レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年12月19日
- 登録日時
- 2013/01/25 15:30
- 更新日時
- 2013/03/21 16:45
- 管理番号
- 埼熊-2012-243
- 質問
-
未解決
平安・鎌倉時代の地名、芦森、横見庄、津和は埼玉県吉見町に関係があるのか。(岡山県備中高梁市の旧家の系図にあった。)
- 回答
-
『和名抄』及び埼玉県の地名に関する資料などに〈横見郡〉〈吉見庄〉の記述は見られたが、〈横見庄〉の地名は見つからなかった。同様に、岡山県の地名に関する資料などに〈足守【アシモリ】〉の記述が見られたが、〈芦森〉の地名は見つからなかった。調査の経過は以下のとおり。
埼玉県の地名を調査
『日本歴史地名大系 11 埼玉県の地名』(平凡社 1993)
p90-92に〈横見郡〉の項あり。記述中に〈芦森〉〈横見庄〉〈津和〉の地名なし。
p570〈古名村〉の項に、「『風土記稿』によると古くは当村は横見村と称していた」とある。
p557〈吉見町〉の項目あり。「古代には町域のほぼ全域が横見郡に属していたと考えられる。同郡は平安中期以降は吉見郡とよばれるようになったが、正保郷帳・正保国絵図作成時までに旧に復し、再び横見郡と称されることとなった。」「「日本書記」安閑天皇元年閏一二月条によると武蔵国造笠原直使主は同族の小杵と同国造を争い、このとき朝廷が小杵を誅し使主を国造としたことに感謝して、使主は同月横渟(よこぬ)・橘花(たちばな)など四所の屯倉を設けたという。横見郡はこの横渟屯倉を中心として設定されたという説もある。」
巻末索引に〈芦森〉〈横見庄〉〈津和〉なし。
『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』(角川書店 1980)
〈横見庄〉〈芦森〉〈津和〉の項なし。
p885-886〈横見郡〉の項に、「武蔵国の郡名。中世には吉見郡と書かれることが多い。」とあり。
『埼玉県地名誌 名義の研究』(韮塚一三郎著 北辰図書 1969)
p248-256〈吉見村〉の項あり。「吉見は古くは吉見庄下吉見領に属した。吉見の古名は横見(ヨコミ)で、『和名抄』の横見郡の地である。」とあり。
〈芦森〉〈津和〉に関する記述なし。
『埼玉県地名辞典』(韮塚一三郎著 関東図書 1951)
p87-89〈東吉見村〉〈西吉見村〉〈南吉見村〉〈北吉見村〉の項に、「吉見の名は横見から出ている。しかして横見郡の郡名は『和名抄』にすでにみえており」とあり。
〈芦森〉〈津和〉に関する記述なし。
『埼玉県市町村誌 9』(埼玉県地域総合調査会〔編〕 埼玉県教育委員会 1976)
p11明治初期以降の市町村分合表あり、「横見郡」が見られる。明治29年4月4日、横見郡を比企郡に変更。
『武蔵国郡村誌 15(埼玉県編 埼玉県立図書館 1955)
p169-176「武蔵国横見郡誌」に、p171「東北は荒川を隔て足立郡に対し西南は市の川を以て比企郡を劃し西北の一隅は大里郡に接す」とあり。
『新編武蔵風土記稿 [3]10 大日本地誌大系 16』(蘆田伊人編集校訂 雄山閣 1977)
p47-78「横見郡」の章に、p50「中古所唱郷庄 御所郷 吉見庄:岩殿山の縁起に見ゆ、今所唱領一 下吉見領:郡中をすべて号す、上吉見領は大里郡に属す」とあり。
『吉見町史 上』(吉見町町史編さん委員会編著 木耳社 1978)
p264-273「横見郡の設置」の節あり。
p306-308「吉見岩殿山略縁起」のなかに、「吉見の庄」が出てくる。
岡山県の地名を調査
『日本歴史地名大系 34 岡山県の地名』(平凡社 1988)
〈芦森〉の項なし。〈足守〉〈足守郷〉〈足守庄〉〈蘆守庄〉などの項あり。
〈横見〉については、以下の記述あり。
p902下〈下村〉の項に「有漢川下流域にある信清や山形を中心に、南東部の安元や横見を含む」とあり。 p915中〈中富村〉の項に「集落は東町・下組・上組・是森・横見・助近・郷尾・平・中曽などに散在」とあり。
