島根県の方言は地域によって、大きく「出雲弁」「石見弁」「隠岐弁」の3つに分けられる。ここでは方言を知るための比較的読みやすい資料を中心に紹介する。
【島根県全域】
『島根県のことば』日本のことばシリーズ32/平山輝男、友定賢治/明治書院/2008年-前半の総論で地域的特徴を解説し、後半で「方言基礎語彙」と「俚言」「生活の中のことば」を紹介する。「表現基礎語彙」では標準語の単語に対して方言をあげ、音声記号と意味説明を付す。
『出雲弁・石見弁』山陰文化シリーズ14/森山俊雄/松江今井書店/1965年-出雲弁と石見弁について、主に発音・発声上の特徴を中心に解説する。
『誤解されやすい方言小辞典』篠崎晃一/三省堂/2017年-標準的な意味と異なる意味を持つ方言を紹介。島根県のみではなく周辺地域(中国地方など)も含んだ方言が多い。「すがる」「だんだん」「なえる」「はやす」「ほえる」「ほそい」「ぼやぼや」「みやすい」「よろこぶ」「わに」。
『島根県方言辞典』広戸惇、矢富熊一郎/島根県方言学会/1963年-方言から意味、標準語から方言を引くことができる辞典。単語ごとに主な方言の使用地域も記載。
【出雲弁(島根県東部)】
『楽しい出雲弁 だんだん考談』藤岡大拙、小林忠夫/今井書店/2001年-方言の表現をあげて解説する。巻末には歌謡曲の歌詞を出雲弁に変えた「出雲弁替え歌」(「岸壁の母」「お久しぶりね」など)を掲載。
『楽しい出雲弁 爺と婆の世間話』奥野栄/山陰中央新報社/2003年-1つの方言をテーマにあげ、おじいさんとおばあさんの会話形式で紹介。上段に方言の会話、下段に「共通語訳」を載せる。付属のCD-ROMでは、本文のうち12話を地元のラジオパーソナリティが吹き込んだ音声を聞くことができる。
『出雲弁談義』藤岡大拙/ハーベスト出版/2008年-ご隠居さん・オカッツァン(奥さん)・隣のワケシ(若者)の3人の会話形式。ワケシがご隠居さんに質問し、ご隠居さんが出雲弁で答える。ご隠居さんの会話の横には標準語の意味が併記されている。巻末には索引(標準語から方言を引く)あり。
『出雲のことば早わかり辞典』牧野辰雄/2001年-50音順に、方言から意味を引くことができる辞典。一部用例も載せる。
『出雲方言とその周辺』出雲市民文庫7/広戸惇/出雲市教育委員会/1990年-動植物に関する方言を解説する。小鳥(ほおじろ、せきれい等)、魚・昆虫・小動物(めだか、コオロギ、もぐら等)、植物(いたどり、どくだみ、きのこ等)について、古典籍なども引用しながら解説。
『出雲弁で“はなさや” 観光客も地元人も使える出雲弁会話集』とうほん倶楽部/2020年-観光客との場面会話集。出雲弁に日本語(標準語)・英語・フランス語・ドイツ語を併記する。「道を聞く」「お土産品店での会話」「ホテルでのやりとり」など。重要単語・熟語、付録にエッセイなどを掲載。
『出雲の方言』漢東種一郎/1961年-新聞連載をまとめたもの。12ヶ月で構成され、見出しの方言とその意味、用例の会話と標準語訳を載せる。
【石見弁(島根県西部)】
『あきらとあづさの石見弁ばんざい』神本晃、中山あづさ/山陰中央新報社/2013年-方言の単語を1つあげて、会話形式で意味を紹介。
『ふるさとの宝 石見の方言を訪ねて』神本晃/山陰中央新報社/2009年-新聞連載をまとめたもの。見出しの方言と、その意味などを簡単に説明する。
【隠岐弁(隠岐諸島)】
『隠岐布施地域の方言』竹谷素信/隠岐郡布施村役場/1969年-隠岐・島後の布施村(現・隠岐の島町)の方言集。「対人関係」「身体」「農、林、漁業」など分類ごとに方言とその意味を紹介する。
『隠岐島の昔話と方言』浅田芳郎/郷土文化社/1931年-隠岐地方の民話と方言を紹介。方言は「天文地理」「衣食住」など分類ごとに方言(単語)と意味を載せる。
『隠岐方言の研究』神部宏泰/風間書房/1978年-隠岐方言の研究書。前半は研究論考だが、後半に「生活語彙」「生業語彙」など分類ごとの方言(単語)を紹介する。