レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年04月09日
- 登録日時
- 2023/06/13 14:44
- 更新日時
- 2023/08/21 12:33
- 管理番号
- 岩手-404
- 質問
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解決
岩手県のホームスパンの歴史について記載された資料はあるか
- 回答
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ホームスパンとは羊毛の状態で染色し手で紡いだ糸で織った織物のことをいう。
県内のホームスパンは歴史が古く、資料によって諸説あるが明治のはじめ二戸地方に緬羊(めんよう)が導入された頃、同地に在任していたイギリス人宣教師によって織り方が教えられたのが始まりと言われている。
盛んになったのは昭和の初め頃からで、服地・ネクタイなどが製織されている。
岩手県の名産として現在の価値まで高めた人物として、東和町(現 花巻市)の梅原乙子や及川全三等がいる。
関連の下記資料を紹介。” ”内は資料からの引用。
・『観光資源要覧 第3編』運輸省観光局∥編 運輸省観光局 1956.3
p.17「ホームスパン」解説あり
“岩手県のホームスパンは明治13年(1880)頃外国人宣教師の指導によつてはじめられたもので、日本では比較的古い方である。その後緬羊の飼育が著しく普及し、農家の自給を満すと共に工芸的にも向上を見せるに至つたものである。”
・『岩手のホームスパン』LLPまちの編集室 2015.10
p.93~104「岩手と羊とホームスパン 其の営みの足跡」
・『季刊染織と生活 第19号冬(特集:手織りホームスパン)』染織と生活社 1977.12
p.34~37「岩手ホームスパンの歩み」梅原五朗(著)
>p.34 “大正10年頃、盛岡で羊毛加工講習会(ホームスパン)が開かれ、乙子はそれに参加し、その後さらに農林省友部種羊場に出向き、その時の講師中原茂樹農学博士の教えを受けました。ハンドカードや足踏紡毛車を使うようになったのはこの時からです。〔略〕冬の農閑期になれば近所の婦人たちが集まり、カード掛け、紡ぎ、織りなどをして過し、弥蔵が近在の大工に紡ぎ車やホームスパン用の機を作らせたのもこの頃からです。”
>p.35 “日本に於ける、殊に岩手のホームスパンは、この大正期からの副業緬羊の推奨策と共に普及したものです。”
p.38~43「ホームスパンを織る人びと」瀬川経郎(著)
岩手県内でホームスパンの制作に携わるひとびとについての紹介記事。
・『私の回想録 創業50周年記念 ホームスパンの道60年の歩み』菊池 久∥〔著〕菊池 久 2005.12
「株式会社日本ホームスパン」昭和21年~平成17年の足跡を中心として、伝統産業ホームスパンの生い立ちについて記された資料。明治期~昭和に活躍した東和町ホームスパンの先駆者についても記載あり。
・『岩手県農業史』岩手県∥編 岩手県 1979.1
p.1091~1092「第3項 ホームスパン加工」
“本県のホームスパンは歴史が古く、明治20年ごろ二戸郡福岡町に外人宣教師が技術をもたらしたと言われている。盛んになったのは昭和の初めころ(1927)からで、服地・ネクタイなどが製織されている。〔略〕”
・『岩手県農会史』川原 仁佐エ門∥編 岩手県農会史刊行会 1968.11
p.191「農村恐慌対策/副業と改良農具奨励」
“県は大正十四年から奨励官を設け県農会が指導奨励した副業を代わつて奨励していて、昭和六年には、上記、県農会が奨励したものの他に羊毛加工奨励としてホームスパンを中内産業組合と田瀬緬羊組合に奨励していた。”
・『業務報告 昭和3年度』岩手県商工館∥編 岩手県商工館 1929.8
p.14~23「(3)染織科 (染色ノ部)」
>p.20~23「○ホームスパン洋服地製織試験」
・『業務報告 昭和4年度』岩手県商工館∥編 岩手県商工館 1930.8
p.29~46「(C)染織科 (染色ノ部)」
>p.37~41「(八)、[ホームスパン]製織試験」
>p.42~46「(十)、[ホームスパン]製織費計算に就いて」
・『業務報告 昭和5年度』岩手県商工館∥編 岩手県商工館 1931.9
(p.30~「(C)染織科 (色染部)」
p.34~35「(三)ホームスパン」絨製織試験
・『業務報告 昭和6年度』岩手県商工館∥編 岩手県商工館 1932.6
p.54~59「(C)染織科 (色染部)」
・『副業手引』岩手県内務部∥編 岩手県内務部 1934.8
p.18「(一六)ホームスパン」
“緬羊飼育地方ニ於ケル婦女子ノ家内副業トシテ有利ナ副業トシテ近時普及サレツゝアリ、”
・『東北の工匠』毎日新聞社∥編 毎日新聞社 1979.12
p.106~111「ホームスパン」
>p.108~109「メモ」
“岩手にホームスパンが根づいたのは明治初期。福岡町(現二戸市)にメン羊が入り、イギリス人宣教師が地元の人に製織法を伝授したことに始まるといわれているが、商品価値は低く、大正期に梅原乙子がホームスパンと“出会う”までは、永らく低迷を続ける。〔略〕”
・『清流猿ケ石 東和町先人顕彰誌』東和町先人顕彰事業推進協議会∥編集 東和町教育委員会 2005.10
p.113~124「ホームスパン 及川 全三(おいかわぜんぞう)」
・『光原社 北の美意識』まちの編集室∥企画 木村 敦子∥構成 まちの編集室 2014.5
p.96~97【岩手の民芸運動と先人たち】
>p.96「ホームスパンの父、及川全三」
- 回答プロセス
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・伝統産業、染織、毛織物などの棚をブラウジング。ホームスパンに関する記載を確認。
