レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年5月27日
- 登録日時
- 2022/06/10 12:21
- 更新日時
- 2023/10/19 10:45
- 管理番号
- 2022-037
- 質問
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解決
『十八史略』に出てくる「河北京西」という地名(宋の時代、12世紀前半頃の地名。具体的には1135年頃)について、場所や、社会的にどのような役割の地域だったかを知りたい。「河北」と「京西」が別々に出てくるのではなく、「河北京西」と書かれている。
- 回答
-
『十八史略』中の「岳飛を以て河北京西の招討使と為す」の解説のなかで、「河北京西」を「河北、京西地方」と分けて説明しているものがありました。
・『十八史略』Ⅴ官僚の論理(徳間書店, 1975)
p.171-174「南宋の諸将、奮戦す」
・『十八史略國字解』2(早稲田大学出版部, 1924)
国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/978753/241 [参照 2022-05-27]
「河北」「京西」については歴史地図等に掲載があります。
・『アジア歴史地図』(平凡社, 1966)
p.70-71「宋の境域」
「河北西路」「河北東路」「京西北路」「京西南路」が地図に掲載されています。
・『中国歴史地図』(平凡社, 2009)
地名の明記がない地図もありますが、政治・経済等についてテーマごとに地図と解説があります。
上記『アジア歴史地図』と照らし合わせてご覧ください。
1135年頃についてはp.98-111がご参考になると思われます。
・伊原弘著『宋代中国都市の形態と構造』(勉誠出版, 2020)
p.307に、北宋時代の「河北東路」「京西南路」を含む一帯について、「宋代にあっては、ここは都開封(かいほう)を支える一帯として、重要な意味を持った。」とあります。
詳しくは回答プロセスをご確認ください。
- 回答プロセス
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1.辞典類の確認
本学契約データベースJapanKnowledge Libにて百科事典類を検索、また『中国歴史地名大辞典』等の専門事典を確認するが、「河北京西」は確認できない。
2.『十八史略』中の該当箇所を確認
Googleブックスで検索し、下記資料が見つかる。
・『十八史略』(有朋堂, 1919)
https://www.google.co.jp/books/edition/%E5%8D%81%E5%85%AB%E5%8F%B2%E7%95%A5/h4K39w0EAE8C?hl=ja&gbpv=1&dq=%22%E6%B2%B3%E5%8C%97%E4%BA%AC%E8%A5%BF%22&pg=PP826&printsec=frontcover [参照 2022-06-17]
巻七「南宋」に「岳飛を以て河北京西の招討使と為す」との記述があることがわかる。
3.注釈資料を確認
『十八史略』の語釈や解説が記載された資料を確認。
・『十八史略』Ⅴ官僚の論理(徳間書店, 1975)
p.173「岳飛は河北、京西地方の招討使(機動部隊司令)に任命された。」
・『十八史略國字解』2(早稲田大学出版部, 1924)
国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/978753/241 [参照 2022-05-27]
p.473(コマ241)「字解」に「河北京西招討使、官名なり、河北、京西地方に於ける軍民等を招討する役、招討とは宋の命に従ひて帰降するものを招き、又従はざるものは討伐する意」とある。
→「招討使」という役職について辞典でも確認。
・『中国職官辞典:秦から南宋まで』(日外アソシエーツ, 2020)
p.309"招討使"に解説あり。
4.歴史地図を確認
・『アジア歴史地図』(平凡社, 1966)
p.70-71「宋の境域」
「河北西路」「河北東路」「京西北路」「京西南路」が地図に掲載されている。
→「路」について確認。
"路"『世界大百科事典』JapanKnowledge Lib [参照 2022-05-25]
「中国、宋代の監督、元代の行政区画名。…なお北宋時代…河北、陜西には別に軍事路という区分も設けられた。」
・『中国歴史地図』(平凡社, 2009)
政治・経済等について年代・テーマごとに地図と解説あり。
1135年頃については、p.98-111に掲載がある。
特に下記のページからは、一帯で「金」と「南宋」が争い、南宋時代(1127年~)には大部分が金に支配されていたことがわかる。
p.102-103「女真族の勃興」
p.104-105「南宋初期の対金戦争」
p.108-109「金の華北支配」
5.図書を確認
中国史の書架をブラウジングし、下記資料が見つかる。
・伊原弘著『宋代中国都市の形態と構造』(勉誠出版, 2020)
事項索引に「河北東路」「京西南路」あり。
該当のp.307(第十一章 河畔の民―北宋末の黄河周辺を事例に―)に「宋代にあっては、ここは都開封を支える一帯として、重要な意味を持った。」とあり。
- 事前調査事項
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歴史地図や地名辞典は確認した。
『アジア歴史事典』(平凡社, 1959-1962)
『中国歴史地図集』(地图出版社, 1982-1987)
『中国歴史地名大辞典』(凌雲書房, 1980-1981)
- NDC
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- 中国 (222 10版)
- アジア (282 10版)
- アジア (292 10版)
- 参考資料
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曽先之著 ; 村山孚, 守屋洋訳 , 曾, 先之 , 村山, 孚 , 守屋, 洋. 官僚の論理. 徳間書店, 1975. (十八史略 / 曽先之著, 5)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I004698709-00 , ISBN 4192709708 (NCID:BN02186980) -
桂五十郎 著 , 桂, 五十郎, 1868-1938. 十八史略国字解. 早稲田大学出版部, 1924.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000590447-00 (国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/978753 [参照 2022-06-17]
NCID:BN13261567) -
松田寿男, 森鹿三 編 , 松田, 寿男, 1903-1982 , 森, 鹿三, 1906-1980. アジア歴史地図. 平凡社, 1966.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001079499-00 (NCID:BN0974807X) -
朴漢済 編著 , 金秉駿, 李瑾明, 李俊甲, 金衡鍾 著 , 吉田光男 訳 , 朴, 漢済 , 金, 秉駿 , 李, 瑾明 , 李, 俊甲 , 吉田, 光男, 1946-. 中国歴史地図. 平凡社, 2009.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010021549-00 , ISBN 9784582411072 (NCID:BA88750279) -
伊原弘 著 , 伊原, 弘, 1944-. 宋代中国都市の形態と構造. 勉誠出版, 2020.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030474957-00 , ISBN 9784585220695 (NCID:BB31419024) -
劉鈞仁 原著 , 塩英哲 編著 , 劉, 鈞仁, 1895- , 塩, 英哲, 1937-. 中国歴史地名大辞典. 凌雲書房, 1980.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001499877-00 (NCID:BN00880861) -
塚本哲三編 , 塚本, 哲三 , 曾, 先之. 十八史略. 有朋堂書店, 1919. (有朋堂文庫 / 塚本哲三編, . 漢文叢書||カンブン ソウショ)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I004002611-00 (NCID:BN06709945) -
吉田誠夫 編 , 吉田, 誠夫, 1941-. 中国職官辞典 : 秦から南宋まで. 日外アソシエーツ, 2020.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030504356-00 , ISBN 9784816928413 (NCID:BB31456494) - "路", 世界大百科事典, JapanKnowledge Lib [参照 2022-05-25]
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曽先之著 ; 村山孚, 守屋洋訳 , 曾, 先之 , 村山, 孚 , 守屋, 洋. 官僚の論理. 徳間書店, 1975. (十八史略 / 曽先之著, 5)
- キーワード
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- 中国
- 歴史
- 宋時代
- 地理
- 地図
- 地名
- 十八史略
- 岳, 飛, 1103-1141
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 地名
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000317154