各新聞の社史等から、以下の記述を確認しました。
・『朝日新聞社史 大正・昭和戦前編』(朝日新聞百年史編修委員会/編 朝日新聞社 1991)
地方版が本格的にスタートしたのは明治四十二年のことで、当時は「房総特報」、「関東特報」、「静岡特報」、「神奈川特報」として発行されていたそうです。また、それ以前は本紙に含まれず付録として扱われていたことが分かりました。
p.44「大正九年当時の地方版は、茨城、栃木、…(後略)…」とあり、栃木県版となったのは大正九年であることを確認しました。(それ以前の栃木版にあたる紙面が「関東特報」に含まれていたかどうかについては確認できませんでした。)
・『毎日新聞百年史 1872→1972』(毎日新聞社/編 毎日新聞百年史刊行委員会 1972)
p.307「同(前文に大正六年とあり)八月二十四日「栃木版」、…(中略)…として発行されて、当日も矢つぎ早に関東一府六県と静岡県にそれぞれ九版を創設している。」とあり、大正六年から栃木県版があったことを確認しました。それ以前の年代については、栃木県に関する記述を確認できませんでした。
・『読売新聞八十年史』(岡野敏成/著 読売新聞社 1955)
p.203「同年(前文に明治四十年とあり)八月の社告でつぎの各地に地方通信員をおくことになり、これを募集した。」とあり、その中に栃木も含まれていることを確認しました。
しかし、それによって地方版が始まった等の記述はなく、このタイミングで栃木県版が出来たのかどうかについては確認できませんでした。
また、p.697「昭和六年(一九三一年)」の項に「△地方十二県版の紙面を拡張(同)」とありますが、それより前の記述で栃木県版について確認できなかったため、この「十二県版」中に栃木が含まれているかどうかは不明です。
なお、当館マイクロフィルムでの地方版の所蔵状況は以下の通りです。
・朝日新聞 昭和28年1月6日~
・毎日新聞 昭和2年1月6日~
・読売新聞 昭和8年5月2日~
また、国立国会図書館の所蔵状況は以下の通りです。(リサーチナビより)
・朝日新聞 昭和7年9月20日~(昭和7年9月20日~昭和15年6月30日は地方集刷版に所収)
・毎日新聞 昭和8年5月~(昭和8年5月~昭和59年12月(欠:昭和19年4月~昭和20年12月)は地方集刷版に所収)
・読売新聞 大正4年6月~(大正4年6月~昭和44年3月(欠:大正12年9月、昭和20年4月~昭和20年6月、昭和26年1月~昭和26年3月)は地方集刷版、昭和50年11月~昭和53年12月は関東1(茨・栃・群・埼)に所収)
参考:リサーチナビ 主要新聞の地方版一覧
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-627.php