レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20200927
- 登録日時
- 2021/01/15 00:30
- 更新日時
- 2021/03/22 13:55
- 管理番号
- 0401002273
- 質問
-
未解決
1919年に発行された大泉黒石(オオイズミ コクセキ)の『俺の自叙伝』に関する同時代評や、黒石自身の当時の評価・どの程度人気があったのかなどについて知りたい。
- 回答
-
『俺の自叙伝』は『幕末武士と露国農夫の血を享けた私の自叙伝』という題名で雑誌『中央公論』に出版年と同じ1919年に発表した作品。
調査したが同時期に作品そのものを評価している資料の特定には至っていない。
そこで、大泉黒石について書かれている比較的古い資料を探した。
以下の資料を案内し、依頼者自身にも確認を行ってもらった。
➊大泉黒石関連資料を紹介している資料
【自館所蔵資料より】
①『黒石廻廊』(『大泉黒石全集9 付録資料』)緑書房,1988年
p.13:「大泉黒石研究文献・参考資料目録」:大正8年の東京朝日新聞記事など、黒石について書いて
ある資料を一覧で紹介
②『大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録 人名編1 あ-え』大宅壮一文庫,1985年
p.30:「大泉黒石」の項目に8資料掲載あり
【国立国会図書館デジタルコレクション(図書館送信限定)より】
③『むうざ 4』1986年(永続的識別子:info:ndljp/pid/4423345) (2020年9月現在)
109コマ:「黒石についての著作物」として16資料掲載あり
【➊の中で同時代頃の資料・評価が載っている資料のうち自館で閲覧可能だったもの】
①『文壇出世物語』1924年(国立国会図書館デジタルコレクション 永続的識別子:info:ndljp/pid/1881460) (2020年9月現在)
7コマ・131-133コマ:「人夫と作者になつた大泉黒石」
②『朝日新聞 復刻版 大正8年9月』
p.77:9月10日掲載記事「数奇の運命を負へる混血の新進作家」
③『復刻版・図書新聞 第20巻 昭和45年』不二出版
1046号(昭和45年1月24日)のp.7:大泉黒石の世界
④『木佐木日記 上』木佐木勝/著,中央公論新社,2016年
大泉黒石についての記述が多数出てくるが、その中でも『俺の自叙伝』についてと、
黒石の評価に関連した記述はp.38,p.55,p.59,p.96,p.124,p.178,p.349,p.383にあり
⑤『辻潤全集 第2巻』辻潤/著,五月書房,1982年
この内の「絶望の書」
⑥『尾崎一雄全集 第4巻』尾崎一雄/著,筑摩書房,1982年
この内の「もぐら横丁」
➋大泉黒石について書かれていた資料
【国会図書館デジタルコレクション(図書館送信限定)より】→「大泉黒石」で検索
①『現代流行作家の逸話』大正11年(永続的識別子:info:ndljp/pid/916740) (2020年9月現在)
59-60コマ:「大泉黒石所得税物語」→所得税が去年の2倍になったと書かれており、当時の人気ぶりが
推察できる
②『人の噂 2(4)』1931年(永続的識別子:info:ndljp/pid/1784004) (2020年9月現在)
62コマ:「大泉黒石の嘘」
③『高志人 37(5)』1972年(永続的識別子:info:ndljp/pid/1755639) (2020年9月現在)
5-9コマ:「大泉黒石論」志村有弘/著
④『窓』1996年(永続的識別子:info:ndljp/pid/3464616) (2020年9月現在)
22コマ:「大泉黒石の伝記をめぐって-グザーノフ「私のからだには二つの血が・・・・」に寄せて」
中本信幸/著
【グーグルブックスより】→「大泉黒石」×「大正」で検索してヒットした中で自館所蔵があった資料
①『編年体大正文学全集 大正十五年 第15巻』ゆまに書房,2003年
「大衆文藝研究(抄)大衆文藝家総評」村松梢風/著の中のp.436~大泉黒石について記述あり。
②『編年体大正文学全集 大正八年 第8巻』ゆまに書房,2001年
p.489「俺の自叙伝」
p.631下段:大泉黒石について書かれているが、この資料の出版年である2001年当時の評論。
③『大正デモクラシー研究 知識人の思想と運動』
p.207,216,267:名前は出てくるが、黒石の評価等は書かれていない。
④『近代文学の異端者 日本近代文学外史』岡保生/著,角川書店,1976年
p.161:「大泉黒石-大正文壇の彗星」あり。ただしこの資料出版年の1976年当時の評論。
【ブラウジングで調査】
①『明治大正文学美術人名辞書』松本龍之助/著,立川書店,1931年
p.119:大泉黒石(オオイズミクロイシと表記)