p940〈井村〉の項に、「足立に芋原・吉川・足立・田曽、上市に畑原・舞尾・内草・木戸・谷内・横見・上市の集落がある」とあり。
〈津和〉の項なし。〈津和谷〉の項あり。
『角川日本地名大辞典 33 岡山県』(「角川日本地名大辞典」編纂委員会編 角川書店 1989)
〈芦森〉の項なし。
p78〈足守〉の項あり。「奈良期-平安期に見える郷名。「和名抄」備中国賀夜郡十四郷の1つ。高山寺本・東急本ともに「安之毛利」の訓を付す」とあり。
〈横見〉〈津和〉の項なし。
『和名抄』を確認
『天理図書館善本叢書 和書之部 2 和名類聚抄』(天理大学出版部 1972)
〈武蔵郷〉の項p46に、「横見郡 高生 御坂 余戸」とあり。
〈備中郷〉の項p131に、「足守 安之毛利」あり。
『和名類聚抄郡郷里駅名考証』(池辺弥著 吉川弘文館 1981)
p359-360〈横見郡〉の項あり。
p618〈賀夜郡〉に〈足守〉の項あり。「安之毛利」の標記あり。
- 回答プロセス
-
その他調査した資料は、以下のとおり。
地名に関する辞典類を調査
『新日本地名索引 1 五十音篇』(金井弘夫編 アボック社出版局 1994)
〈芦森〉の項なし。
p43〈足守〉(アシモリ)は、岡山市にあり。p1969〈吉森〉(ヨシモリ)は、岡山県八束村ほかにあり。
〈横見庄〉の項なし。
p1959-1960〈横見〉は各地にあり。岡山県では、新見市、大佐町にあり。埼玉県では、吉見町にあり。
〈津和〉の項あり。
p1173長崎県上対馬町。
『大日本地名辞書 1 汎論・索引』(吉田東伍著 富山房 1989)
〈芦森〉の項なし。
p10〈足守〉(備中)、〈葦守〉備中 あり。 *〈葦〉は〈芦〉と同義
〈横見庄〉の項なし。
p332〈横見郡〉(武蔵) あり。
〈津和〉の項なし。
p216〈津和地〉〈津和野〉(石見) あり。
『古代地名大辞典 本編』(角川文化振興財団編 角川書店 1999)
〈芦森〉の項なし。
p46b〈足守郷〉の項あり。岡山県岡山市。飛鳥・奈良・平安期に見える郷名。
p46b〈足守庄〉の項あり。岡山県岡山市。平安期に見える荘園名。「郷名でも見え、葦守庄とも書いた」とある。
〈横見庄〉の項なし。
p1505a〈横見郡〉の項あり。埼玉県。
〈津和〉の項なし。
歴史地名に関する辞典類を調査
『日本歴史地名事典』(吉田茂樹著 新人物往来社 1993)
〈芦森〉の項なし。
p27「足守荘」の項に、「岡山市足守町(備中国賀夜郡)。『応神記』二十二年に「葉田葦守宮」として見える地域で、『和名抄』の「足守郷」の地。」とあり。
〈横見庄〉の項なし。
p445〈横見郡〉の項あり。「埼玉県中北部(武蔵国)にあった郡。「正倉院銘文」に「横見郡」で初見し、「和妙抄」にも同郡名で見えるが、訓注に「与古美、今称吉見(よしみ)」とあって、早くも佳名として「吉見」を用い、中世には「吉見郡」と称する場合が多くみられた。(後略)」とあり。
〈津和〉の項なし。
荘園事典を調査
『日本荘園大辞典』(阿部猛、佐藤和彦編 東京堂出版 1997)
p672〈足守荘〉(備中)の項あり。「現、岡山市南西部の足守川流域(中略)一帯。」
参考文献に、西岡虎之助『荘園史の研究』下一、『荘園絵図集成』上あり。
〈芦森〉〈横見(庄)〉〈津和〉の項なし。
『日本荘園史大辞典』(瀬野精一郎編 吉川弘文館 2003)
p7〈足守荘〉の項あり。「現在の岡山市の足守を中心とする地域である。葦守荘とも記す。」とあり。
〈芦森〉〈横見庄〉〈津和〉の項なし。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本 (291 9版)
- 貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション (090 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 吉見町(埼玉県)-地名
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000127418