レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019.1.21
- 登録日時
- 2019/01/21 16:17
- 更新日時
- 2019/03/24 17:10
- 提供館
- 京都市図書館 (2210023)
- 管理番号
- 右中-郷土-120
- 質問
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解決
京都で流行した「木娘(きむすめ)」について知りたい。
- 回答
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木娘は,江戸時代後期の瓦版に出てきます。大阪の江戸堀川の浄福寺にある,いちょうの大木が女性のように見えたため,悲恋やきつねの祟りなど様々な噂になり,見物客が押しかけました。【資料1~5】
京都でも,明治44年(1911)夏頃,雲林院にある杉の木が,島田髷を結った娘に見えると評判になり,遠方から見物人が大勢来て絵葉書になったり,「木娘」を主題とした謡曲が作られたり,演目が興行されたりしました。【資料6・9】
また,第二次世界大戦中から終戦直後にかけても,木娘が出たと噂になり,寺社や個人宅に木娘を見に行くことが夏の納涼として流行しました。その家の亡くなった娘が「木娘」となって姿を現したなど,怪談めいた噂話とともにそぞろ歩きを愉しみ,あまりの人の多さに自警団が出動する騒ぎとなりました。【資料1~3・7・8】
- 回答プロセス
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●“木娘”で当館所蔵資料を検索するも,該当資料なし。
●“木娘”で国立国会図書館サーチを検索。・・・【資料1】
結果を元に,書名から当館所蔵資料を再検索。・・・所蔵あり。
●【資料1】から,【資料2】に掲載があることがわかる。
●【資料2】の写真が京都新聞提供とあることから,昭和25年6月の京都新聞の記事を確認。・・・【資料3】
●【資料1・2】から,“大阪 瓦版”で京都市図書館資料を検索。・・・【資料4】
●【資料4】から,“大阪 巷説”で京都市図書館資料を検索・・・【資料5】
●“木娘 京都”“木娘 きむすめ 京都”のキーワードでGoogle Booksを検索。・・・【資料6~8】
【資料6】晩夏,雲林院の杉が木娘に見えると評判になり,絵はがきや芝居小屋で興行される。
【資料8】『万葉集に現れた古代信仰』所収。
●【資料6】から,“木娘 絵はがき”でGoogle Booksを検索。・・・【資料9】
明治44年9月1日~10日明治座で興行された「自彊術・魔術」で三田光一が紙包の木娘の絵葉書を透視したことが記載されている。
そのほかにも,「木娘」とつく興行が見つかる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 風俗史.民俗誌.民族誌 (382 9版)
- 日本 (071 9版)
- 記録.手記.ルポルタージュ (916 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『西陣』(臼井 喜之介/著,松尾 弘子/著 白川書院 1963)p88~89“八月”
- 【資料2】『京の怪談』(田中 緑紅/著 京を語る会 1957)p46~48“木娘現わる”
- 【資料3】京都新聞マイクロフィルム 1950年6月16日夕刊2面“あれが木娘や 京の夜騒がす話題”
- 【資料4】『おおさか図像学』(北川 央/編著 東方出版 2005)p164~166“いちょう娘”
- 【資料5】『大阪伝承地誌集成』(三善 貞司/編著 清文堂出版 2008)p206~207“お化け銀杏”
- 【資料6】『未刊謡曲集 続6』(田中 允/編 古典文庫 1990)p72~75“杉”
- 【資料7】『孫たちへの証言 第14集』(福山 琢磨/企画・制作編 新風書房 2001)p91~93“親孝行青年の脱走秘話と「木娘見物」”
- 【資料8】『折口信夫全集 第9巻』(折口博士記念古代研究所/編纂 中央公論社 1966)p564“萬葉集に現れた古代信仰”
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【資料9】『近代歌舞伎年表 京都篇 第5巻』(国立劇場調査養成部芸能調査室近代歌舞伎年表編纂室/編 八木書店 1999)
p502“八月(二十一)日~末広座 【二】 二股噂の木娘”
p505“八月三十一日~開盛座 《笑劇》【第五】木娘騒ぎ”
p507“九月一日~十日明治座 「自覚術・魔術」”
- キーワード
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- 木娘
- 木むすめ
- 怪談
- いちょう娘
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000250464