レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007年12月01日
- 登録日時
- 2009/03/16 20:04
- 更新日時
- 2011/12/06 00:44
- 管理番号
- 市川20071201-02
- 質問
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解決
森鴎外の『北游日乗』(鴎外全集第35巻 1971)に、真間の手児奈の祠に詣でた際の詩を挙げ、「てこな」とは「蝴蝶」のことであることを熊阪子彦の説によったと述べている。この熊坂子彦の説とはどのようなものであったのか知りたい。
- 回答
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『鴎外全集 第35巻』61ページに‘~最是傷情蝴蝶祠、熊阪子彦の説に氐胡奈とは蝴蝶の義なりといへるに據りたり’とあり。
の項に、‘蝶の異名。・・・万葉集に記される「真間の手児奈」のテゴナも蝶にちなむ名であろう。’、また157ページ 「チョウ」の項に、‘真間の手児奈も蝶にちなむ名であろう’との記述あり。『ことばの由来』(岩波書店 2005)131~133ページ 「蝶・とんぼ」の項、にも同様の記述があるが、熊阪子彦の説はなし。
『ことばの由来』131ページに紹介されている江戸時代の方言辞書『物類称呼』(岩波書店 1941)68ページ「蝶」の項にも記述はあるが、熊阪子彦の説の説明は無し。
Googleで“熊坂子彦”を検索したところ、熊坂子彦は熊阪台州であると判明。福島県立図書館に台州の著作が多数あるのでレファレンスを依頼したところ、台州の著書『西遊紀行別録』巻之一 蝴蝶祠に記述がある、との回答を得る。記述については以下の通り。
‘蝴蝶祠 即氐胡奈祠。按氐胡奈蝴蝶也。今南部津輕之間。呼蝴蝶爲氐胡奈。則知 當時此女子。以蝴蝶自命也。而先輩類不知其然遂至刪奈字爲氐胡。豈不誤乎。余 生乎千載之下。而始得諸方言。古所謂禮失而求諸野者。幾是乎。’
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388 8版)
- 昆虫類 (486 8版)
- 参考資料
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- 『語源大辞典』(東京堂出版 1988) (167ページ 「テコナ」)
- 『ことばの由来』(岩波書店 2005) (131~133ページ 「蝶・とんぼ」の項)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000052492