⇒大正15年当時の辞書で、黒石についての説明は当時の評価と言える
②『民間学事典 人名編』鹿野政直 他/編,三省堂,1997年
p.73:大泉黒石、以上の資料を提供した。
この他、確認に使用した資料も参考文献に記載しておく。
- 回答プロセス
-
①自館所蔵の『大泉黒石全集』を調査。
9巻の付録「黒石廻廊」に研究文献・参考資料目録記載あり。
紹介されている資料のうち年代の古いものを中心に自館所蔵とデジタルコレクションを確認。
②国会図書館サーチ:「大正」「雑誌」「評論」、「大泉黒石」等で検索。
③国会図書館デジタルコレクション:「大泉黒石」で検索。
→図書館送信限定資料の中から依頼者は著書については確認したとのことだったので、黒石の著作以外を確認した。
『むうざ』という雑誌に「黒石についての著作物」が紹介されていたので、紹介資料の年代の古いものを自館所蔵とデジタルコレクションを確認。
④グーグルブックス:「大泉黒石」「大正」で検索。
→ヒットしたものから自館所蔵検索して内容確認。
⑤リサーチナビを「大正」「雑誌」で検索。
→大正時代頃の雑誌記事を探すレファレンスツール確認(雑誌記事索引集成明治大正昭和→所蔵なし(熊本学園大にあり))。
⑥自館所蔵の『大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録』で「大泉黒石」を調査。
該当8件の自館所蔵とデジタルコレクションを確認。
以上の方法で集めた資料のうちいくつかは内容を確認した。
掲載がすぐ確認できなかったものは依頼者本人が自分で目を通してみるとのことだったので、資料をそのまま提供した。
古い雑誌記事を調べる方法ややり方を知りたいとのことだったので、今回の調査方法と国会図書館のリサーチナビを紹介した。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 作品集 (918 10版)
- 特種目録 (027 10版)
- 日本史 (210 10版)
- 参考資料
-
- 大泉黒石全集 9,大泉 黒石/著,緑書房,1988年 (付録「黒石廻廊」(大泉黒石全集書報No.9)p.13:黒石研究文献・参考資料目録|0113562623|/918.6/オ/)
- 大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録 人名編1,大宅壮一文庫,1985.6 (p.30|0111747887|/027.5/オ/)
- 編年体大正文学全集 第15巻,ゆまに書房,2003.5 (p.425|0117886812|/918.6/タ/15)
- 編年体大正文学全集 第8巻,ゆまに書房,2001.8 (p.489,p.631|0117691329|/918.6/タ/(8))
- 大正デモクラシ―研究,太田 雅夫/著,新泉社,1975年 (0111324166|/210.6/オ/)
- 近代文学の異端者,岡 保生/著,角川書店,1976年 (p.161|0110304235|/910.2/オ/)
- 朝日新聞 復刻版 復刻版 大正8年9月,日本図書センター (p.77|0121878870|///)
- 復刻版・図書新聞 第20巻 昭和45年 1044~1093,不二出版 (p.7|0120665005|///)
- 木佐木日記 上,木佐木 勝/著,中央公論新社,2016.11 (0141619650|/289.1/キ/1)
- 辻潤全集 第2巻,辻 潤/著,五月書房,1982.6 (絶望の書|0112309661|/918.6/ツ/2)
- 尾崎一雄全集 第4巻,尾崎 一雄/著,筑摩書房,1982.8 (もぐら横丁|0112830286|/918.6/オ/)
- 明治大正文学美術人名辞書,松本 龍之助/著,立川書店,1931年 (p.119:大泉黒石(オオイズミクロイシ)と記載|0111394276|/910.3/マ/)
- 民間学事典 人名編,鹿野 政直/[ほか]編,三省堂,1997.6 (p.73|0116713967|R/002/カ/)
- 人物レファレンス事典 昭和<戦後>・平成編[1]あ~す,日外アソシエーツ編集部/編,日外アソシエーツ,2003.6 (p.433|0117889808|R/281/ジ/1)
- 西日本文壇史,原田 種夫/著,文画堂,1958年 (0111390910|/910.2/ハ/)
- 新潮日本文学小辞典,伊藤 整/編集,新潮社,1968.1 (p.151:プロフィールと著作|0116351222|R/910.3/シ/)
- キーワード
-
- 大泉黒石
- オオイズミコクセキ
- 大正
- 雑誌
- 書評
- 自伝
- 評価
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000292388