レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/10/29
- 登録日時
- 2014/11/08 16:41
- 更新日時
- 2021/09/08 00:30
- 管理番号
- 牛久-1242
- 質問
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解決
バックビルディング現象について知りたい。
- 回答
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「バックビルディング現象」とは、降水システムの風上側がら湿った空気が流れ込み、新しい積乱雲が次々と発生しながら風下側へ移動することにより、同じ場所に降水システムが停滞する現象である。
以下の資料を紹介。
・『豪雨・豪雪の気象学』(吉崎正憲ほか/朝倉書店/2007)…p106-110
・『朝日新聞縮刷版 2014年8月』(朝日新聞社/2014)ヨミダス歴史館(http://www.yomiuri.co.jp/database/rekishikan/)
※最終確認2014年11月10日
追加調査で次にも確認。
・『気候変動の事典』(山川修治編集/朝倉書店/2017.12)…p21、p36
・『気象災害の事典』(新田尚監修/朝倉書店/2015.8)…p110、p117、p193
・『豪雨と降水システム』(二宮洸三/東京堂出版/2001.6) …p75、 p183-187
- 回答プロセス
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1. 概要をつかむため、キーワードに「バックビルディング現象」でGoogel検索。
(1)コトバンク「バックビルディング現象」
(https://kotobank.jp/word/%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%8F%BE%E8%B1%A1-192315)
…積乱雲の林立がもたらす豪雨を指すらしいことがわかる。
2. 請求記号「45-」の棚をブラウジング。
(2)『オックスフォード気象辞典』(Storm Dunlopほか/朝倉書店/2005)
…p200「バックビルディング型雷雨(広報発達型雷雨) back-building thunderstorm」の項目があったが、説明が少なくわかりにくい。
3. 質問者は津波に関する語かもしれないとのことなので、下記の資料で「バックビルディング」と「津波」の項目を確認するが、記載なし。
(3)『海洋大事典』(東京堂出版/1987)もあたるが記載なし。
(4)『広辞苑 第六版』(新村出/岩波書店/2008)、
(5)『新明解国語辞典』(山田忠雄ほか/三省堂/2012)、
(6)『日本国語大辞典 第10巻』(小学館国語辞典編集部/小学館/2001)
4. (1)より、フリーワード「積乱雲」で自館資料検索。7件ヒット。そのうち利用可能で関連性の高そうなものは1件だけだったので、その資料を確認。
(7)『豪雨・豪雪の気象学』(吉崎正憲ほか/朝倉書店/2007)
…p92-115「第7章 豪雨のメカニズム―バックビルディング型豪雨―」の中のp106-110「7.4 バックビルディング型豪雨」に、専門的な解説あり。図7.11~図7.13に図あり。
5. 「バックビルディング現象」という語で説明してあるものがないか、手掛かりを探すため、再度Google検索。
(8)大阪エコライフ地球温暖化対策地域協議会ホームページ「2014/8/21「朝日」:土砂災害死者39人に・広島市」
(https://o-ecolife.com/?p=7835)
…「2014年8月21日付朝日新聞」現象のわかりやすいイメージイラストも載っていた。
6. 質問者はできれば本の形で見たいとのことだったので、フリーワード「朝日新聞縮刷版 2014年8月」で自館資料検索。
(9)『朝日新聞縮刷版 2014-8』(朝日新聞社/2014.9)
…p937「2014年8月21日 p1」に「広島土石流 死者39人」の記事あり。(8)と同じ記事。
…p938「2014年8月21日 p2」に「バックビルディング現象か」にイメージ図と現象の説明あり。
→以上より(7)(9)のコピーを取り終了。
8. 追加調査で、請求記号「451」の棚をブラウジング。
(11)『気候変動の事典』(山川修治編集/朝倉書店/2017.12)
