・『仏教美術事典』東京書籍 2002の説明が簡潔です。
p.245”金(きん)”の項によると、
「殊に仏教美術では、仏の三十二相に金色相が含まれることや、仏国土や仏の説法の場を
善美を以って飾りたてる荘厳(しょうごん)の意味から美術作品に金が多用されてきた。
(中略) 金は装飾性と聖性という両義性を有しており、そのため仏教美術では特に好まれた
といえよう。」とあります。
また、p.248”金箔・銀箔”や、p.441”荘厳(しょうごん)”の項でも同様の説明があります。
それによると、仏教芸術に金が多用されたのは、金銀の他に「玉、螺鈿、朱などの高価な財宝が
ふんだんに用いられた」”荘厳”の一環でもあり、仏の姿や仏の世界のイメージを「現実の可視的
な空間に再現する」ことで「信者に仏教界の理想を感性的に確信させる」ためともいえるようです。
その他、仏教美術と金の関係について参考になりそうな資料を紹介します。
・『色彩の魔力』浜本隆志・伊藤誠宏編著 明石書店 2005
p.146~「第4章東西美術の光輝く色彩」
・『「かざり」の日本文化』辻惟雄編 角川書店 1998
p.60~76「日本美術における金(須藤弘敏著)」特にp.66~”仏教美術と金”
・『仏教美術入門3 大乗仏教の美術』平凡社 1990
p.67~108「仏の国(浄土)の表現」特にp.72~”浄土の荘厳”
金を含む七宝で装飾して、浄土を表現する”荘厳”について述べられています。
・『色彩と人間』武井邦彦著 時事通信社 1991 p.208~