レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024年01月19日
- 登録日時
- 2024/01/24 00:30
- 更新日時
- 2024/02/06 00:30
- 管理番号
- 3A23009819
- 質問
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解決
大阪市立中央図書館のそばに、鰹座橋(かつおざばし)交差点という交差点があるが、由来について知りたい。
- 回答
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鰹座橋交差点の場所には、昭和45年の長堀川の埋立てにより姿を消した鰹座橋という橋がかかっていました。
「鰹座橋」について、以下の資料に記述が見つかりました。
(1) 国立国会図書館デジタルコレクション『大阪叢書 第2輯』 (大阪趣味研究会 昭和2至4) (図書館・個人送信限定) <当館書誌ID:0000378088>
https://dl.ndl.go.jp/pid/1188322/1/50 (2024.1.22確認)
p.75-78(コマ番号50-52)「第四篇 堀江界隈 (一五) 問屋橋と鰹座橋」のp.78-88(コマ番号51-52)に「鰹座橋は鰹座があつた所、と云つても芝居ぢやない。承応二年、大阪中の干鰯仲間が申合せて戎講を作つた。(中略)鰹問屋も干鰯仲間の一員で、頭数は四人であつた。それが此の附近にあつたから、橋の名にまで用ひられるようになつた。」とあります。
(2) 国立国会図書館デジタルコレクション『南北堀江誌 : 附・幸町』 (南北堀江誌刊行会 編 南北堀江誌刊行会 昭和4) (図書館・個人送信限定) <当館書誌ID:0000246503>
https://dl.ndl.go.jp/pid/1213043/1/63 (2024.1.22確認)
「第二章 堀江の地理 第二節 河川と橋梁 (二)橋梁」のp.36に「鰹座橋」の項があり、「創設未詳。北岸に鰹座ありしを以てこの名あり。又南岸に土佐藩蔵屋敷存せしため、土佐殿橋とも称せられた。昭和三年五月改築、長さ二十間六分幅五間六分、鋼鈑式の典雅な橋で、沿岸の垂柳と好箇の対照をなすものである。」とあります。
(3) 『西区史 第3巻』 (西区史刊行委員会/[編] 清文堂出版 1979)
「第三章 西区風土記 六、西六」のp.343-344「西長堀北通四丁目」の項、p.343に「鰹座橋の北詰辺は鰹節問屋の多かりし所にて、土佐・薩摩(中略)等より産出したが、殊に土佐と薩摩は国産として多数に廻送し来り、毎春の初荷を江戸に送る番船など賑かな行事もあったそうである。」などの記述があります。
(4) 国立国会図書館デジタルコレクション「西区の史跡」 (西区コミュニティ協会, 大阪中部ライオンズクラブ 編 西区制百周年記念事業実行委員会 1979.5) (図書館・個人送信限定) <当館書誌ID:0000619288>
https://dl.ndl.go.jp/pid/9574835/1/11 (2024.1.22確認)
p.16-17(コマ番号11)「西長堀川と鰹座の跡」に「昭和四十五年に埋め立てられて姿を消したが、西長堀川以西の西区地域には東から(中略)鰹座橋(中略)などが架けられていた。土佐高知藩の蔵屋敷は、鰹座橋とその西約八十間(約一四四・八メートル)の玉造橋の中間、西長堀川両岸一帯を占めていた。鰹座橋はそのため土佐橋・土佐殿橋とも呼ばれたが、もともと右岸に土佐の国産である鰹節を売買する鰹座があったため、鰹座橋と名づけられたものである。」とあります。
(5) 『角川日本地名大辞典 27 大阪府』 (「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編 角川書店 1983.10)
p.307に「鰹座橋」の項があり、「古くは土佐橋・土佐屋橋などとも呼ばれた。長堀川西部に架かっていた橋。現在の大阪市西区新町4丁目と北堀江4丁目間に架かっていたが、昭和45年の長堀川の埋め立てで姿を消した。当時の橋は昭和3年架橋の鋼橋で、長さ37.58mであった。橋名は、川の右岸にかつて土佐(高知県)名産の鰹の座が存在したことに由来する。」とあります。
(6) 『大阪の橋』 (松村 博/著 松籟社 1987)
「長堀川の橋」の章、p.231-234「西長堀(にしながほり)の橋」の「橋名の由来」の項、p.232-233に「鰹座橋と新玉造橋の間の南側には土佐藩の蔵屋敷があった。鰹座橋は土佐橋とか土佐殿橋と呼ばれたこともあったが、右岸側(北側)に土佐名産の鰹節を扱う問屋が多くあったことから鰹座の名が生まれた。」とあります。またp.234の「戦後の変化」の項に「この西長堀も(中略)昭和四二年から埋め立てが始められ、昭和四六年には完了するこの間に長い歴史を重ねてきた橋も次々と撤去された。」とあります。
