『定本 柳田国男集 第22巻』(筑摩書房 1962)p.428を確認したところ、「たしか昭和初年の大阪朝日新聞三重版にも、宇治山田市警察署の調査が転載してあつて、其中に狼一頭とあつたやうに記憶して居るが、生憎その切抜きを見失つて、年月日を確かめることが出来ない。」とありました。昭和初年は、12月25日から31日までの期間しかないため、昭和2年のマイクロフィルムで三重県版の記事の見出しを確認したところ、昭和2年5月19日の三重県版に「津署管内における獵期間(※去年10月から4月)中のえもの」という記事がありました。
さらに、大阪朝日新聞三重版の昭和2年から5年の5月の記事を確認したところ、狼に関する記事が見つかりました。昭和4年5月31日の記事で「二千十二匹の獸類 狼も捕れた神都管内」という記事が見つかりました。記事には、宇治山田警察署管内の鳥や獣の狩猟高の内訳が書いてありました。内訳には、狼三とありました。
昭和2年5月19日の三重県版に「津署管内における獵期間(※去年10月から4月)中のえもの」の記事にも、鳥と獣の狩猟高の内訳があり、獣については「兎、いたち、猪、狸、狐、鹿」の記述がありました。