レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 平成28年4月5日
- 登録日時
- 2017/03/29 00:30
- 更新日時
- 2021/08/21 21:14
- 管理番号
- 県立長野-16-093
- 質問
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解決
真田幸村の長女の名前は「すえ」か「きく」か。どちらが正しいのか根拠となる資料名と共に教えて欲しい。
- 回答
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真田信繁から娘婿である石合十蔵宛の書状によると長女の名前は「すえ」である。
「きく」という名前について出典は確認できなかったが、嫁ぎ先の家では「すえ」の根拠となる先述の書状を有するも、「阿菊」という名前で葬られ代々其の名前が伝えられたようである。
「すえ」と書かれた文書は以下のとおり。
『秀吉と真田;大阪城・上田城友好城郭提携記念特別展』 上田市立博物館編 上田市立博物館 2007 【N280/181】に収録されている。
p.40 「59 石合十蔵宛真田幸村(信)自筆書状写 慶長20年2月10日(参考) 石合知子氏蔵」(写真掲載あり)。これは大阪城に籠城中の信繁から娘婿へあてた書状であるが、「すへ」を頼むということが書かれている。
p.88-89上記文書の解題。訓読の記載あり。
※この書状を所蔵されている石合知子氏は信長女の嫁ぎ先である石合家の子孫。
「きく」の出典については確認できなかったが、石合家ではそう呼ばれていたようである。
『真田一族のすべて』 新人物往来社 1996 (別冊歴史読本) 【N288/161】
p.38-41「真田幸村長女・御菊の子孫 先祖ありてこそ 石合知子」の項あり。
p.38「(-前略-)お名前について確証はないが、わが家では、阿菊様として葬り(-後略-)」
p.40 先述の娘を頼むの真田信書状の写真掲載あり。書状には「すえ」と書かれているがこの家では「阿菊」と伝えられていたようである。
『真田氏の460年』 真田六文会編 真田六文会 1977 【N288/83】
p.74-75 「真田系譜 真田六文会調査」に長女は「阿菊(石合十藏道定室)」と記載あり。
p.58 「真田幸村長女阿菊の墓(長久保西蓮寺)」の写真が掲載されているが、墓石に書かれた文字は写真からでは全くわからない。
- 回答プロセス
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1 『真田氏の460年』は真田姓を名乗る者の親睦団体である真田六文会が実地調査を行いまとめた資料であり、長女の名は「阿菊」と記載されている。(p.58には「真田幸村長女阿菊の墓(長久保西蓮寺)」の写真も掲載されているが墓石に書かれた文字は写真からでは全くわからない。)しかし、小林計一郎氏編集の『真田幸村のすべて』には「すへ 母家臣堀田作兵衛妹(一説妻)、作兵衛養女、石合十蔵道定妻」とあり。」と記載がある。
2 『国史大辞典6』の「真田氏」参考文献を調査するが、「女」または「女子」とのみで氏名の記載なし。
『新編 信濃史料叢書 第16巻』『新編 信濃史料叢書 第17巻』『新編 信濃史料叢書 第18巻』の3冊には「真田御事蹟稿」が収録されているが、第18巻 p.52-55までの幸村の系図についての記載には、長女の名前は確認できず。「女子 石合十藏道定妻」と記載あり。
『寛政重修諸家譜 第11』 信繁の子孫の記載なし。
『蕗原拾葉 第16輯』 該当なし。
3 真田氏関連の郷土史誌を調査する。女子とあり氏名なし。
『真田町誌 第2巻 歴史編上』
『上田小県誌 第1巻 歴史篇上(2) 古代・中世』
4 書庫にある真田家系図を調査するが、女のみで氏名の記載なし。
5 『闘将幸村と真田一族』p.158 大坂城に篭城中の信繁から娘婿の石合十蔵にあてた書状に、「何事もすへこと心に不叶き候共、御見捨て無之ように頼入候」と記されたた文書があると知る。所収が『真田家文書』となっていたが、『真田家文書 上・中・下巻』を調査したがこの中には掲載がなかった。
※中巻にはp.21-68「真田家系譜」があるが、信繁子孫の記載は確認できず。
6 真田宝物館に調査済み資料を伝え、照会する。
7 後日真田宝物館から『秀吉と真田;大阪城・上田城友好城郭提携記念特別展』収録の「石合十蔵宛真田幸村(信)自筆書状写 慶長20年2月10日(参考) 石合知子氏蔵」(写真掲載あり)に「すへ」と記載があることを教えていただく。当館に資料あり。確認する。
8 『真田一族のすべて』 (別冊歴史読本)を確認する。
娘の嫁ぎ先の石合家では娘を頼むの真田信繁書状を所蔵しているが(そこにはすへと書かれている)子孫の石合知子氏によると石合家では阿菊様として葬り代々その名前で呼ばれているということがわかった。
<調査資料>
・『真田幸村のすべて』 小林計一郎編 新人物往来社 1989 【N289/サナダ】
・『国史大辞典 6』 国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1985 【210.03/コク/6】
・『新編 信濃史料叢書 第16巻』 信濃史料刊行会編・刊 1977 【N208/43/16】
・『新編 信濃史料叢書 第17巻』 信濃史料刊行会編・刊 1977 【N208/43/17】
・『新編 信濃史料叢書 第18巻』 信濃史料刊行会編・刊 1978 【N208/43/18】
・『蕗原拾葉 第16輯』 中村元恒原編 上伊那郡教育会 1939 【N208/2/16】
・『寛政重修諸家譜 第11』続群書類従完成会 1980 【288.2/タミ/11】
・『真田町誌 第2巻 歴史編上』 真田町誌編纂委員会編 真田町誌刊行会 1998 【N221/156/2】
・『上田小県誌 第1巻 歴史篇上(2) 古代・中世』
上田小県誌刊行会編 小県上田教育会 1980 【N221/12/1-2】
・『闘将幸村と真田一族』 新人物往来社 2003 【N288/194】
・『真田家文書 上巻』 米山一政編 長野市 1981 【N208/53/1】
・『真田家文書 中巻』 米山一政編 長野市 1982 【N208/53/2】
・『真田家文書 下巻』 米山一政編 長野市 1983 【N208/53/3】
・『真田家系図之書』[不明] 幽篁楼祗東(写) 1772 【N288/25】
・長野県立歴史館 「信濃史料」【最終確認2021.8.16】
※「真田 慶長」で検索。慶長20年の文書掲載なし。
- 事前調査事項
- NDC
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- 個人伝記 (289 10版)
- 系譜.家史.皇室 (288 10版)
- 参考資料
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上田市立博物館/編 , 上田市立博物館 , 上田市立博物館. 秀吉と真田 : 大阪城・上田城友好城郭提携記念特別展. 上田市立博物館.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059101166-00 (【N280/181】) -
真田六文会/編 , 真田六文会. 真田氏の460年. 真田六文会.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059160990-00 (【N288/83】) -
真田一族のすべて. 新人物往来社, 1996. (別冊歴史読本 : 70)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I015829188-00 , ISBN 4404024150 (【N288/161】)
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上田市立博物館/編 , 上田市立博物館 , 上田市立博物館. 秀吉と真田 : 大阪城・上田城友好城郭提携記念特別展. 上田市立博物館.
- キーワード
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- 真田信繁(幸村)
- 真田系譜
- すえ
- 照会先
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- 真田宝物館 〒381-1231 長野県長野市松代町松代4-1 Tel:026-278-2801
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000213262