レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/07/26
- 登録日時
- 2023/03/30 00:30
- 更新日時
- 2023/04/08 09:46
- 管理番号
- 0000001532
- 質問
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解決
よく日本の文化だと謳われる漫画が図書館にあまり置かれていないのはなぜか。
- 回答
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1.CA1637 - 日本における漫画の保存と利用 / 内記 稔夫,秋田 孝宏(カレントアウェアネスNo.293 2007年9月20日)
(https://current.ndl.go.jp/ca1637)には、
「長い間漫画は「低俗なもの,単なる娯楽」と位置付けられていたため,計画的かつ体系的な収集保存がなされていないのが実情である。」とあります。
2.図書館資料としてのマンガの現状と課題 村木美紀 (2010年11月 秋季研究発表会)(日本出版学会)
(https://www.shuppan.jp/reports/shukikenkyu/2011/01/31/392/#:~:text=%E6%9C%AC%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%A7%E3%81%AF%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8,%E3%81%84%E3%81%8F%E3%81%B9%E3%81%8D%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%EF%BC%8E)
では、日本の公共図書館における漫画の取り扱いについて、以下のような課題をあげています。
(収集)
・専任の担当者がおらず,明確な収集方針や選書基準が設けられていない中で行われている
・一度蔵書にした資料の継続収集や欠号の補完が厄介である
・選書の手掛かりとなるような書誌・目録等が無い
(整理)
・配架・コーナー作りで,マンガ=子どもためのモノとの誤った考えから偏りが出やすい
・ブラウジングで探す際にテーマで作品を探せない
・OPAC(コンピュータ目録)のデータからは,マンガの詳細な内容が分からず,既知文献しか検索できない
(保存)
・汚破損や盗難などの紛失,欠号に対する補充や複本などの対応,公立図書館の資料は「使われてナンボ」という位置づけであるため保存には適さない
(レファレンスサービス)
・出版やメディア論の資料は存在するものの,書誌・目録・索引や研究資料が極端に少なく,対応ができていない
3.『マンガ資料の所蔵と利用に関する調査』(東京都公立図書館、1993)は少し古い調査ですが、
「マンガ資料都内公共図書館職員1695人の意見と感想」によりますと、マンガを入れない方とする理由として
・公共図書館にはなじまない資料だ。図書館と利用者の質がさがる。
・スペース・予算上、無理。他の資料を圧迫する。
・入れたらきりがなくなる。収拾がつかなくなる。
・選書が難しい。質、量ともに巾がありすぎて、職員に選書の力量がない。
・いたみ、壊れ、紛失が多量にでる。
・マンガは個人で調達したほうがよい。
・客寄せのためなら入れないほうがよい。
・マンガが活字資料への導入とはおもえない。
などがあげられています。
4.以上のような理由で、日本の公共図書館では、漫画の収集が遅れておりますが、
次のような、漫画を扱っている日本の公共図書館に関する情報や事例もありますので、
ご参照いただければと思います。
・CA1637 - 日本における漫画の保存と利用 / 内記 稔夫,秋田 孝宏(カレントアウェアネスNo.293 2007年9月20日)(再掲)
・CA1782 - 広島市まんが図書館の現状と課題について / 吉田 宏(カレントアウェアネスNo.314 2012年12月20日)(https://current.ndl.go.jp/ca1782)
5.なお事例作成以後、日本図書館協会より『学校図書館とマンガ』高橋恵美子著 笠/昭治著 2022年10月という資料が出版された。
(インターネットサイト最終確認日:2022/07/26)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 絵画.書.書道 (72 9版)
- 参考資料
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- 1 マンガ資料の所蔵と利用に関する調査 東京都公立図書館貸出研究会?編集 東京都公立図書館貸出研究会 1993 016.2/10211
- キーワード
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- 図書館
- 漫画
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000331213