・関連する町村や県人についての資料を確認。
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383)
- 繊維工学 (586)
- 衣服.裁縫 (593)
- 参考資料
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運輸省観光局. 観光資源要覧 第3編 (観光土産品・特産品). 運輸省観光局, 1956.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000853771-00 (当館請求記号:K 688 /ウ1 /1-3) -
岩手のホームスパン. LLPまちの編集室, 2015. (てくり別冊)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I068800181-00 (当館請求記号:K 586.57 /イワ) -
季刊染織と生活 第19号冬. 染織と生活社, 1977.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036212605-00 (当館請求記号:K 753 /イ1) -
菊池 久 〔著〕 , 菊池‖久. 私の回想録 : 創業50周年記念. 菊池久, 2005.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036140176-00 (当館請求記号:K 586.57 /キク) -
岩手県 編 , 岩手県. 岩手県農業史. 岩手県, 1979.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001411401-00 (当館請求記号:K 612 /イ1 /2) -
毎日新聞社 編 , 毎日新聞社. 東北の工匠. 毎日新聞社, 1979.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001439784-00 (当館請求記号:K 750 /マ1 /1) -
川原仁左エ門編集 , 川原, 仁左エ門. 岩手県農会史. 岩手県農会史刊行会, 1968-11.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000113994-00 (当館請求記号:K 611.6 /カ1 /1) -
岩手県内務部 編 , 岩手県. 副業手引. 岩手県内務部, 1934.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036201832-00 (当館請求記号:K 601 /イ1-1 /1) -
北の美意識. 光原社, 2014. (てくり 別冊)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I061241319-00 (当館請求記号:K 750.21 /コウ) -
東和町先人顕彰事業推進協議会 編 , 東和町教育委員会 (岩手県). 清流猿ヶ石 : 東和町先人顕彰誌. 東和町教育委員会, 2005.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008039601-00 (当館請求記号:K 281.22 /トウ) -
岩手県商工館 編 , 岩手県商工館. 事業報告 昭和3年度. 岩手県商工館, 1929.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036202275-00 (当館請求記号:K 606 /イ2 /1-28) -
岩手県商工館 編 , 岩手県商工館. 事業報告 昭和4年度. 岩手県商工館, 1930.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036202276-00 (当館請求記号:K 606 /イ2 /1-29) -
岩手県商工館 編 , 岩手県商工館. 事業報告 昭和5年度. 岩手県商工館, 1931.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036202277-00 (当館請求記号:K 606 /イ2 /1-30) -
岩手県商工館. 業務報告 昭和6年度. 岩手県商工館, 1932.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001570052-00 (当館請求記号:K 606 /イ2 /1-31)
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運輸省観光局. 観光資源要覧 第3編 (観光土産品・特産品). 運輸省観光局, 1956.
- キーワード
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- ホームスパン
- 緬羊
- 羊毛製品.毛織物
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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[参考]
・『羊は未来を拓く記録集 羊シンポ89-盛岡』羊をめぐる未来開拓者共働会議∥編 羊をめぐる未来開拓者共働会議 1990.9
p.230~256「講演 わが国におけるめん羊振興政策の歴史と課題」(楠本 雅弘)
日本のホームスパンの歴史の概要について記載あり。
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000334446