レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年05月22日
- 登録日時
- 2012/07/12 02:00
- 更新日時
- 2012/07/13 10:05
- 管理番号
- 堺-2012-001
- 質問
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解決
旧堺市街辺りでは、「戦後」以前には、サルボウ貝のことをなんと呼んでいたのか。
またサルボウ以外の「サブロウ」等であった場合、それは現在の堺市堺区辺りで、どの程度「言葉」として残っているのか。
- 回答
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「サルボウ」以外の呼び名を見つけることができなかった。
また現在の言葉における別の呼称についても確認することができなかった。
- 回答プロセス
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まず、貝類であるのでNDCは484。当館の参考図書コーナーへ行く。
①『原色日本貝類図鑑(増補改訂版)』吉良 哲明/著1977年(保育社)を見ると、p.111に「サルボウ」とあり、一般的な名称であることがわかる。
次に、堺での名称についての質問であるので、当館の地域資料コーナーの同分類484を見る。また、ちょうど新しく受け入れた図書の中に大阪市立自然史博物館発行の水辺の生き物に関するものを発見。 堺や大阪の周辺での生息状況等について調べてみることにする。
②『干潟に棲む動物たち』(大阪市立自然史博物館)のp.10に「サルボウガイ」の学名・形態・生態がイラストともに簡単に説明されている。
③『大阪湾 男里川・近木川河口周辺に生きる貝』2006年(きしわだ自然友の会)のp.34・35に「サルボウ」の学名・形態・生態が写真とともに簡単に説明。また、1992年~2005年の間に、男里川海岸・近木海岸・二色ノ浜で生貝の状態で打ち上げられていることも分かる。
④『この道遠し貝と私(百人の佐野物語第52集)』岡村 親一郎/[述]2006年(泉佐野の歴史と今を知る会)に添付の論文『〔大阪湾の貝〕-男里川周辺の貝類-』のp.41、ここでの調査によると、大阪湾男里川河口沖では1995年~2004年の間に192個出現しているとの結果が出ている。
⑤『大阪湾奥部 堺第7-3区埋立地の貝類遺骸』児島格ほか/著1995年のp.16・30に「サルボウ」の学名・形態・写真が載っている。
②~⑤より現在の泉南市の海岸ではサルボウの生貝が打ち上げられており、また1953年頃であれば、堺の海岸にも打ち上げられていることが確認できたが、現在の堺の海岸にどの程度打ち上げられているかについての資料は見つからなかった。またいずれの資料からも「サルボウ」以外の呼び名は見つけることができなかった。
続いて、「サルボウ」の堺での呼び方について言語に関する地域資料分類818で調べた。
⑥『なつかしい堺のことば』川村 淳二/編2006年(堺泉州出版会)には、貝の呼び方に関する記述が見当たらなかった。
また調査結果にもサルボウ・サルボウガイ以外の呼称は記述がなく、⑤の他にも泉州や大阪の方言・土地言葉等の参考資料にも目を通したが、戦前および現在における呼び方が確認できなかった。この点については、資料だけでなく、相当のフィールドワーク(聞き取り調査)が必要となると思われる。
- 事前調査事項
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・質問者は昭和20年代~40年代に堺に居住、通学、通勤していた方である。
・当時、堺港や出島の港に、赤貝の小型のような貝―猿頬貝(さるぼうがい)が上がっていたが、これのことを、当時、大浜辺りでは、サブロー貝か、サブロか、サボロの様に呼んでいた様に薄く記憶しているとのことである。
・質問者は『ちぬの海(泉州むかしむかし)』小林 利郷/編著2007年(和泉史談会)p.86で、昭和63年当時81歳の泉大津の漁師の翁が「サブロウガイ」と発音していることを確認している。
- NDC
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- 一般動物学 (481 8版)
- 軟体動物.貝類学 (484 8版)
- 方言.訛語 (818 8版)
- 参考資料
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- 干潟に棲む動物たち 山西 良平/著 大阪市立自然史博物館
- 大阪湾男里川・近木川河口周辺に生きる貝 きしわだ自然友の会
- この道遠し貝と私 岡村 親一郎/[述] 泉佐野の歴史と今を知る会
- 大阪湾奥部堺7-3区埋立地の貝類遺骸 小島 格/〔ほか著〕 小島
- なつかしい堺のことば 川村 淳二/編 堺泉州出版会
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ちぬの海 泉州むかしむかし 小林 利郷/編著
和泉史談会 - 原色日本貝類図鑑(増補改訂版) 吉良 哲明/著 1977年 保育社
- キーワード
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- サルボウ
- サルボウガイ
- 土地言葉
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000108456