レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年12月06日
- 登録日時
- 2024/02/16 16:27
- 更新日時
- 2024/02/21 15:10
- 管理番号
- 000011097
- 質問
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未解決
秋穂霊場八十八カ所について、「日本最古の写し四国」とされるが、その根拠となる資料はあるか。
- 回答
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「秋穂八十八ヶ所霊場」が日本国内最古の写し四国であることを示す資料については不明。
なお、下記資料には「秋穂八十八ヶ所霊場」が最古の霊場であるという旨の記載があるが、いずれにも根拠となる資料は示されていない。以下に該当部分を引用。
資料1 『山口市史 通史篇』p185
「(引用者注:秋穂八十八カ所霊場は)四国霊場を除いてはその歴史においても殷盛においても全国随一を誇るもので、」
資料2 『秋穂霊場観光案内 復刻版』(初版は昭和12年(1937年)7月発行)
「四國靈場以外八十八ヶ所としては全国最古の歴史を有するわが秋穂靈場は、」
資料3『秋穂町史』によると、この霊場は、天明3年(1783年)に性海法印によって勧請されたとある。天明3年に勧請されたことを直接記載した資料は同書には明示されていないが、文政2年(1819年)発行の「秋穂八十八ケ所細見道標図」が掲載されており、この図は、勧請の翌年である天明4年(1784年)に作成されたものの改訂版であるとされる。「秋穂八十八ケ所細見道標図」の図版は一部かすれているが、「天明元甲辰春」とあるようにみえ、天明年間で干支が甲辰なのは『和洋暦換算事典』(釣洋一 著 新人物往来社 1992.9)p211によると天明4年にあたる。
また、資料4『全国三十三カ所観音霊場および全国八十八カ所霊場資料集』pxvによると、「四国霊場の地方版」は、「室町期成立(高知県本川村の例があるが)していたかどうかを示す史料は今のところない。江戸期にできたものがほとんどではないかと考えられる。」とあり、本書でも写し四国の最古のものについては具体的に示されていない。同書で、いわゆる写し四国を網羅的に挙げた「全国八十八カ所霊場編」の東日本部分をみた限りでも、史料的裏付けがあるかどうかは不明だが、明和4年(1767年)開創とする「出島四国八十八カ所」(茨城県 p341)や、宝暦9年(1759年)開創とする「相馬八十八カ所」(茨城県・千葉県 p346)など、秋穂よりも古いものが散見される。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 宗教 (16 9版)
- 参考資料
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1.山口市史編纂委員会∥編. 山口市史. 山口市役所, 1955.10.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I3411B11391013 (p185) -
2.秋穂観光協会∥[編]. 秋穂霊場観光案内 復刻版. 秋穂観光協会, 1992.12.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I35119710053441 -
3.秋穂町史編集委員会∥編 秋穂町∥編. 秋穂町史. 秋穂町, 1982.3.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000136-I1130282271877256960 (p1021-1025、1209-1212) -
4.武石/伊嗣∥著 武石/万里子∥編. 全国三十三カ所観音霊場および全国八十八カ所霊場資料集. 神谷書房, 2006.1.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008068715 (p xv、341、346)
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1.山口市史編纂委員会∥編. 山口市史. 山口市役所, 1955.10.
- キーワード
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- 観音霊場--山口県
- 観音霊場--四国地方
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉 地名
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000346364