(7) 『埋もれた西区の川と橋』 (伊勢戸 佐一郎/著 大阪中部ライオンズクラブ 1990)
「西長堀川」の章、p.297-300「鰹座橋」の項にて、「諸元と位置」に「長堀川の第17橋鰹座橋は、元和8年(1622)の長堀川開削から明歴元年(1655)までの間に架設された橋梁と考えられるが、土佐藩蔵屋敷の開設が早いことから、長堀川開削と同時に架けられた可能性が高い。明暦3年(1657)新板大坂之図と延宝6年(1678)板の『大坂惣堀並橋数名知哥』では土佐屋橋と書かれているものの、明暦元年(1655)大坂三郷町絵図(大阪市立博物館蔵)をはじめ以後の絵図すべてが鰹座橋と表示しているから、架橋後はほぼ一貫して用いられた橋名と言える。」とあります。「橋名の由来」に「長堀川が開削された元和8年以来、この付近の両岸に設けられた土佐藩蔵屋敷と特産物問屋に因んだ命名であり、土佐屋橋は問屋名に由来し、鰹座橋は鰹節問屋集団の所在したことに基づいている。」とあります。
(8) 大阪市立図書館:市史編纂所だより
https://www.oml.city.osaka.lg.jp/index.php?page_id=1150 (2024.1.22確認)
第26号(2008年6月)のp.2-3「土佐藩ゆかりの地名」に「図書館前を南北にはしる新なにわ筋と長堀通の交差点を鰹座橋といいます。長堀通には昔、長堀川という運河が流れていました。この運河には四ツ橋のほか、問屋橋、白髪橋、鰹座橋などといった橋がかかっていました。この鰹座橋の南詰めに土佐藩の蔵屋敷があったのです。蔵屋敷には材木・鰹節・半紙・砂糖などの特産品が土佐から廻送されました。橋の北詰には鰹節問屋が建ち並んでいたので、鰹座橋です。」とあります。
(9) 『いちょう並木 -OSAKA生涯学習情報誌- 2020年4月号 No.444』 (大阪市立総合生涯学習センター/編集 大阪市教育委員会 2020.4)
p.22「おおさか歴史探訪144 鰹座橋と土佐藩蔵屋敷」に「この名称のもととなった鰹座橋は長堀川に南北にかかっていました。(中略)長堀にかかるこの橋は土佐藩の屋敷があったことから「土佐橋」とも呼ばれましたが、江戸時代でも前半の内には「鰹座橋」の名前が定着していました。これは鰹節の名産地と知られた土佐藩の屋敷があったことから、鰹節を扱う商人が橋の北側に集まり「鰹座」となったため、名がついたといわれています。」とあります。
「大阪市立図書館デジタルアーカイブ」にて、「鰹座橋」の写真が閲覧できます。
(10) 大阪市立図書館デジタルアーカイブ「新鰹座橋」(日下コレクション「大阪市西区役所旧蔵」) (日下福蔵 1937 )
http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/detail?cls=ancient&pkey=w5432001 (2024.1.22確認)
(11) 大阪市立図書館デジタルアーカイブ「鰹座橋」(日下コレクション「大阪市西区役所旧蔵」) (日下福蔵 1937)
http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/detail?cls=ancient&pkey=w5433001 (2024.1.22確認)
(12) 大阪市立図書館デジタルアーカイブ「鰹座橋」(日下コレクション「大阪市西区役所旧蔵」) (日下福蔵 1937)
http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/detail?cls=ancient&pkey=w5434001 (2024.1.22確認)
- 回答プロセス
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1.商用データベース「JapanKnowledge」にて、キーワード“鰹座橋”で検索、見出し検索ではヒットせず、全文検索で「長堀川」の項がヒットするが、橋名の由来などの記述はなし。
2.当館データベース「大阪関係資料目次検索」(外部非公開)にて、キーワード“鰹座橋”で検索、資料(2)が見つかる。
3.大阪府立中之島図書館「おおさかポータル」( https://www.library.pref.osaka.jp/site/osakaportal/index.html )にて、キーワード“鰹座橋”で検索、資料(9)が見つかる。
4.大阪の地名辞典類を確認、資料(5)が見つかる。
5.「国立国会図書館デジタルコレクション」にて、キーワード“鰹座橋”で検索、資料(1)(3)(4)(8)が見つかる。
