レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/7/16
- 登録日時
- 2021/12/29 00:31
- 更新日時
- 2024/03/30 00:42
- 管理番号
- M21071513115020
- 質問
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岡山では法事にパンを配る地域があるという話を聞いたが、いつ頃からか、また他県でも同じようなことがあるのか。
- 回答
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①『岡山共和国のオキテ100カ条』では「オキテ12「葬式パン&法事パン」なるものが配られる」とあり、「この風習は津山市を中心に県北エリアでのみ今も残るもの」で「始まりは1950年代」だと言われ、もともとは餅だったものがパンに置き換えられたと紹介している。
②『大人のおつきあい 岡山版』には“岡山独自の弔事の風習”の中に“葬式パン・法事パン”という項目があり、「岡山では袋入りのあんパンを手土産として持って帰ってもらうのが習わし」で、「同様の風習は山陰地方にもある」と紹介されている。
③『にっぽん洋食物語大全』では「山口県大島町ではお盆の贈物や法事の引き出物にあんパンを使った(四十三年)(『明治文化全集』)」とあり、明治43年には山口県大島町で法事にパンを配っていたことが伺える。④『明治文化史 第12巻 生活編』では、上記の記述に加えて「この地方ではその頃からアンパンを法事の引物に使うのがならいになっている(『山口県久賀町誌)』」とある。
なお、この文章は宮本常一が担当執筆しているため、⑤『宮本常一著作集 24』にも全く同じ文章があり、⑥『ものと人間の文化史 80 パン』、⑦『小麦粉博物誌』は、④の文章を参照した同様の記述がある。
⑧の記事では、法事パンについて、島根、鳥取、岡山の一部では習慣になっており、中でも島根県での法事パンについては、昭和20年ごろから始まったという説が有力であることがわかった。⑨の記事では岡山でのパンの購入量が全国一であることと共に、法事パンの風習が鳥取、島根にもあることが紹介され、法事用のパンが島根県松江市のパン屋から始まったとあった。
以上の調査で、岡山の県北地域で法事にパンを配る風習があり、始まったのは1950年代からとの説があるが、その根拠ははっきりしていない。また、山口県大島町では明治43年頃から法事にパン(あんパン)を配っており、島根県や鳥取県でも同様の事例があることがわかった。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 風俗習慣.民俗学.民族学 (380 9版)
- 参考資料
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①相田翔吾『岡山共和国のオキテ100カ条』メイツ出版,2015,176p.参照はp.32-33.
②『大人のおつきあい 岡山版』岡山 KG情報, 2015, 179p.参照はp.151.
③小菅桂子『にっぽん洋食物語大全』筑摩書房,2017,424p.参照はp.251.
④開国百年記念文化事業会『明治文化史 第12巻 生活編』洋々社,1955,746p.参照はp.203.
⑤宮本常一『宮本常一著作集 24』未來社,1977,314p.参照はp.188.
⑥安達巌『ものと人間の文化史 80 パン』法政大学出版局,1996,251p.参照はp.224.
⑦日清製粉株式会社『小麦粉博物誌』文化出版局(発売), 1985, 237p.参照はp.15.
⑧日仏商事株式会社 N&Fマガジン「山陰地方ではあたりまえ!?法事にパンを配る習慣を調べてみました【前編】」 https://www.nichifutsu.co.jp/magazine/14410/(確認2021.7.8)
⑨産経新聞WEST 「法事でも…日本一パン好き岡山の事情」https://www.sankei.com/article/20210619-GGU3N7WN7BJJLHG2UTHCMMAY3U/ (確認2021.7.8)
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①相田翔吾『岡山共和国のオキテ100カ条』メイツ出版,2015,176p.参照はp.32-33.
- キーワード
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- 法事 葬式 引物 パン あんパン
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2021071513101715020
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢
- 登録番号
- 1000309742