レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024年02月18日
- 登録日時
- 2024/03/02 13:26
- 更新日時
- 2024/03/24 22:27
- 管理番号
- 県立長野-23-186
- 質問
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未解決
明治・大正・昭和前期の長野県でクリスマスがどのように祝われていたか知りたい。誰かの日記などに描かれていないか。
- 回答
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当館所蔵の地域資料で、明治から戦前のクリスマスの様子を描いた日記等を探すことについては、書誌等からの検索では有効な方法はない。当該分類の資料をすべて個別にみる悉皆調査はできないため、長野県におけるキリスト教に関するものから、次の資料を紹介した。
『人生目的 ある呉服店主の手記』長瀬太郎著 キリスト新聞社 1968【N049/128】p.261-264に「家中でクリスマス礼拝に」があった。礼拝の様子についての記述はほぼなく、その日の教会でのちょっとした失敗について書かれている。
また、『長野県史 通史編 第7巻』長野県編 長野県史刊行会 1988【N209/11-4/7】p.862に、明治期に入って様々な布教活動が行われた中に、「クリスマス祝会」があった。『長野県史 通史編 第8巻』長野県編 長野県史刊行会 1989【N209/11-4/8】p.462には、キリスト降誕祭のクリスマスは、キリスト教が長野県下に布教されていらい、信徒間ではおこなわれていたが、大正期になると、信者によるクリスマス・イブの楽しい雰囲気を伝えた新聞記事もみえる。これもこのころならではの光景であろう。
という記述があった。
なお、長野県の代表的な地域新聞である『信濃毎日新聞』を同紙のデータベースで調べたところ次の記事がヒットした。
・「師走のスケッチ=クリスマス 」大正15年(1926年)12月14日 朝刊3面
・「気早な歳末飾り上田にポツポツ」 昭和7年(1932年)12月11日 夕刊2面
・「破産した富士見高原療養所で、にぎやかにクリスマスの催し 勘違いで、立ち退く筋合いはないと経営者」
昭和7年(1932年)12月26日 朝刊3面
・「長野市旭幼稚園のクリスマス 皇太子様、万歳」 昭和12年(1937年)12月24日 朝刊8面長野県のキリスト教の団体史に、記載があるものを紹介した。
・『信州教育とキリスト教』塩入隆著 キリスト新聞社 1982【N190/14】
p.97-98「最初のクリスマス」に、1916年12月24日、手塚縫蔵、奥村政治郎等を中心とした聖書研究会が初め
てクリスマス礼拝をしたことを紹介している。
・『日本基督教団飯田吾妻町教会百十五年史』
飯田吾妻町教会歴史編纂委員会編 日本基督教団飯田吾妻町教会 1997【N198/4】
p.66に、明治38年(1905年)に、クリスマスに小児・大人300人余りの参会者があったことのみ記されている。
p.72に大正4年(1915年)行われた時の内容等が書かれている。p.84には、大正13年(1924年)のクリスマス祝
会の参会者が百名あったことのみ記載がある。p.92には、大正15年(1926年)のクリスス祝会の様子が記され
ている。
・『聖堂聖別百年史』 長野聖救主教会著 2007【N190/28】
p.108-111に、大正6年(1916年)のクリスマス祝会の様子を伝える『信濃毎日新聞』の記事を紹介している。
この記事は大正6年(1916年)12月28日朝刊1面にあった。p.111にも大正8年(1919年)には積極的に新聞取材
を受けていたことが書かれており、「クリスマスの準備」と題した写真が新聞に掲載されたとある。『信濃毎日新
聞』大正8年(1919年)12月19日朝刊7面に、どこを撮影したかの記載はないが、「降誕祭のデコレーション」と
いう写真のみの掲載があった。上記記事を調査中に、『信濃毎日新聞』の次の記事を発見したので、あわせて紹介した。
・大正8年(1919年)12月26日朝刊7面 「サンタクロスになにもろた」
写真のみで、4段抜きでサンタクロースの絵を見る少女2名と贈り物が映っている。
・昭和6年(1931年)12月20日朝刊3面 「楽しいクリスマス」
家族へのクリスマスの贈り物を手芸で、と提案する内容。
・昭和6年(1931年)12月24日朝刊3面 「クリスマス」
長野市の二葉幼稚園のクリスマス会の写真。
・昭和6年(1931年)12月24日朝刊4面 「クリスマスの夕」
ラジオのクリスマス特別番組を紹介する記事。
- 回答プロセス
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1 1945以前に出版された地域資料のうち、日記等の分類をもつものには、請求記号N950を付している。これを使って検索すると、51件ヒットするが、タイトルからでは、クリスマスのことが記載されるような資料ではないと思われた。また、1945以降に出版された「戦前の日記」を書誌から選別するには、1冊1冊内容を見る悉皆調査となり受け付けていない。
2 『長野県史 通史編』の近代の巻で、宗教の項目でクリスマスについての記載を探す。「クリスマス祝会」という言葉を見つける。また、大正期になると、信者によるクリスマス・イブの楽しい雰囲気を伝えた新聞記事があることがわかった。
3 当館契約の「信濃毎日新聞データベース」で「クリスマス」「降誕祭」「生誕」「キリスト」「教会」「基督教」「イエス」「耶蘇」などで検索した。新聞記事の全文検索が可能になる1995年7月以前は、主な記事に対してつけられたキーワードでの検索となり、検索精度が落ちている。
4 N190(長野県のキリスト教)の書棚で、キリスト教団体の歴史をまとめたものを調べる。『聖堂聖別百年史』 に積極的に新聞取材を受けていたことが書かれており、「クリスマスの準備」と題した写真が新聞に掲載されたとあった。
5 『信濃毎日新聞』で、上記資料の掲載を確認する。当該記事のほか、回答に記載した記事を発見したので、紹介した。
6 当館の蔵書検索をした際に、「キリスト教 日記」で検索したところ、『人生目的 ある呉服店主の手記』がヒットしたので、内容を確認してみる。
<調査資料>
・『郷土のキリスト教』村沢武夫著 飯田郷土史刊行会 1961【N190/2】
・『信濃のキリシタン』長野カトリック教会編・刊 1960【N190/1a】
・『キリスト教信越伝道史』牛山雪鞋著 銀河書房 1980【N190/9】
・『湖畔のみおしえ』相澤誠四郎著 聖マリヤ聖エリザベツ会 1984【N190/18】
・『藍が立派に出れば 小原福治に学ぶ1』 松本富雄著 ブイツーソリューション 2011【N190/32】
・『独立伝道者畔上賢造』藤本正高編 大空社 1996(伝記叢書)[1942年の復刻]【N198/5】
・『東海教区史』東海教区史編纂小委員会 日本基督教団東海教区 2003【N198/6】
- 事前調査事項
- NDC
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- 典礼.祭式.礼拝 (196 10版)
- 日記.書簡.紀行 (915 10版)
- 参考資料
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- 長瀬太郎. 人生目的 ある呉服店主の手記. キリスト新聞社, 1968. (【N049/128】)
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長野県 編集. 長野県史 通史編 第7巻. 長野県史刊行会, 1988.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I23111100405330 (【N209/11-4/7】) -
長野県 編集. 長野県史 通史編 第8巻. 長野県史刊行会, 1989.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I23111100411512 (【N209/11-4/8】)
- キーワード
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- クリスマス
- 降誕祭
- キリスト教
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000346950