レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010/02/13
- 登録日時
- 2011/01/13 02:00
- 更新日時
- 2011/01/18 16:41
- 管理番号
- 6000000421
- 質問
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解決
鳥居の起源や形、色について知りたい。稲荷神社の鳥居がなぜ赤なのか等。
- 回答
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当館所蔵資料より、以下を紹介。
資料1:p212~213に「赤い稲荷鳥居だが(中略)仏教の伝来と共に支那建築の手法が影響したと観るべき」とある。また、序のp7~8「凡例」に鳥居の部分名称の図と解説がある。p12には、鳥居の形式は8類36形64種に及んでいるとあり、以降、それぞれの形式についての解説がある。
資料2:p2~16「鳥居のはじまりと語源」に、外国に起源を求める説として、①古代インドの垣の門、Torana(塔門)②中国の華表(宮殿や墓所などの前に立てた標柱)③朝鮮の紅箭門(墓所や廟などに立てた紅色の門)などが挙げられている。
日本独自なものとする説としては、⑥原始時代に身を守るために周りを垣で囲い、入り口に二本の柱を建てたのが始まりとする説 ⑦「於不葺御門」(延暦23年(804)の「皇大神宮儀式帳」に記述がある)が最初の形とする説 ⑧「通り入る」を約して「とりゐ」となったとする説 ⑨古代の塚穴、石廓の入り口にある羨門が原形とする説 などの諸説がいくつも挙げられているが、「いずれも定説とするには足りないように思われる」とある。
p17~45「鳥居―起源とかたちいろいろ」には、22種の鳥居について解説がある。
p73「鳥居の色」では、「近藤喜博氏は『稲荷信仰』という著書のなかで、「朱塗の社殿には、実は原始神の一般的属性となっていた荒振るものの性格から考えられる色釈(朱塗)によるものがすでにあったと考え」られ「そうした性格の神々の上に寺院の朱塗が荒振るものの炎の怨念に結びつき、さらにそれを助長したのだと見る」ことができると述べており、鳥居の朱色もまた、このような信仰の上に立って成立しているものと考えることができるのでは」ないかとある。
資料3:p117~119「稲荷と朱」のなかにp117「朱の鳥居」があり、なぜ鳥居が赤く塗られなければならないかの明確な理由づけは今日なおされていないとしながら、私見として、「狐は土徳の持主である。陰陽五行思想において、土を生じるものは火でなければならない。「火生土」「火、土を生ず」の理である。火の色はもちろん赤色である。そこで稲荷祭祀の始まる場所、つまりその入口には何を措いてもまず火気の象徴である朱の鳥居をもうけることになったと思われる」とある。
- 回答プロセス
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自館OPACで、「鳥居」「稲荷神社」等のキーワードで検索。
- 事前調査事項
- NDC
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- 神社.神職 (175 8版)
- 民間信仰.迷信[俗信] (387 8版)
- 参考資料
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- 鳥居の研究,根岸榮隆/著,第一書房,1986, (1986、p210~214「稲荷鳥居はなぜ赤い」、序p7~8「凡例」 【資料1】)
- 鳥居,川口 謙二/[ほか]著,東京美術,1987.8, (1987、p2~16「鳥居のはじまりと語源」、p17~45「鳥居―起源とかたちいろいろ」、p73「鳥居の色」 【資料2】)
- 狐,吉野裕子/著,法政大学出版局,1980, (1980、p117 ~119「稲荷と朱」 【資料3】)
- キーワード
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- 鳥居(トリイ)
- 稲荷神社(イナリジンジャ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000076423