…p21「第1章 1-4 局地化する豪雨災害と短時間強雨・集中豪雨」の項の「(4)集中豪雨をもたらす積乱雲の組織化」に「②バックビルディング(back bhildng:BB)型 ③バックアンドサイドビルディング(back and side building:BCB)形」の記載あり。図5にBB型とBCB型の線状降水系の形態、内部構造の図あり。BB型について、「暖湿下層風と中層風の風向がほぼ同じ場合であり、個々の積乱雲は風下方向へ移動する。ただし、積乱雲からの冷気外出流と暖湿下層風とが収束するため、新たな積乱雲が古い積乱雲の後面側(下層風の風上側)に形成され、したがって積乱雲の発生場所には常に下層の暖湿流が供給される。この場合、新しく発生した積乱雲が次々と同一場所を通過するため、強い降水が断続的に発生する。日本における集中豪雨事例の多くはこのようなBB型とされている」と記載あり。
…p36-37に2014年8月20日の広島豪雨の要因としてバックビルディング現象をあげ、図5に「『2014年広島豪雨』時の雲のシステム模式図」あり。
(12)『気象災害の事典』(新田尚監修/朝倉書店/2015.8)
…p110「福井豪雨 2004年7月18日」に「強雨をもたらした積乱雲から噴き出した気流がバンド状の雲域をつくり出し、沿岸で発生した積乱雲が次々に同じ場所に流入するというバックビルディング現象により福井豪雨が発生」と記載あり。
…p117「第2章 梅雨の現象」の「梅雨の雨量」の 「57 集中豪雨」に「バックビルディング形成」の項あり。「降水システムの風上側がら湿った空気が流れ込み、新しい積乱雲が次々と発生しながら風下側へいどうすることにより、同じ場所に降水システムが停滞する現象」と記載あり。図1にバックビルディング形成の概念図あり。
…p193「平成26年広島土砂災害 2014年8月20日」の項に、バックビルディングが形成されたとして、図7に上陸気流が速度収束をた左の山に雲をつくる模式図あり。
(13)『豪雨と降水システム』(二宮洸三/東京堂出版/2001.6)
…p75に「バンド(ライン)状降水システムの多くは積雲対流のバックビルディングにより形成維持される」と記載あり。
…p183-187にバックビルディングの過程について記載あり。
「バックビルディング現象」について記載のない資料
(14)『WMO気候の事典』(WMO編/丸善/2004.6)
(15)『地球驚異の自然現象』(ロバート・ディンウィディ/河出書房新社/2012.11)
(16)『図説地球科学の事典』(鳥海光弘編集/朝倉書店/2018.4)
(17)『NHK気象・災害ハンドブック』(NHK放送文化研究所編/日本放送出版協会/2005.11)
(18)『気象ハンドブック』(新田尚編集/朝倉書店/2005.9)
(19)『身近な気象の事典』(新田尚監修/東京堂出版/2011.5)
(20)『お天気用語事典』(饒村曜/新星出版社/2002.5)
→追加調査で(11)~(13)を確認。
※全ての最終アクセス日は2021年9月7日
- 事前調査事項
- NDC
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- 気象学 (451 10版)
- 日本 (071 10版)
- 参考資料
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- B10570757 豪雨・豪雪の気象学 吉崎正憲/著 朝倉書店 2007.1 451.64 978-4-254-16704-7
- B10659112 朝日新聞縮刷版 2014-8 朝日新聞社 2014.9 071
- B10755954 気候変動の事典 山川修治/編集 朝倉書店 2017.12 451.85 978-4-254-16129-8
- B10671841 気象災害の事典 新田尚/監修 朝倉書店 2015.8 451.98 978-4-254-16127-4
- B10266303 豪雨と降水システム 二宮洸三/著 東京堂出版 2001.6 451.64 9784490204353
- コトバンク「バックビルディング現象」 https://kotobank.jp/word/%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%8F%BE%E8%B1%A1-192315 2014年11月10日 (大阪エコライフ地球温暖化対策地域協議会ホームページ)
- 2014/8/21「朝日」:土砂災害死者39人に・広島市 https://o-ecolife.com/?p=7835 2021年9月7日
- キーワード
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- バックビルディング現象
- バックビルディング
- 積乱雲
- 豪雨
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000161930