調べ方マニュアル詳細
- 調べ方作成日
- 2011年03月01日
- 登録日時
- 2011/03/31 15:22
- 更新日時
- 2013/03/15 09:18
- 管理番号
- 埼久-027
- 調査テーマ
-
完成
時代劇映画の原作について調べる(埼玉県立久喜図書館 調べ方案内 Milestone No.27)
- 調べ方
-
◆テーマ
2010年末から2011年にかけて、時代劇映画が相次いで制作・上映されました。『必死剣鳥刺し』をはじめとする原作は短編の小説も多く、探すにはちょっとしたこつが必要です。今回は時代劇映画の原作の探し方を御案内します。
■キーワード
特定のテーマについての情報を探す場合には、あらかじめ調べたいテーマを象徴するキーワードを決めてから調査を 開始すると手際よく情報を集めることができます。
(1)主たるキーワード:映画のタイトル・原作小説(短編含む)のタイトル・原作著者名
(2)関連キーワード:主題を表わす事件など(例:忠臣蔵・赤穂浪士討ち入り・桜田門外の変など)
■関連資料・情報の集め方
映画の原作の著者名や書名、作品名を特定することが必要です。最近封切したロードショーは、映画の上映館の受付などに、原作本やパンフレットを置いて宣伝しているので、すぐに原作がわかりますが、古い映画の原作は、映画雑誌や参考図書・インターネットの検索サイトなどでお調べください。
1 テーマに関連する図書を探す
(1)参考図書でこれまでに刊行された図書を調べる
事典・辞書、ハンドブックなど、調べものに使う図書を参考図書といい、県立図書館では図書の背ラベルにRの記号を付け、貸出のできる一般図書とは別の書架に配架しています。参考図書は館内利用になります。
『映画・テレビドラマ原作文芸データブック』(勉誠出版 2005)
2004年12月までのものを対象とし、原作執筆作家の、映像化された作品数の多い順に上位120名が五十音順に記載されています。
テレビ番組の時代劇のデータとしては、放映タイトル・放映年月・放送局・脚本・出演者を記載。
映画は原作名・映像化作品名・上映年月・映画会社名・監督名・脚本家名・出演者名が記され、たとえば2002年11月に公開された松竹映画『たそがれ清兵衛』は、藤沢周平の「竹光始末」「祝い人助八」「たそがれ清兵衛」が元となり、監督は山田洋次、脚本は山田洋次・朝間義隆、出演は真田広之、宮沢りえとわかります。
『日本映画原作事典』(日外アソシエーツ 2007)
1946年から2007年10月までに日本国内で劇場公開されたもののうち、小説・戯曲・マンガ・ノンフィクション・エッセイ・児童書などを原作とするものが収録されています(ポルノ作品・劇場未公開作品は除く)。映画のタイトルの50音順に、原作著者名と原作のタイトル、映画の公開年月、監督、脚本、出演者2名(アニメの場合は声の出演2名)、原作書誌事項、値段、ISBN、内容、目次があります。短編の場合、この目次によって確かめられます。原作に関しては、タイトル・クレジットに書かれているものが記載されています。
『日本劇映画総目録』(日外アソシエーツ 2008)
初の国産劇映画『ピストル強盗清水定吉』(明治32年)から、終戦直前に公開された『北の三人』(昭和20年8月)まで、戦前の劇映画17,000本を集大成したデータ資料集。作品の50音順に題名・封切日・製作会社・スタッフ・出演者・原作者名・長さ等を記述。残念ながら原作タイトルはありません。
『テレテレビドラマ原作事典』(日外アソシエーツ 2010)
1980年から2009年11月までに日本国内で放送されたテレビドラマのうち、クレジット表示に「原作」があるものを対象とした原作事典。紹介されている原作の内容解説と目次があるのが大変便利。テレビで放映された年月日、タイトル、時間、演出・脚本・出演者がわかります。
『藤沢周平事典』(勉誠出版 2007)
第一部作品篇は、タイトル、種別(短編小説・随筆など),初出(例:「小説宝石」何年何月号など)・収録(単行本・文庫本それぞれ)・梗概が紹介者の署名入りで掲載されています。第二部一般項目篇には、「映画・映像」という項目があり、藤沢作品の映画化されたタイトル、主演、上映年と原作についての記述があります。
『歴史・時代小説登場人物索引 全5冊』(DBジャパン 2001~2010)
遡及版・アンソロジー篇(1946-1989)、単行本篇(1990-1999)、アンソロジー篇(1990-1999)、単行本篇(2000-2009)、アンソロジー篇(2000-2009)の5冊があります。たとえば藤枝梅安(ふじえだ・ばいあん)を見ると、仕掛人、鍼医者「梅安影法師-仕掛け人・藤枝梅安」池波正太郎 講談社(講談社文庫)1990年10月のように登場人物の肩書・職業と登場する本の書誌事項を掲載しています。
『歴史小説・時代小説総解説』
史伝編、古代~南北朝時代編、戦国時代編、江戸時代編、幕末・明治大正編、仇討・騒動編、剣豪小説編、股旅・市井・芸道編、捕物帖・白浪編、忍者・忍法編、伝奇・妖異編、海外・海洋漂流編に分けられています。「時代小説・歴史小説早わかり年表」には時代小説の作品と著者、大衆文学関係の動きとして雑誌の創刊や映画化について、また社会の動きとして歴史上の大事件が併せて記述されています。
以下の資料には原作の記述はありませんが、映画関係書にどのようなものがあるか多数紹介されています。
『日本の映画人』
『映像メディア作家人名事典』の新訂版ともいうべきもので、日本映画に功績を残した1,472人の人物事典です。プロフィール(生没年・家族・受賞歴等)のほかに、文献として著作と評伝・参考文献があるのが役に立ちます。
