レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/11/16
- 登録日時
- 2011/11/18 02:00
- 更新日時
- 2022/12/22 17:13
- 提供館
- 京都市図書館 (2210023)
- 管理番号
- 右中-郷土-44
- 質問
-
解決
お座敷遊びの種類と遊び方について知りたい。
- 回答
-
お茶屋遊びとは,花街にあるお茶屋さんで遊ぶこと全般を指します。お座敷遊びは,その中でもお座敷での興を添える遊びのことです。お座敷の中にあるものだけで遊べ,舞妓や芸妓(げいこ)の舞を楽しんだり,会話で盛り上がったりすることも含みます。その中でも“拳”とつくじゃんけんのような遊びはバリエーションも豊富です。その他,三味線を使ったり,寸劇のような遊びもあります。
以下に祇園の花街でよく遊ばれているものについて紹介します。
●夫婦拳(めおとけん)
芸妓または舞妓と客が二人一組になり,二組四人で遊ぶ。それぞれの夫婦で,もう一組の夫婦に知られないようにグーチョキパーを出す順序3種類をあらかじめ決める。「ジャンケンポイ」の掛け声で,両方の夫婦がそれぞれに決めた順番のとおりに二人でそろって同じ拳を出していく。普通のじゃんけんの通りに勝敗を決め,これでどちらの組が勝つかを決める。どちらか片方の夫婦がそれぞれ違う拳を出したら,その組が負けとなる。
●迷惑拳
5~10人位で遊ぶ。客と芸舞妓が交互に座って輪になる。親になった人が,「ワン・ツーの10」などと5の倍数またはナシ(0の意味),皆(みな)(全員がパーを出すことを意味する)と言うと同時に,それぞれが何も出さないか,パーを出す。パーを5と数えて,例えば2人がパーを出すと,合計が10だから当たりとなり,親の隣りにいる人が罰杯となる。5人で遊びながら,「ワン・ツーの25」と言っておいて自分が何も出さないと,合計が25になるはずもなく,そんな場合は言った本人が罰杯を飲むことになる。
●麦つんで
まず親を決め,それ以外の全員で輪になって座る。「麦つんで,小麦つんで・・・」と三味線に合わせて歌いながら,左手のひらにコイン(10円玉など)を乗せて,順々に隣りの人に手渡していく。「止め」の合図で(または三味線が止まった時),親は誰の所にコインがあるか当てる。はずれたらお酒を飲まなくてはならない。当たったら,当てられた人がお酒を飲む。
●石の地蔵さん
客と芸舞妓がともに舞いながら,「石の地蔵さんに団子をあげて,どうぞヤヤ子ができますよう。そこで地蔵さんがいうことにゃ,団子じゃいけない,餅(持ち)上げろ」と歌い,終わって芸舞妓がしゃがみ,客が上に腰かける。
●お若いの
全体で輪になって遊ぶ。「お若いのチリツン・・・,お年寄りチリツン・・・」と囃し,「お若いの」は背伸びし,「お年寄り」は腰をかがめて躍る。三味線がだんだん早くなり,それに合わせて躍る。
●御幣(ごへい)まわし
皆で輪になり座って遊ぶ。割りばしに細長く切った和紙を挟み,神社でお祓いする御幣に見立てる。三味線の音に合わせて,御幣を持ってお祓いをして拝む真似をして,それを隣りの人に渡す。これを順々に隣りへと回していく。地方(じかた)は後ろを向いて三味線を弾き続け,適当なところで止める。そのときに御幣を持っている人が負けとなり,罰杯を飲む。
●さんざい
お座敷で飲んだ後,「さんざいしまひょか」と芸妓や舞妓が声をかけ,“一条戻り橋”など京都の通り歌で客と芸舞妓が一緒に振りをつけてうたう。この場合の「さんざい」とは,「唄や踊りで騒ぎましょう」という意味。
これらの他にも,下記のような遊びが有名です。
野球拳,和藤内(わとうない)(別名「とらとら」「虎拳」),狐拳(別名「つるつる拳」「藤(東)八拳」「庄屋拳」),金毘羅船々(こんぴらふねふね),べろべろの神様,いろはのいの字,おまわりヨイヤサ(別名「おまわりさん」)など。
また,ちゃり舞といって,都都逸や串本節,さのさ節などで寸劇のようにして遊んだりもしましたが,芝居や歌舞伎などを知らないとその場面や言葉を掛けた遊びの滑稽さが伝わらないため,今ではあまり遊ばれなくなりました。
