レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年10月24日
- 登録日時
- 2024/01/23 17:47
- 更新日時
- 2024/01/25 15:14
- 管理番号
- 000011091
- 質問
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解決
柳井地方の方言、「いかちうま」(伊陸馬)の意味や用例が知りたい。
- 回答
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「いかちうま」の語について、柳井周辺の市町村史誌・方言関係資料を中心に調査したところ、いわゆる「竜頭蛇尾」(「最初のすばらしい勢いが最後はまったくなくなること」(『広辞苑』第7版p3089)の意味として用いられるとした資料が多くあった。また、資料(この言葉が使われている地域)によって、様々な意味がある模様。
柳井周辺の歴史や民俗に関することをまとめた下記資料1では、「「あいつは伊陸馬じゃけえのう」とか「今日は伊陸馬じゃ」とかいう言葉が周東地方ではよく使われる」とした上で、「「伊陸馬」という意味は、地元の人に言わせると、伊陸馬は足が速かったので、気の早い人のことをいうそうだが、他の地域では、最初は元気がよくて、張切って仕事をしているが、しまいにはへたばってしまう人のことをいうようである。また、往復とも荷物があることを「伊陸馬」のようだという場合もある。」とある。
柳井市の市史である資料2の方言の項に「いかちうま」があり、「(伊陸馬) 1.出だしが速いさま 2.往復とも荷物があること。市域のみ。」とある。
柳井市伊陸地区の聞き書き集である資料3の「伊陸あれこれ」の項に「伊陸馬」があり、「昔、岩国藩へ年貢米を納めに行くとき、行きは間に年貢米を担がせ、帰りは千石原(岩国市御庄近く)で肥料にする笹の葉を担がせて帰っていたことから、伊陸の馬はよく働くと言われていました。そこで、よく働くことを「伊陸馬」とたとえて呼びました。最近では出足は勢いがいいけれど、すぐに息切れしてしまう様や人を指して使われることもあるようです。」とある。
岩国地域の民俗・ことわざなどをあつめた資料4の「岩国地方の俚諺」の項に「伊陸馬」があり、「一日中、何か食べ通しに口に入れている人をいう。または最初は威勢よくて早いがだんだん遅くなってダメになる。竜頭蛇尾におわることをいう。伊陸(イカチ、地名)」とある。
和木町の町史類である資料5の方言の項に「いかちうま」があり、「竜頭蛇尾。最初よく後悪い事例に用いる。」とある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 方言.訛語 (818 9版)
- 参考資料
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1.柳田 泰次 [ほか]著. 周東歴史物語 : 柳井周辺今むかし. 瀬戸内物産出版部, 1984.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I35115010004840 (p189) -
2.柳井市史編纂委員会 編. 柳井市史. 総論編. 柳井市, 1988.11.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001957312 (p573) -
3.山口県生活改善実行グループ連絡協議会 編集協力ほか. 「むら・人・くらし」の聞き書き集 2011. 山口県.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I35111000879584 (p14) -
4.大岡昇 著. 岩国の民俗と俚諺. 岩国市立岩国図書館, 1974.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001215605 (p295) -
5.末岡美胤 著. 和木町誌稿 増補改訂. 和木町, 1980.3.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001477006 (p263)
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1.柳田 泰次 [ほか]著. 周東歴史物語 : 柳井周辺今むかし. 瀬戸内物産出版部, 1984.
- キーワード
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- 日本語--方言--山口県
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000345342