レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年05月21日
- 登録日時
- 2015/12/19 12:22
- 更新日時
- 2015/12/25 10:43
- 管理番号
- 千県西-2015-16
- 質問
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解決
誰がどのような方法で働きアリの法則を発見したのですか。
- 回答
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「働きアリの2割は働かない」等の研究結果は、北海道大学の長谷川英祐氏らが行った、アリの観察実験等により発見されたもののようです。
紹介されている新聞記事に下記のものがありました。
【記事1】「働きアリ、2割は働かず でも組織に貢献? 北大助手ら研究」(『朝日新聞』2003年10月29日)夕刊p14
【記事2】「はみ出し者、優等生集団より稼ぎ多 アリの行動、模擬実験/北海道」(『朝日新聞』2003年11月9日)朝刊p26(北海道2面)
【記事3】「働かないアリにも働き 集団存続へ有事に備え?」(『日本経済新聞』2013年4月28日)朝刊p15
長谷川英祐氏らの研究について、北海道大学のサイト内にプレスリリースが掲載されていました。
「働くアリだけのグループにしても働かない個体が現れることを証明 (農学研究院 准教授 長谷川英祐)」(北海道大学 プレスリリース(研究発表))(http://www.hokudai.ac.jp/news/121207_pr_agr.pdf)
なお、このプレスリリースに記載のある発表論文
「The mechanism underlying the regulation of work-related behaviors in the monomorphic ant, Myrmica kotokui」
については、下記ウェブページで抄録を見ることができます。(英文です。)
(http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10164-012-0349-6#)
また、長谷川英祐氏の著書に下記の図書があります。
【資料1】『働かないアリに意義がある』(長谷川英祐著 メディアファクトリー 2010 メディアファクトリー新書)
一般の読者に読みやすいよう書かれている新書で、実験方法等の詳細は書かれていませんが、「7割のアリは休んでいる」、「「2:8の法則」は本当か」などの項があり、文章中に「私たちが、シワクシケアリというアリで行った最近の研究では、1ヵ月以上観察を続けてみてもだいたい2割くらいは「働いている」とみなせる行動をほとんどしない働きアリであることが確認されました。」
(p27)等の記載があります。
【記事1】~【記事3】は当館で契約のデータベースで閲覧、コピーが可能です。
【資料1】は県内図書館で所蔵しています。千葉県立図書館では所蔵していませんが、ご希望の場合は取り寄せて利用することも可能です。
(インターネットの最終アクセス:2015年5月27日)
- 回答プロセス
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ヒントを得るため「働きアリ 法則」等のキーワードでインターネット検索。
北海道大学の長谷川英祐氏の研究を紹介しているサイトが散見されたため、【資料1】を確認、また、北海道大学サイト内に関連情報がないか確認した。
また、新聞記事を、朝日新聞データベース「聞蔵Ⅱ」、日本経済新聞等データベース「日経テレコン21」で検索した。
なお、「雌アリ(女王アリ)」や「働きアリ」などのカーストやアリの社会性については、『日本産アリ類全種図鑑 学研の大図鑑』(学研 2003)<当館請求記号:4867/20>の「アリの性決定とカーストの分化」、「アリの社会性進化」の項(p14-17)で基本事項を確認することができた。
また、回答後、アリの生態についての資料を更に確認したところ、他の説に言及した資料が見つかった。
『社会性昆虫の進化生物学』(東正剛共編 海游舎 2011)<当館請求記号:4861/46>のコラム「Box8-4『働かないアリ』」(p363)に、「アリの巣の中には働かない働きアリがいる」「その比は8:2」などの説について「実はこれの出典となる学術論文は筆者の知るかぎり存在しない」、「この逸話の出典はあまりはっきりしないが、筆者が調べ得たかぎりでは、日本での由来は散逸構造論の始祖、Prigogineの1983年の本田賞受賞記念講演にあるようである」等の記載がある(この章の筆者は土畑重人氏)。この講演については、「1983年11月17日本田賞授与式に於ける記念講演」が「本田財団レポートNo.41『人間と自然との新しい対話』(ブラッセル自由大学教授 イリヤ・プリゴジン)」としてインターネット公開されている。「ライブラリ|公益財団法人 本田財団」(http://www.hondafoundation.jp/library/index/menu:10/page:2)からPDFで閲覧可能。この講演記録中で、「最近行われた実験」が紹介されているが、実験の詳細(誰がいつ行ってどこで発表した実験なのか)は明記されていなかった。
(インターネットの最終アクセス:2015年11月23日)
- 事前調査事項
- NDC
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- 一般動物学 (481 9版)
- 昆虫類 (486 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『働かないアリに意義がある』(長谷川英祐著 メディアファクトリー 2010 メディアファクトリー新書)
- 【記事1】「働きアリ、2割は働かず でも組織に貢献? 北大助手ら研究」(『朝日新聞』2003年10月29日)夕刊p14
- 【記事2】「はみ出し者、優等生集団より稼ぎ多 アリの行動、模擬実験/北海道」(『朝日新聞』2003年11月9日)朝刊p26(北海道2面)
- 【記事3】「働かないアリにも働き 集団存続へ有事に備え?」(『日本経済新聞』2013年4月28日)朝刊p15
- キーワード
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- 社会生物学
- あり(蟻)
- 働きアリ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000186011