レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/12/07
- 登録日時
- 2022/12/15 00:30
- 更新日時
- 2022/12/15 10:47
- 管理番号
- 所沢富岡-2022-009
- 質問
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解決
織田信長が今日でいうところの「ライトアップ」のようなことをやったと聞いたのだが、本当か?
- 回答
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織田信長は巡察師ヴァリニャーノを安土に招き、今で言う「ライトアップ」を見せました。城下の家々の明かりを全て禁じ、城だけを輝かせる仕掛けを行ったのです。『信長記』(『信長公記』)巻十四には、家臣が松明をもって舟に乗り琵琶湖に漕ぎ出し、その明かりが湖面に映って「言語道断面白き有様」であったと記載されています。
(参考:『戦国おもてなし時代』 金子拓/著 淡交社 2017年より)
また、以下の資料に記載があります。
〇『戦国おもてなし時代』 金子拓/著 淡交社 2017年
〇『完訳フロイス日本史 3』 ルイス・フロイス/著 中央公論新社 2000年
〇『信長公記』 太田牛一/著 筑摩書房 2017.年
〇『信長公記』 太田牛一/著 KADOKAWA 2019年
〇『織田信長の城 加藤理文/著 講談社 2016年
〇『十六・七世紀イエズス会日本報告集 第3期 第6巻』 松田毅一/監訳 同朋舎出版 1991年
〇『ルイス・フロイスが見た異聞・織田信長』 時空旅人編集部/編 三栄書房 2018年
〇『なんで信長はお城を建てたの?』 畑中英二/著 新泉社 2022年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
〇『戦国おもてなし時代』 金子拓/著 淡交社 2017年
p.101-160「第三章 天下人のおもてなしと贈答」の項目あり
p.102-113「信長のおもてなし」の項目あり
p.111-113「究極の「驚かせ」」の項目あり
「(前略)そこまでして信長がヴァリニャーノに見せたかったものは何なのか。(中略)つまりはお城のライトアップである。城下の家々の明かりをすべて禁じ、城だけを輝かせる仕掛けであった。さらに『信長記』巻十四には、このとき家臣たちが松明をもって舟に乗り琵琶湖に漕ぎ出し、その明かりが湖面に映って「言語道断面白き有様」であったとある」との記載あり
※「『フロイス日本史 5』第五十三章、中央公論社』からの引用あり(p.112)
〇『完訳フロイス日本史 3』 ルイス・フロイス/著 中央公論新社 2000年
p.108-120 「第五三章(第二部三一章) 巡察師が都に信長を訪問し、同地から再度、安土山を参観に赴いたこと」の項目あり
p.118
「(前略)信長は、いかなる家臣も家の前で火を焚くことを禁じ、彼だけが、色とりどりの豪華な美しい提燈で上の天守閣を飾らせた。七階層を取り巻く縁側のこととて、それは高く聳え立ち、無数の提燈の群は、まるで上(空)で燃えているように見え、鮮やかな景観を呈していた。(後略)」との記載あり。
2.後日調査による内容確認
〇『信長公記』 太田牛一/著 筑摩書房 2017年
p.392-432「巻十四 北から西へと広がる分国(天正九年)」の項目あり
p.415-417「(11) 越中の国木舟城主石黒左近ら、自害」の項目あり
「(前略)七月十五日、信長公は安土城のご天守閣ならびに惣見寺に提灯を数多くつるさせ、お馬回りの人びとが、新道・江堀に船を浮かべ、手に手に松明をともし申した。城も城の下も輝き、水に映って何とも表現しようのない風情のあるありさまで、見物の者が多数集まったのであった。(後略)」との記載あり。
〇『信長公記』 太田牛一/著 KADOKAWA 2019年
p.351-384 「巻十四 天正九年(一五八一)」の項目あり
p.369-370「12 越中の城主らを成敗」の項目あり
p.370
「(前略)七月十五日、安土城の天守閣および惣見寺にたくさんの提灯を吊るさせ、また、お馬廻り衆を新道に配置し、または入り江に舟を浮かべさせて、それぞれに松明を灯させた。城下一帯が明るく、灯は水に映って、言いようもなく面白く、見物の人々が群れ集まった。(後略)」との記載あり。
〇『織田信長の城 加藤理文/著 講談社 2016年
p.139-234「第五章 統一のテーマパーク安土城」の項目あり
p.213-216「信長と摠見寺」の項目あり
p.214
「(前略)『信長公記』天正九年(一五八一)七月十五日の条に、〈惣見寺に挑灯余多つらせられ〉という記載が見られ(後略)」との記載あり。
〇『十六・七世紀イエズス会日本報告集 第3期 第6巻』 松田毅一/監訳 同朋舎出版 1991年
