レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/09/06
- 登録日時
- 2014/02/27 00:30
- 更新日時
- 2014/03/29 11:33
- 管理番号
- 横浜市中央2366
- 質問
-
解決
独逸万国”霊泉”博覧会の記述のある資料、情報を探しています。
長野県小谷温泉山田旅館に「内務省御選抜 独逸萬国”霊泉”博覧会出泉」
とあったもので、明治26(1893)年の出来事とのことです。
- 回答
-
明治26(1893)年にドイツで「万国”霊泉”博覧会」があったという資料は見つけられず、
山田旅館の看板資料のみが「震泉博覧会」という標記を使用していました。
明治14(1881)年にドイツ(フランクフルト)で「万国”鉱泉”博覧会」に日本全国の温泉から
出品したという記述は様々な資料にありました。
調査済資料は次のとおりです。
1 図書資料
(1)小谷温泉関係資料
ア 『小谷村誌 社会編』小谷村誌編纂委員会/編 小谷村誌刊行委員会 1993
p.252
小谷温泉の説明があり、「明治時代に内務省推薦によりドイツ博覧会に出品して
高い評価を得たことがある。そのことを示す掲額(口絵参照)が今も山田旅館にあるが、
別府・登別・草津と共に日本四大温泉の一つといわれていた。」とあります。
口絵の看板には、やはり「内務省御選抜独逸萬国”霊泉”博覧會出泉」とあります。
「大正期、大町駅に掲げられた小谷温泉の看板」と説明があります。
小谷村の年表が巻末にありますが、万国博覧会関連の記述はありません。
イ 『温泉 歴史と未来』 日本温泉協会/編 日本温泉協会 2007
p.51
「しかし明治政府も何もしなかったのではなく、明治14年にドイツで開かれた
万国”鉱泉”博覧会に出品するために、日本全国の温泉・”鉱泉”の地誌と
利用の実態を調査し、また簡単ながら泉質分析をしました。
その結果を明治19年に、内務省衛生局編纂『日本”鉱泉”誌、全三巻』として
刊行しました。」とあります。
ウ 『湯治の文化誌 論集〈温泉学〉』日本温泉文化研究会/編 岩田書院 2010
p.191-214「近代の温泉案内記 別府をめぐる四つの温泉誌」菅野武宏/著
p.193-194
「明治19年には内務省衛生局による『日本”鉱泉”誌』全三巻が刊行されている。
本書には全国各地の温泉(”鉱泉”)について、泉質や成分・温度・位置状況・浴客
といった諸情報が掲載されている。もともとこの書は、ドイツのフランクフルトで
明治14年に開催された「万国”鉱泉”博覧会」に向けて集められたデータが基になっており、
関戸によれば記載された”鉱泉”は全部で922カ所にのぼるという。」とあります。
エ 『明治後期産業発達史資料 第342巻 日本”鉱泉”誌 上巻』竜渓書舎 1997
「緒言」のp.2
紹介する資料内で多数引用される、『日本”鉱泉”誌』三巻が、
この『明治後期産業発達史資料』第342、343及び344巻で復刻されております。
こちらに、「府県に於て管内の”鉱泉”を分析し其成績を報告せしものあり殊に
明治十四年独乙國フランクフルト府に万国”鉱泉”博覧会を開設せし際
我政府より全国の”鉱泉”を調査し其図表を製して該会に出品するか為に
照会してその材料を蒐集せり…」とあります。
そして343巻(日本”鉱泉”誌 中巻)p.238に小谷温泉の記述があります。
オ 『近代ツーリズムと温泉 叢書・地球発見』関戸明子/著 ナカニシヤ出版 2007
p.12-20
こちらに、ドイツの万国”鉱泉”博覧会と上記の『日本”鉱泉”誌』出版の
経緯の記述があります。
3)万国博関係資料
ア 『万国博覧会 技術文明史的に 改訂版 NHKブックス477』吉田光邦/著
日本放送出版協会 1985
p.230
「明治・大正期に日本が参加した万国博・国際博」という一覧があります。
その中で、ドイツが開催した万国博は、
明治13年 ドイツ(ベルリン) 漁業博
明治14年 ドイツ(フランクフルト) ”鉱泉”学博
