レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/06/29
- 登録日時
- 2011/07/08 11:23
- 更新日時
- 2016/05/14 11:13
- 管理番号
- 日進11S-1
- 質問
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解決
日本の降伏文書に「千九百四十五年九月二日『アイ、タイム』午前九時四分日本国東京湾上ニ於テ署名ス」として、時の外務大臣重光葵の署名がある。
この『アイ、タイム』とは何のことか。
- 回答
-
『アイ、タイム』とは『I time』のことで、日本の帯域135°はIの帯域にあたり日本の標準時を表している。その帯域を割り当てたものを経帯時という。
経帯時は幾何学的に地球上を経度15°の幅の帯域に分割し、その中心の経度の時刻をそれぞれの帯域に割り当てたものである。
(『世界大百科事典』(031/043/8)より)
- 回答プロセス
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自館OPACで「降伏文書」と検索するが、図書館所蔵資料はヒットせず。
「外交文書」で検索すると『日本外交文書』(319/044)がヒットする。
確認すると、『日本外交文書 太平洋戦争 第三冊』(319/044)p.2116-2118に英文の降伏文書及び和訳文が記載されていた。「アイタイム」の記述はなかった。
『重光葵手記』(319.1/00/0011)→×
『東亰朝日新聞 縮刷版 復刻版 昭和20年下半期』(07/6)で9月3日に降伏文書の記載はあるが「アイタイム」は記載なし。
文書に記載されていないので「アイタイム」とは時刻を示すものと推定した。
『暦と時の事典』(449/07)で「時刻制度」でひくと、「現在の様に東経一三五度の明石を通る子午線による時刻を標準時として規定実施したのは明治21年1月1日からである」の記載があった。
『現行日本法規』年別索引より明治21年以前の法律を探す。
「本初子午線経度計算方標準時ノ件」という勅令が『現行日本法規 38 文化』p.1306に記載されていて、明治19年勅令第51号とわかるが「アイタイム」の記載はなし。
『理科年表 第84冊』(平成23年)(403.6/01/84)p.23暦部に「年表に使われている時刻には、中央標準時、世界時の2種があり・・・」と記載はあるが「アイタイム」の記載はなし。
「標準時」で百科事典をひくが、「アイタイム」の説明はなし。
昭和20年当時のことなので、古い資料を探す。
『理科年表 第21冊』(昭和23年)(403/11/21)→×
『気象の事典』(451/17)→×
『原色現代科学大事典 2』(403/29/2)→×
『玉川百科大辞典』(031/45/6)p.43 3章の時と暦に「標準時」と「経帯時」と「世界の時刻」の説明がある。「わが国では兵庫県明石付近の東経135°の地点での平均太陽時を標準時としているが、これも経帯時である。」
キーワードを「経帯時」として百科事典を引く。
『世界大百科事典』(031/043/8)p531に経帯時の説明に「東へ15°の倍数ごとの経度・・・・・A、B、C、D・・・・・I・・・・・」となっている。
経度0°のグリニッジ時が割り当てられ、この経帯時はZの記号で呼ばれる・・・」とある。日本があるところは135°なのでAから数えるとIとなる。
『日本大百科全書』(031/014/8)p.101に「経帯時は艦船で使用する」と書かれている。
また、戦争の言葉なので『最新軍事用語集』(390.3/014)で「I time」をひくと日本標準時と確認する。
- 事前調査事項
- NDC
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- 国防.軍事 (390 7版)
- 時法.暦学 (449 7版)
- 参考資料
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- 『世界大百科事典』平凡社/2007/(031/043/8)p531 (AJ94371503)
- 『日本大百科全書』小学館/1986/(031/014/8)p101 (AJ94059956)
- 『最新軍事用語集』金森國臣編/日外アソシエーツ/2007/(390.3/014)p242 (AJ94373505)
- キーワード
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- I time
- アイタイム
- 標準時
- 経帯時
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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上記以外でなかった資料
『船の百科事典』(550.3/09)→×
『和英・英和船舶用語辞典』(550.3/07)→×
『気象ハンドブック 』(451/045)→×
『気象科学事典』(451/036)→×
『英和和英最新軍事用語辞典』(390.3/011)→×
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 司書講習生
- 登録番号
- 1000088193