6.郷土関係のレファレンス資料で橋梁関係の資料を確認、資料(6)(7)が見つかる。
7.「大阪春秋総目次・索引集」( http://osaka-web-museum.na.coocan.jp/index-top-shunjyu.htm )にて、「地名/事項編」を確認。「鰹座橋」の項はないが、「鰹座」の項があり。確認するが新たな有用情報なし。
8.当館デジタルアーカイブを検索、資料(10)(11)(12)が見つかる
- 事前調査事項
- NDC
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- 橋梁工学 (515 9版)
- 日本 (291 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0000378088> 大阪叢書 第2輯 新町界隈 堀江界隈 上田 長太郎/著 大阪趣味研究会 1927.9 資料(1)
- 当館書誌ID <0000246503> 南北堀江誌 蒲田 利郎/編纂 南北堀江誌刊行会 1929 資料(2)
- 当館書誌ID <0070052014> 西区史 第3巻 西区史刊行委員会/[編] 清文堂出版 1979 資料(3)
- 当館書誌ID <0000619288> 西区の史跡 西区コミュニティ協会/編集 西区コミュニティ協会 1979.5 資料(4)
- 当館書誌ID <0000184865> 角川日本地名大辞典 27 大阪府 「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編 角川書店 1983.10 9784040012704 資料(5)
- 当館書誌ID <0000164468> 大阪の橋 松村 博/著 松籟社 1987 9784879840820 資料(6)
- 当館書誌ID <0000225539> 埋もれた西区の川と橋 伊勢戸 佐一郎/著 大阪中部ライオンズクラブ 1990 資料(7)
- 当館書誌ID <5115284090> [巻号] いちょう並木 -OSAKA生涯学習情報誌- 2017年4月- / 411号- 大阪市立総合生涯学習センター/編集 大阪市教育委員会 2017.04-2100.12 資料(9)
- 大阪市立図書館:市史編纂所だより https://www.oml.city.osaka.lg.jp/index.php?page_id=1150 資料(8)
- 大阪市立図書館デジタルアーカイブ「新鰹座橋」 (日下福蔵 1937 ) http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/detail?cls=ancient&pkey=w5432001 資料(10)
- 大阪市立図書館デジタルアーカイブ「鰹座橋」 (日下福蔵 1937) http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/detail?cls=ancient&pkey=w5433001 資料(11)
- 大阪市立図書館デジタルアーカイブ「鰹座橋」 (日下福蔵 1937) http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/detail?cls=ancient&pkey=w5434001 資料(12)
- キーワード
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- 大阪府大阪市西区
- 鰹座橋
- 鰹座
- 土佐橋
- 土佐殿橋
- 土佐屋橋
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000345346
- 関連ファイル
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資料(10)
「大阪市立図書館デジタルアーカイブ」で閲覧できます
http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/detail?cls=ancient&pkey=w5432001資料(11)
「大阪市立図書館デジタルアーカイブ」で閲覧できます http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/detail?cls=ancient&pkey=w5433001資料(12)
「大阪市立図書館デジタルアーカイブ」で閲覧できます http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/detail?cls=ancient&pkey=w5434001