明治18年 ドイツ(ニュールンベルク) 金工博
明治22年 ドイツ(ハンブルグ) 商業博
明治26年 アメリカ(シカゴ) コロンブス万国博
明治44年 ドイツ(ドレスデン) 衛生博
とあります。
イ 『図説万国博覧会史 1851-1942』吉田光邦/編 思文閣出版 1985
p.191-192
万国博年表として、1851(嘉永4)年~1939(昭和14)年まで一覧がありますが、
明治26年はシカゴ博のみです。”鉱泉”博についての記述はありません。
ウ 『国際博覧会歴史事典』平野繁臣/著 内山工房 1999
p.313-347
国際博覧会年表があります。明治26年「コロンブス新大陸発見四百年記念博」
アメリカ(シカゴ)とあります。”鉱泉”博については記述ありません。
2 新聞
(1)聞蔵Ⅱ
明治・大正・昭和の朝日新聞縮刷版を、「ドイツ」「博覧会」「”霊泉”」「”鉱泉”」「温泉」などの
キーワードでンラインデータベースを検索したところ、ドイツで開催された博覧会に関する記事が多く
ありました。年月日としては概ね次のとおりです。
1880年2月18日
1880年8月18日
1880年12月2日
1880年12月12日
1881年3月25日
1881年4月22日(2件)
1881年7月10日
1882年1月5日
1882年4月1日
1883年8月8日
1891年10月25日
1892年5月21日
1897年1月10日
(2)ヨミダス歴史館
同様に、明治・大正・昭和の読売新聞を検索できるオンラインデータベースで
検索しました。こちらでも、多くの博覧会の記事がありました。その中で、
1892年6月28日別刷に関連のある記事がありました。
3 その他インターネットサイト
(1)別府温泉地球博物館
サイト内の連載「温泉科学」の第3回「日本での地球科学的温泉研究のあゆみ」によると、
「明治政府は全国の温泉等の効用などを調査しており、「1879(明治12)年、
内務省の命で各地の”鉱泉”が精査され、ヨーロッパの著名な”鉱泉”と比較されて、
その結果が日本”鉱泉”誌として公開されました。続いて、1886(明治19)年に
ドイツで開催された”鉱泉”博覧会に、各府県の”鉱泉”の調査結果が出品され、
それらを整理した日本”鉱泉”誌3巻(内務省衛生局編)が出版されました。」
として、その参照文献として『温泉の指針』を挙げています。
http://beppumuseum.jp/yusa/yu003.html
(2)和倉温泉
「明治12年から13年にかけて、湯島までの埋め立てが進み、ついに陸続きとなりました。
また、その年には、ドイツで開催された万国”鉱泉”博覧会で和倉の温泉が三等賞を受賞。
世に名声を博しました。」とあります。
http://www.wakura.or.jp/c4.html
4 記述が確認できなかった調査済み資料は次のとおりです。
『博覧会と明治の日本』 國雄行/著 吉川弘文館 2010
『国際博覧会を考える メガ・イベントの政策学』
名古屋学院大学総合研究所/編 晃洋書房 2005
『博覧会の時代 明治政府の博覧会政策』 岩田書院 2005
『日本の博覧会 寺下勍コレクション 別冊太陽 日本のこころ』
橋爪紳也/監修 平凡社 2005
p.228-235
「日本の博覧会年表」として国内で開かれた博覧会が網羅的に年表になっています。
昭和12年に別府で「国際温泉観光大博覧会」が開かれたそうです。
『温泉博物誌 やすらぎとくつろぎとたのしみと シリーズ・グラフ文化史』朝日新聞社/編
朝日新聞社 1986
『全国温泉大事典』野口冬人/著 旅行読売出版社 1997
『温泉の文化誌 論集〈温泉学〉』日本温泉文化研究会/編 岩田書院 2007
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 地震学 (453 8版)
- 団体 (606 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000149903