『映画基本書目』
1913(大正2)年から2008(平成20)年までに刊行された映画関係書11,555点収録。映画関係の書誌・目録にどんなものがあるか紹介されています。
『映画・音楽・芸能の本全情報』
映画の書誌・目録や映画ガイド、映画に関するエッセイにどんなものがあるか紹介されています。
2 インターネットで映画原作を探す
劇場公開された映画の調査に役立つデータベースを紹介します。
①日本映画情報システム 文化庁(http://www.japanese-cinema-db.jp/)
このシステムには、2011年2月現在、1896年~2011年3月劇場公開予定の日本映画作品(映倫審査作品)全37,180件に関する情報が掲載され、検索できるようになっていますが、今後毎月情報を追加・更新していきます。
②日本映画データベース Y.Nomura(http://www.jmdb.ne.jp/)
明治32(1899)年から現在までに製作された日本映画のデータベース。キネマ旬報DB、および同サイトの情報を共有しているgoo映画等と違い、年代の古いものから、新しいものへの昇順なのが特徴。
このシステムには、2011年2月現在、1896年~2011年3月劇場公開予定の日本映画作品(映倫審査作品)全37,180件に関する情報が掲載されていますが、今後毎月情報が追加・更新されます。
③映画データベース- allcinema スティングレイ(http://www.allcinema.net/prog/index2.php)
2001年(平成13年)まで「全洋画ONLINE」という名称でした。当初はスティングレイが1996年(平成8年)に発売したwindows用のCD-ROM『シネマガイド 全洋画』をウェブ公開したものでした。1997年(平成9年)に第2版が発売されています。現在では非日本語圏で製作された映画である「洋画」に限らず、日本映画も対象とした総合データベースです。
④キネマ旬報映画データベース キネマ旬報社(http://www.kinejun.jp/)
1945年から現在まで日本公開作を中心に、邦画・洋画約4万タイトルと、映画関係者の人名20万件以上を網羅した日本最大級の映画データベースです。
【例題】 当館で上映した映画「泥棒と殿様」の原作を探してみましょう。
(※このタイトルは、上記データベースでヒットせず、劇場公開の映画ではないようでした。)
(1)まず、インターネット検索サイト《Google》で「泥棒と殿様」を検索してみましょう。
泥棒と殿様 《http://agua.jpn.org/film/c155.html》
→ 原作は「泥棒と若殿」(山本周五郎著『人情裏長屋』新潮文庫所収)と判明しました。
(2)次に、原作を埼玉県立図書館蔵書検索システムで探します。
① 蔵書検索(詳細版)
《https://www.lib.pref.saitama.jp/licsxp-opac/WOpacTifSchCmpdDispAction.do》
書名に〈人情裏長屋〉を入力して検索します。
→ 請求記号Bヤ、資料番号116631151 で書庫にあることがわかります。
②さらに「書名」の項目を「内容注記」に変えて「泥棒と若殿」を検索します。
→ 「山本周五郎全集 第22巻」が出てきます。
こちらも書庫にある資料ですので、カウンター職員に出納を申し込んでください。
短編の場合、書名の項目には短編のタイトルが入れてないので探せませんが、「内容注記」には所収の短編が紹介されている場合があります。最初の数編のみの紹介で、「○○ほか9篇」等省略された記述もあるので、全ての短編が記述されているわけではありません。
(3)さらにインターネットで国会図書館の蔵書も調べてみましょう。
《国立国会図書館 NDL-OPAC》(http://opac.ndl.go.jp/)
国立国会図書館は、内容細目にある短編でも、書名の項目で検索すると調べられるようになっています。(古いものに関しては国会でも省略されているものもあります。)
蔵書検索の書名の項目に「泥棒と若殿」と入力してみてください。以下の6件が出てきます。
① 滑稽小説集 / 山本周五郎. -- 実業之日本社, 1975
② 泥棒と若殿 / 山本周五郎[他]. -- 大活字, 2005.4. -- (大活字文庫 ; 90)
③ 人情裏長屋 / 山本周五郎. -- -- 新潮社, 2002.6 (新潮文庫)
④ 瓢かんざし / 山本周五郎. -- 講談社, 1970
⑤ 惑う / 山本周五郎. -- 小学館, 2005.11. -- (山本周五郎中短篇秀作選集; 2)
⑥ 山本周五郎全集. 第22巻. -- 新潮社, 1983.4
(4)最後に、上記6タイトルが埼玉県内で所蔵されているかどうか調べましょう。
埼玉県内図書館の所蔵調査は、
《埼玉県内公共図書館等の横断検索システム》(http://cross.lib.pref.saitama.jp/)で検索できます。
県立久喜図書館では③と⑥を所蔵しています。県内の市町村立図書館等では、それぞれの図書について20館以上の図書館で所蔵していることがわかります。
これらの図書は、埼玉県内公共図書館間の相互貸借システムにより、身近な図書館で借りることができます。貸出窓口とする図書館にリクエストしてください。
- NDC
-
- 映画 (778 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 映画-日本
- 時代劇
- 備考
- 登録番号
- 2000016479