レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年07月23日
- 登録日時
- 2023/07/30 00:30
- 更新日時
- 2023/10/18 14:07
- 管理番号
- 2D23009372
- 質問
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解決
ケサラン・パサランを捕まえた。何を食べるのかなど、飼育方法を知りたい。また動物なのか植物なのか知りたい。
- 回答
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ケサランパサランについて書かれた以下の資料を確認したところ、いずれも「白粉を食べる」や「白粉箱に入れておく」と書かれていました。
また、資料(2)(3)(4)には、ケサランパサランは鉱物性・動物性・植物性の3種類があると記述されていました。
(1)『ケサランパサラン日記』 (西 君枝/著 草風社 1980.6)
ケサランパサランの観察記録をまとめたもので、写真も多数掲載されています。
p.9に「早速、紙箱に入れ、十年も前に使った古いおしろいを探し出し、そっとかけておいた。なぜおしろいをかけたかというと、この奇妙な生き物は、おしろいを食べて成長するのだそうな。」とあります。
(2)『47都道府県・妖怪伝承百科』 (小松 和彦/監修 丸善出版 2017.9)
「六 山形県」のp.66に「ケサランパサラン」項があり、「白い毛玉状の呪物で、もつ者に幸福をもたらすという。ケセランパサラン、テンサラバサラ、ヘイサラバサラなどの別名をもつ。(中略)念珠関村(現在の鶴岡市)では、テンサラバサラは白粉を食べさせて育てると子を産んで増えるといわれていた。(中略)世間で一般的にケサランパサランなどとして認識されているものは、基本的には動物の毛玉、球状の鉱物、植物の綿毛の3種に大別できる。」とあります。
(3)『日本怪異妖怪大事典』 (小松 和彦/監修 東京堂出版 2013.7)
p.219「けさらんぱさらん」の項に、「類 けさらばさら、けせらんぱさらん、てんさらばさら、へいさらばさら 白い綿毛もしくは毛玉で、持ち主に幸福をもたらすという呪物。(中略)白粉箱に入れておくと白粉を食べて成長し、子を産み増えるといい、生物のようにも考えられている。(中略)動物質の毛玉、鉱物質の毛玉、植物質の毛玉の三種類がある。」とあります。
(4)『江戸幻獣博物誌 -妖怪と未確認動物のはざまで-』(伊藤 龍平/著 青弓社 2010.10)
p.245-251「あとがき-ケサランパサラン的幸福感」のp.245に「ふわふわとした白くて丸い毛のかたまりで、タンポポの綿毛かウサギの尻尾を思わせる。白粉箱のなかに入れて代々これを伝えている家があり、気がつくと増えていたりするというが、箱に穴を開けておかなければ窒息して死んでしまうともいう。(中略)わたしの知り合いにも、ケサランパサランを飼っている人がいる。」、p.249に「ものの本によると、今日のケサランパサランには、鉱物性・動物性・植物性の三種があるという。」とあります。
(5)国立国会図書館デジタルコレクション『小泉の民俗 : 宮城県本吉郡本吉町旧小泉村』(東洋大学民俗研究会,1982.7)
https://dl.ndl.go.jp/pid/9570789/1/220 (2023.8.1確認)
「世間話」のp.418(コマ番号220)に「〔座敷おぼこ〕歌津のある家にケセランオパサランと名付けられた座敷おぼこがいた。それはお白粉を食べていたといわれる。また、座敷おぼこは開けることのめったにない部屋のある家に出るという。」とあります。
(6)『てんさらばさらてんさらばさら』([特選こどものともライブラリー] 2021-1) わたり むつこ/さく こどものとも社(販売) 2021.4
子ども向きの絵本ですが、p.7に「これにおしろいをふりかけると、すこしずつふえてね、そのたびにいいことがおこるんだよ。」、p.8に「(略)てんさらばさらをちいさなうるしぬりのはこにいれ、おしろいをふりかけました。」とあります。
以下は、ケサランパサランに現象や正体について考察された論文です。
(7)日本口承文藝學會:バックナンバー:『口承文芸研究』2001年(第24号)〜 2010年(第33号)
https://www.ko-sho.org/page/activity/kikanshi/kikanshi-2010.html (2023.8.1確認)
2006年3月(第29号) 板倉義之「「名付け」と「知識」の妖怪現象 ―ケサランパサランあるいはテンサラバサラの一九七〇年代―」
