2009年10月2日付の日本経済新聞によると旧制一高寮歌「アムール川の流血や」、軍歌「歩兵の本領」、メーデー歌「聞け万国の労働者」の本歌が軍歌「小楠公」(『鼓笛喇叭(らっぱ)軍歌 実用新譜』(永井建子/著 1899))にあると藍川由美氏が突き止めた、とあります。
この『鼓笛喇叭軍歌実用新譜:附・譜学ノ解説預行、図解』(永井建子/著 共益商社 1899.6)は当館では所蔵しておりませんが、国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで本文を確認することができます。
≪国立国会図書館近代デジタルライブラリー≫
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/85484244頁から詞が載っております。長いので最初の部分のみ記載いたします。
楠の大木の枯しより 黒雲四方に塞がりて
月日も為に光なく 悪魔は天下を横行し
下を虐げ上をさへ あなどり果て上とせず
吹き来る風は腥さく 人馬の音は絶間なく
芳野の山に春来れど 花を尋(?)ぬる人もなし
君か大御代千代千代よ 囀る鳥の声聞くは
(以下略)
47頁には楽譜の掲載されています。
なお、国立音楽大学附属図書館の≪童謡・唱歌索引≫を「小楠公」で検索すると、4点の作品がヒットします。
1.「おおきみのためいちぞくのちしお」を歌い出しとするもの。
2.「つゆのはれまのさくらいにわかれし」を歌い出しとするもの。
3.「ちちにわかれてはやもととせははが」を歌い出しとするもの。
4.「ああまさしげよまさしげよ」を歌い出しとするもの(竹内節/作詞)。
このうち、4は『明治回顧軍歌唱歌名曲選』(堀内敬三/編 名著出版 1989.1:京文社 1932.1刊行の復刻)の17頁に音符と共に歌詞が載っておりますが、メーデー歌とは別のメロディとなっています。
また、2は『日本教科書大系 近代編 第25巻 唱歌』(海後宗臣/編 講談社 1965.9)474頁に掲載されていますが、この歌のメロディもメーデー歌とは異なっており、いずれも永井建子のものとは違います。
また、菟道春千代/歌 永井建子/曲の軍歌「小楠公の曲」という歌も近代デジタルライブラリーで確認できましたが、歌詞、メロディともに別もののようです。
≪国立国会図書館近代デジタルライブラリー≫
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/855385※「メーデー歌」は『日本のうた 第1集 明治・大正』(野ばら社編集部/編 野ばら社 1998.6)299頁で確認しました。