花街及売笑関係資料目録』(藤賀咲多/著 史録書房 1978)
・『続 花街及売笑関係資料目録』(藤賀咲多/著 史録書房 1979)
・『花柳風俗語辞典』(藤井宗哲/編 東京堂出版 1982)
・『日本公娼史』(山本俊一/著 中央法規出版 1983)
・『近世女性生活絵典』(原田伴彦/〔ほか〕著 柏書房 1983)
・『遊女風俗姿細見』(足立直郎/著 展望社 1983)
・『遊女始末記』(福田早苗/著,発行 2007)
・『駆込寺と村社会』(佐藤孝之/著 吉川弘文館 2006)
・『関東の葬送・墓制』(池田秀夫/ほか著 明玄書房 1979)
・『死と葬送 民俗小事典』(新谷尚紀/編,関沢まゆみ/編 吉川弘文館 2005)【館内】
・『石に刻まれた江戸時代』(根達人/著 吉川弘文館 2020)