レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/03/04
- 登録日時
- 2019/02/25 00:30
- 更新日時
- 2019/02/25 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-180108
- 質問
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解決
死者や幽霊が額につけている白い三角巾について,名称と意味を知りたい。
- 回答
-
下記資料を御紹介します。※【 】内は当館請求記号です。
資料1 松本慈恵『図説葬儀』国書刊行会, 2001【385.6/018】
p.74「天冠(てんかん)」の項
「白い三角形の晒でできたものが鉢巻についたもので、頭巾、三角巾、かみかくし、紙烏帽子、布帽などと呼ばれているが、地方によっては紙半というところもあり、これを参列者もつける場合がある。」
資料2 山田慎也『現代日本の死と葬儀』東京大学出版会, 2007【385.6/079】
p.247「4 納棺にみられる死出の旅路観の形成」の項
「(前略)額に着ける三角は「テンカン(天冠)」といい(後略)」
p.258「(29)冠婚葬祭互助会の組合の一つ「全互連冠婚葬祭中央協同組合」が編集した職員用テキスト『葬祭実務』によれば,天冠は「中国の習俗からきており、白色は死装束に共通した清浄を意味している。天冠をつけないと、閻魔大王に失礼にあたるといわれている」と記載されており(テキスト編集委員会編、一九九二、一七九)、平安祭典においてもこのように説明されている。」
資料3 岩井宏実『〈言い伝え〉のおもしろ謎学』青春出版社, 1993【388.81/937/Bセイシ】
pp.115-116「【死者の額には三角巾をつける】」の項
「(前略)中国では、かぶりものをしないものは野蛮人とみなしたので、みな冠をかぶっていた。そこで死者も、閻魔王の前に出る際には、冠をつけていなければならない。特に死者は清浄であることを表明するために白い冠をかぶるものとされた。死者の額につける三角の布や紙を「天冠(てんかん)」というように、この白い冠が形式化したものである。つまり、天冠は閻魔の庁を通る際の礼装ということになる。(後略)」
資料4 新谷尚紀『お葬式』吉川弘文館, 2009【385.6/092】
pp.57-58「白装束に三角布の意味」の項
「白装束に額の三角布というのは、死者と同じ成員であるということを表現していると民俗学では解釈します。現世から他界への移行の途中にある人、またある世界からよその世界へと移行する途中にある人というのは、太陽を避けて頭部に笠や布などの被り物をするのが通例でした。(後略)」
資料5 近藤直也『祓いの構造』創元社, 1982【386/コ1】
p.68「儀礼的誕生」の項
「(前略)葬式の場合は死が確認されるまでは生者であり、生者からすぐ死者の世界へ行くわけでなく、一定期間、換言すれば死者になりきるための期間に、三角布が額につけられていたと思われる。(後略)」
資料6 吉野裕子『日本人の死生観』人文書院,1995【387/953】
p.92「第三賞 喪屋 人から蛇へ」の項
「三角の額当て(中略)三角形の造型の意味は多々あろうが、視点を古代におけば、それはまったく単純素朴な毒蛇の頭部、あるいはその鱗の造型に還元される。葬儀における「三角の額当て」は、蛇の面を意味し、それをつける葬送人は、全員が蛇と化る。その類感呪術によって、死者をさらに確実に蛇に昇化させるのである。」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 通過儀礼.冠婚葬祭 (385 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 死装束
- おばけ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000252134