レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年09月17日
- 登録日時
- 2010/09/18 11:30
- 更新日時
- 2011/12/01 14:09
- 管理番号
- 相大-H22-0026
- 質問
-
解決
牛頭天王(ゴズテンノウ)と蘇民将来(ソミンショウライ)について書かれた資料を見たい。
- 回答
-
次の資料を提供した。
①『牛頭天王と蘇民将来伝説』
②『日本神話事典』
③『神話伝説辞典』
④『民間信仰辞典』
⑤『江戸文学俗信辞典』
⑥『神社辞典』
⑦『神社と古代民間祭祀』
牛頭天王は、京都祇園八坂神社の祭神で、『備後国風土記』逸文によると、武塔神が后を求めての旅中に巨旦将来と蘇民将来の兄弟に会い、貧しいながら歓待した蘇民将来に対して、茅の輪を与え、その子孫を号する者への無病平安・寿命長遠であることの加護を誓ったとあり。後に武塔神が牛頭天王に変化していった。
- 回答プロセス
-
1:自館OPACにて「牛頭天王 」で検索。以下の資料がヒット。
①『牛頭天王と蘇民将来伝説』川村湊/著 作品社 2007【S26074732 387】
2:神、民間信仰の分野なので分類160~170,387を調べる
②『日本神話事典』大和書房 2001【S17797036 R164】
・ P188「蘇民将来説話」の項あり。
武塔神(ムトウノカミ)が将来という兄弟に宿を借りようとしたところ、弟の将来は裕福だったが貸さなかった。兄の蘇民将来は、貧しかったがもてなした。
数年後、報恩のために訪れた武塔神は、蘇民将来の娘に茅の輪を着けさせる。その夜、蘇民将来の娘以外を疫病で滅ぼしてしまう。
自分は速須佐雄神 (ハヤスサノヲノカミ)で、後の世に疫病が流行したら、蘇民将来の子孫と言い、茅の輪を腰につけた人は、
その疫病から免れるだろうと言ったという。『釈日本紀』で、この話を祇園社の本縁としている。
③『神話伝説辞典』東京堂出版 1977【S05946546 R164】
・ P195「牛頭天王の縁起」の項あり。
豊饒国の国王の子で、「武塔太子」と呼ばれ、「七尺五寸の大男で、頭に三尺の牛の頭があって、さらに三尺の角が生えている」。
后を求めての旅 で、「巨端将来「」という長者の家で泊まろうとしたが拒絶され、「蘇民将来」という貧者の家に頼むと快くもてなしてくれたので、
翌朝牛玉という宝物を与えた。 八年後、蘇民将来を訪れた天王は、巨端の一族を踏み殺す。
蘇民将来の子孫と号する者には無病平安、寿命長遠であるように加護があったという。「牛頭天王は祇園社である」との記述あり。
・P276「蘇民将来」の項あり。
①の説話に同じ。「疫神武塔神を祀っていたらしい疫隅(クマ)の社の縁起であったものが、
やはり大陸系の類似の神であった祇園社の牛頭天王との 同一視により、後世祇園社の縁起とも見なされるに至ったものらしい」との記述あり。
④『民間信仰辞典』東京堂出版 1988【S05737218 R387】
・P120「牛頭天王」の項あり。
「京都祇園八坂神社の祭神」「インドでは武塔太子と呼ばれ、祇園精舎の守護神とされたが、后を求めての旅中に巨旦将来と蘇民将来の兄弟に会い、 弟の蘇民将来の歓待に対して、牛王茅の輪を与え、その子孫を号する者への無病平安・寿命長遠であることの加護を誓った」との記述あり。
・P172「蘇民将来」の項あり。
「疫病除けの護符の一種」「「『備後国風土記』逸文によると、神の訪れに際して、兄の蘇民将来は貧しいながらも宿を貸して手厚く待遇したのに、
富み栄えていた弟は拒絶した。後日、再び訪れた神は、蘇民将来の家族を除いてすべての人々を殺してしまい、「のちのち疫病がはやるなら、
蘇民将来の子孫だと名のり、茅の輪を腰につけると病から免れるであろう」と言った、と伝えられる。
この話は、京都祇園社の縁起としても知られている。」との記述あり。
⑤『江戸文学俗信辞典』東京堂出版 1989【S07452725 R387】
・P210「蘇民将来」の項あり。
「疫病よけの護符」、①と同様の記述あり。また、享保十九年の『因縁集』には「牛頭天王巨旦ヲホロボシテ後蘇民将来ニ告ゲテ云。
(略)其誌(そのしるし)ニハ桃之木ヲ札ニ作リ急々如律令ト書テ門戸ニ押スベシト。
或ハ蘇民将来子孫之門戸ト札ニ書テ押ストコロニハ悪神オソレテ家ニ入ラズ」とあると記述あり。
3:1~2の資料から、牛頭天王が祇園社(八坂神社)の祭神とあったことから、下記の資料を調べる
⑥『神社辞典』東京堂出版 1979【S05594791 175】
・P335~337「八坂神社」の項に明治までは祭神を牛頭天王と称してきたが、神仏分離の令で、牛頭天王の名も廃止せられて、
かわって素盞鳴尊(スサノオノミコト)が用いられたとの記述あり。
⑦『神社と古代民間祭祀』大和岩雄/著 白水社 1989【S07490865 175】
・P189~216「八坂神社」の項に牛頭天王の起源と出典、『備後国風土記』について、蘇民将来と朝鮮の伝承、
武塔神(ムトウノカミ)が牛頭天王となったことと陰陽道との関連について等の記述あり。
【 】は自館の資料コードと請求記号
- 事前調査事項
- NDC
-
- 神話.神話学 (164 9版)
- 神社.神職 (175 9版)
- 民間信仰.迷信[俗信] (387 9版)
- 参考資料
-
- 『牛頭天王と蘇民将来伝説』川村湊/著 作品社 2007
- 『日本神話事典』大和書房 2001
- 『神話伝説辞典』東京堂出版 1977
- 『民間信仰辞典』東京堂出版 1988
- 『神社辞典』東京堂出版 1979
- 『神社と古代民間祭祀』大和岩雄/著 白水社 1989
- 『江戸文学俗信辞典』東京堂出版 1989
- キーワード
-
- 牛頭天王
- 蘇民将来
- 神話
- 民間信仰
- 民間祭祀
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000071495