- 回答プロセス
-
館内検索機で“お座敷遊び”,“お茶屋遊び”で検索。また,384.9の当館所蔵資料にあたった。
芸妓や舞妓の書いた本や遊びに関する本にもあたってみたが,お座敷あそびの遊び方についてはあまり触れられていなかった。
それぞれ,下記の資料に記載があった。
●野球拳
【資料1・2・4・5・8・9・13】
●和藤内
【資料1・2・3・5・6・7・8・9・10・11・14】
【資料7・8・11】にはカラー写真あり。 【資料10・14】には浮世絵(白黒)あり。
●夫婦拳
【資料1・8】
●おまわりヨイヤサ
【資料1・4・5・8・9・10・11】
【資料8・11】にはカラー写真あり。
●迷惑拳
【資料1・8・11】
●麦つんで
【資料1・2・8・13】
●べろべろの神様
【資料1・7・8・11】
【資料7】にはカラー写真あり。
●狐拳
【資料1・2・3・9・10・11・12・13・14】
【資料11】にはカラー写真あり。 【資料14】には浮世絵(白黒)あり。
●いろはのいの字
【資料1・8】
●金毘羅船々
【資料1・2・3・5・6・7・8・10・11】
【資料5・7・8・11】にはカラー写真あり。
●桶貸しとくれやす
【資料1】
●投扇興
【資料2・11】
【資料11】にはカラー写真あり。
●石の地蔵さん
【資料3・8】
●お若いの
【資料3・7・8】
【資料7】にはカラー写真あり。
●御幣まわし
【資料8】
●ドンド節 別名「蒸気や~」「ドンドン節」
【資料8・10・11】
●さんざい
【資料6・13】
また,都都逸などのお座敷唄は【資料15・16】に数多く収録されています。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本 (291 8版)
- 社会.家庭生活の習俗 (384 8版)
- 体操.遊戯 (781 8版)
- 参考資料
-
- 【資料1】『京都舞妓と芸妓の奥座敷』(相原恭子著 文芸春秋 2001)p128~134“お座敷”
- 【資料2】『祇園のしきたり 大人の教養を愉しむ』(渡辺憲司監修 青春出版社 2009)p177~189“お座敷遊び”
- 【資料3】『京の花街祇園』(杉田博明文 淡交社 2003)p73“お座敷と遊び”
- 【資料4】『京都花街』(溝縁ひろし著 光村推古書院 2002)p61“お座敷”
- 【資料5】『京都五花街』(溝縁ひろし著 光村推古書院 2010)p92~93
- 【資料6】『ほっこり京都時間』(とよだもとゆき著 日本出版社 2005)p120~121“お茶屋遊びの内外”
- 【資料7】『先斗町のすべて 決定版』(先斗町歌舞会監修 淡交社 2010)p26~31“お座敷遊びの楽しみ”
- 【資料8】『未知の京都 舞妓と芸妓』(相原恭子文・写真 弘文堂 2007)p90~97“お座敷遊びで陽気に盛り上がる”
- 【資料9】『祇園 粋な遊びの世界』(淡交社 1995)p49~50“粋なお座敷遊び”
- 【資料10】『お座敷遊び 浅草花街芸者の粋をどう愉しむか』(浅原須美著 光文社 2003)p221~225“「負けたら飲む」お座敷ゲーム”
- 【資料11】『東京六花街』(浅原須美著 ダイヤモンド社 2007)p12~13“お座敷遊びは和のライブだ!”,130~131“料亭の基礎知識⑤”
- 【資料12】『日本こどものあそび大図鑑』(笹間良彦著 遊子館 2005)p70“狐拳”
- 【資料13】『祇園に生きて』(三宅小まめ述 同朋社 2000)p183~191“お座敷は楽しおすえ”
- 【資料14】『遊びの大事典 本編』(東京書籍 1989)p676~684“三すくみ”
- 【資料15】『ゑりかえ 京の粋な懐 1』(百華書店 2006)
- 【資料16】『ゑりかえ 京の粋な懐 2』(百華書店 2006)
- キーワード
-
- お座敷遊び
- お茶屋遊び
- 花街
- 拳
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000096766