ケサランパサランを妖怪現象として論じられた記事です。ケサランパサランを捕まえた友人がいたという思い出や、ケサランパサランの解説、また1970年のケサランパサランのブームの様子などを資料として取り上げ、ケサランパサランについての詳細に論じられています。
(8)国立国会図書館デジタルコレクション『心霊研究 = Psychical research and spiritualism 51(5)(603)』 ( 日本心霊科学協会,1997-05 )(図書館・個人送信限定)
https://dl.ndl.go.jp/pid/3420072/1/19 (2023.8.1確認)
p.30-53(コマ番号17-28) 中沢信午「不思議との出会い」のp.35-43(コマ番号19-23)「12 ケサランパサラン」の項に、ケサランパサランを所有する人から小片をもらい受け、その毛を検査した結果について記述されています。
- 回答プロセス
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1.当館蔵書検索にて、フリーワード“ケサランパサラン”で検索。資料(1)が見つかる
2.「レファレンス協同データベース」で、キーワード“ケサランパサラン”で検索。「「ケサランパサラン」とはどんなものか。」( https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000292851 )(2023.7.23確認) など4件の事例がヒットする。参考文献を確認し、資料(2)(3)(4)(7)が見つかる。
3.「国立国会図書館デジタルコレクション」にて、キーワード“ケサランパサラン 飼育”で検索。資料(5)が見つかる。
4.資料(4)にあげられている論文を確認。資料(6)が見つかる。
5.「CiNii Research」にて、キーワード“ケサランパサラン”で検索。プロセス4と同じ論文がヒットする。
6.「国立国会図書館デジタルコレクション」にて、キーワード“ケサランパサラン”で検索。資料(8)が見つかる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 民族学.文化人類学 (389 9版)
- 被子植物 (479 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0070097519> ケサランパサラン日記 西 君枝/著 草風社 1980.6 資料(1)
- 当館書誌ID <0014376760> 47都道府県・妖怪伝承百科 小松 和彦/監修 丸善出版 2017.9 978-4-621-30158-6 資料(2)
- 当館書誌ID <0012768341> 日本怪異妖怪大事典 小松 和彦/監修 東京堂出版 2013.7 978-4-490-10837-8 資料(3)
- 当館書誌ID <0012172680> 江戸幻獣博物誌 -妖怪と未確認動物のはざまで- 伊藤 龍平/著 青弓社 2010.10 978-4-7872-2040-0 資料(4)
- 当館書誌ID <0014995945> てんさらばさらてんさらばさら([特選こどものともライブラリー] 2021-1) わたり むつこ/さく こどものとも社(販売) 2021.4 資料(6)
- 国立国会図書館デジタルコレクション『小泉の民俗 : 宮城県本吉郡本吉町旧小泉村』(東洋大学民俗研究会,1982.7) https://dl.ndl.go.jp/pid/9570789/1/220 資料(5)
- 日本口承文藝學會:バックナンバー:『口承文芸研究』2001年(第24号)〜 2010年(第33号) https://www.ko-sho.org/page/activity/kikanshi/kikanshi-2010.html 資料(7)
- 国立国会図書館デジタルコレクション『心霊研究 = Psychical research and spiritualism 51(5)(603)』 ( 日本心霊科学協会,1997-05 ) https://dl.ndl.go.jp/pid/3420072/1/19 資料(8)
- キーワード
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- ケサランパサラン
- ケセランパサラン
- テンサラバサラ
- ヘイサラバサラ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000336587