レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年07月09日
- 登録日時
- 2024/01/24 12:09
- 更新日時
- 2024/03/12 16:13
- 管理番号
- 中2023-018
- 質問
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『五人組帳前書』に「幼年之子供等持遊之慰ニ石又ハ土を以焼等いたし候品ニ賭事真似いたすも~」とあるが、この「子どもの遊び」はどのようなものだったか知りたい。
- 回答
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回答プロセス内の(3)や①②③から「泥面子」などを用いた穴一系の遊びではないかと推測される。
- 回答プロセス
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(以下、紙媒体資料については丸数字、その他の情報については丸括弧付き数字を表記する。)
1 インターネット調査
・『五人組帳前書』の内容について
(1)群馬県ホームページ https://www.pref.gunma.jp/
HP内、群馬県立文学館の「インターネット古文書講座参考資料」第2弾【入門編】初心者のための「お茶の間古文書講座」に山本大膳蔵版:天保7年「五人組帳前書」旧鬼石町譲原:山田家文書がある。釈文、読み下し文あり。以下に該当箇所あり。
「第14回五人組帳前書」https://www.pref.gunma.jp/site/monjyokan/191805.html
読み下し文は以下の通り。
「幼年の子供等持ち遊びの慰めに、石又ハ土を以て焼く杯いたし候品にて、賭事(かけごと)真似(まね)いたすも博打に類し候間、親々ハ勿論村役人共教論致すべし~」
→子どもの遊びではあるが、賭け事や博打に類するもので禁止されたようである。・賭博性が高く禁令がでた「子どもの遊び」について
(2)検索エンジンで「江戸時代」「子どもの遊び」「泥」「石」「禁止」等のワードを検索。
「泥めんこ」「穴一」「キズ」などの遊びが紹介されている。(3)慶応義塾大学学術情報リポジトリ(KOARA)https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/
『近世遺跡出土の泥面子について : 江戸後期の「キズ」賭博流行の周辺』石神 裕之/著 三田史学会 2012
https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=AN00100104-20000500-0171
→詳しい。出土した様々な「泥面子」の形状について記載がある。「泥面子」(めんち打ち)「キズ」なども「穴一系」の遊びであり、幕府が何度も禁令を出している。
p.173(505)出土泥面子の概要
p.193(525)文献資料に見る「キズ」の流行(表6「「キズ」及び面打に関する史料一覧」)2 自館資料調査
①『日本こどものあそび図鑑』笹間 良彦/著画 遊子館 2010
p.4-6「穴一(あないち)」の項
「穴に向かって銭を投げる遊び。~入らなかった銭は入った者がもらえる」
「遊びというよりは賭博に近く、江戸時代には博打に類するものとして禁止されている」「後には銭の代わりに面子や小石、銀杏、ビー玉などを使って遊ぶようになった」②『江戸時代 子ども遊び大事典』中城正堯/編著 東京堂出版 2014
p.14「穴一(あないち)」の項
「類似の賭博的な遊びには、めんがた(面地打ち・泥面子)がある」
p.213「めんがた」の項
「面地打ちは銭を使う穴一と類似した賭け事遊びとして、天保年間(1830~43)に泥めんこの売買を幕府は禁じたが、なくすことはできなかった」③『江戸の子供遊び事典』中田幸平/著 八坂書房 2009
p.153-183「穴一(ビー玉)」の項あり。
p.159「江戸時代の穴一」の項があり明暦元年(1655)京都町触の博奕禁令などが紹介されている
p.168「銭を投げる賭け事の遊びは、禁令や、親の干渉がきびしく ~中略~ 銭に代わる物として登場して来たのが「泥面子」であった」
p.222「メンコ」の項
「初期の“メンコ”は泥粘土で作られたもので ~中略~ これを泥面子と呼んだ」
p.223「穴一あそびはそもそも、木の実や悪銭を投げるゲームであるが、一説には明和、安永頃から銭貨の代用となって泥面が登場し転用されたといわれる」
p.227 泥面子のゲーム「きず」
「「泥面子」で愛用されたものに、穴一で著名な「きず」がある。」<その他調査済み資料>
『童遊文化史 第1巻』半沢 敏郎/著 東京書籍 1980
→小石を使用した遊びとして、「おはじき」「お手玉」などが記載されているが、賭博性や禁令などの記述はなかった。
『伝承遊び事典』芸術教育研究所/編 黎明書房 1985
『五人組帳の研究』野村兼太郎/編 有斐閣 1943ウェブサイト・データベースは令和6(2024)年2月28日確認
- 事前調査事項
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「五人組帳前書」について
『国史大辞典5 けーこほ』国史大辞典編集委員会/編 1985
p.936-937「五人組帳」
「前書部分は一種の法令集であり、その条目は時代により変化し、農民支配の動向をうかがうことができる」
「天保七年(1836)幕府代官山本大膳の編纂した五人組帳は前書百四十七条からなり、木版刷で頒布され、この時期の五人組帳前書を集大成したものである」
→ 質問者が持参した「五人組帳前書」は、山本大膳編纂のものであった。
- NDC
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- 社会.家庭生活の習俗 (384)
- 参考資料
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小林忠 監修 , 中城正堯 編著. 江戸時代子ども遊び大事典. 東京堂出版, 2014.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I025415057 , ISBN 978-4-490-10847-7 -
中田幸平 著. 江戸の子供遊び事典. 八坂書房, 2009.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010331271 , ISBN 978-4-89694-936-0
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小林忠 監修 , 中城正堯 編著. 江戸時代子ども遊び大事典. 東京堂出版, 2014.
- キーワード
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- 江戸時代
- 五人組帳
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000345390