p.1-80「一五八二年二月十五日付、長崎発信、ガスパル・コエリュのイエズス会総長宛、一五八一年度、日本年報(エーヴォラ版、第二巻、一七葉ー四七葉裏)の項目あり
p.50-64「安土山の修道院および司祭館について」の項目あり
p.61に司祭が出立する際、信長が行ったことについて
「(前略)信長はいずれの武士にも慣例となっている炎や提灯を家で点さぬよう命じ、城の塔(天守閣)を色彩々の提灯で飾らせた。塔が非常に高いためいとも美しい眺めであった。このほかに、我らの修道院の角に始まり、城までの山裾を横切る街路に大勢の人を配置させた。彼らは松明を手にして街路の両側に整列し、松明が一斉に点されたので真昼と思われるほど明るくなった。(後略)」との記載あり。
〇『ルイス・フロイスが見た異聞・織田信長』 時空旅人編集部/編 三栄書房 2018年
p.141-162「 第四章 信長の覇業、その目撃者となる」の項目あり
p.154-159「新たな時代の到来を告げた 天下人の象徴、安土城が完成する」の項目あり
p158
「(前略)その年の夏、安土を訪れたヴァリニャーノを歓待した信長は、彼らの出立を遅らせ盆の行事に招いた。それは色とりどりの豪華な提灯で、七層の天守閣をライトアップするという、華麗な光のショーであった。」との記載あり。
〇『なんで信長はお城を建てたの?』 畑中英二/著 新泉社 2022年
p.227-291「第5章 安土城の巻その3ーお城をもっと理解する編」の項目あり
p.246-267「人はなぜお城を建てるの?」の項目あり
p.246-250「信長の天主」の項目あり
p.249
「(前略)ヴァリニャーノは7月14日に安土を発とうとしたのですが、一日遅らせてくれと言います。何をしようとしたかというと、安土城のライトアップでした」(中略)「ご先祖さまの霊を祀る盂蘭盆という法事の日にあたる7月15日には、安土城では何も火を焚かなかったのです。けれども14日は、逆に家臣の家々で火を焚くことを禁じ、安土城の天主だけに提灯を飾らせました。またお城だけではなく、城に近い湖の入江にも松明を掲げた舟が浮かぶというライトアップの催しが行われました(後略)」との記載あり。
3.記載のなかった資料
×『信長公記を読む』 堀新/編 吉川弘文館 2009年
×『織田信長』 立松和平/著 勉誠出版 2010年
×『織田信長総合事典』 岡田正人/編著 雄山閣出版 1999年
×『織田信長全仕事』 岸祐二/著 扶桑社 2004年
×『織田信長』 柴裕之/著 平凡社 2020年
×『信長の台頭と若き日の家康』 尾崎桂治/著 三樹書房 2020年
×『信長の城』 千田嘉博/著 岩波書店 2013年
×『知識ゼロからの日本の城入門』 小和田哲男/著 幻冬舎 2009年
×『安土信長の城と城下町』 滋賀県教育委員会/編著 サンライズ出版 2009年
×『信長・秀吉・家康の城』 新人物往来社 2007年
×『よみがえる日本の城 22』 学研 2005年
×『織豊系城郭の形成 千田嘉博/著 東京大学出版会 2000年
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210 9版)
- 個人伝記 (289 9版)
- 日本の建築 (521 9版)
- 参考資料
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- 戦国おもてなし時代 金子拓/著 淡交社 2017.10 210.48 978-4-473-04202-6
- 完訳フロイス日本史 3 ルイス・フロイス/著 中央公論新社 2000.3 210.48 4-12-203582-1
- 信長公記 太田牛一/著 筑摩書房 2017.2 289.1 978-4-480-09777-4
- 信長公記 太田牛一/著 KADOKAWA 2019.9 289.1 978-4-04-604242-2
- 織田信長の城 加藤理文/著 講談社 2016.12 521.823 978-4-06-288405-1
- 十六・七世紀イエズス会日本報告集 第3期 第6巻 松田毅一/監訳 同朋舎出版 1991.12 198.25 4-8104-0998-8
- ルイス・フロイスが見た異聞・織田信長 時空旅人編集部/編 三栄書房 2018.9 289.1 978-4-7796-3735-3
- なんで信長はお城を建てたの? 畑中英二/著 新泉社 2022.5 521.823 978-4-7877-2124-2
- キーワード
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- 織田信長
- 信長公記
- 安土城
- ルイス・フロイス
- ヴァリニャーノ
- 提燈
- ライトアップ
- 松明
- 戦国時代
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000325771