レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/03/18
- 登録日時
- 2018/04/06 00:30
- 更新日時
- 2018/04/24 10:22
- 管理番号
- 6000039321
- 質問
-
解決
大阪堺市の「浜寺餅」で、不凍たんぱく質という物質を添加することで、冷めても固くならない餅を実現しているというような記事を新聞で読んだ。この物質の餅を柔らかくする仕組みを知りたい。
また、βアミラーゼという酵素を加えることでも餅を固くならないようにすることができるときいたが、この仕組みとの違いも知りたい。
- 回答
-
不凍たんぱく質は自然解凍後も元の軟らかさを保とうとするもので、その仕組みは食品中の水分が凍って結晶化する際に食物の細胞を傷つけないようにするもの。
β-アミラーゼはα化したデンプンを軽度に分解することで老化しにくくするもの。
それぞれについて下記の資料を提供した。
<不凍たんぱく質>
●【新聞記事】『解凍後も変わらずおいしい 「不凍たんぱく質」効果 味・食感・鮮度保てます』(読売新聞:2014年6月2日)
●『ぜひ知っておきたい日本の冷凍食品』野口 正見/著 幸書房 2011(588.9)
<β-アミラーゼ>
●『地域食材大百科 第6巻』農山漁村文化協会 2012(498.5)
●『よくわかる暮らしのなかの食品添加物』谷村 顕雄/監修 光生館 2007(498.5)
○【Webサイト】農文協
(http://www.ruralnet.or.jp/syokunou/200701/01_3.html) 2018年3月18日確認
○【Webサイト】広島県食品工業技術センター
(http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/syokuhinfaq/faq73.html) 2018年3月18日確認
- 回答プロセス
-
1.不凍たんぱく質について調べる
▽新聞記事 読売新聞データベース(ヨミダス)を「浜寺餅」で検索。
●『解凍後も変わらずおいしい 「不凍たんぱく質」効果 味・食感・鮮度保てます』2014年6月2日
→堺市の和菓子店「浜寺餅 河月堂」が、不凍たんぱく質を加えた餅を開発したとの記事。「従来の冷凍餅は、解凍後に加熱しないと食感が悪かったが、エキスを加えたことで自然解凍でも餅らしい軟らかい食感が楽しめる」とある。記事で不凍たんぱく質が、氷の結晶の成長を抑え、氷の結晶が食物の細胞を傷つけないようにするメカニズムが図入りで紹介されており、不凍たんぱく質は、冷凍したものを解凍した後の軟らかさを実現するためのものであることがわかる。
ほか、『つきたて食感 長もち アスリート向け 解凍してもおいしく=大阪』(2014年2月28日)などの記事もあり。
▽リサーチナビ「不凍たんぱく質」で検索
●『ぜひ知っておきたい日本の冷凍食品』野口 正見/著 幸書房 2011(588.9)
→PP.158~159に不凍たんぱく質についての解説あり。
2.β-アミラーゼについて調べる。
▽餅に関する資料をあたる。
●『地域食材大百科 第6巻』農山漁村文化協会 2012(498.5)
→PP.18~19「もちを硬くしないための方法」あり。
糖化酵素(β-アミラーゼ)を添加し、糊化澱粉を軽度に分解し、老化を進みにくくして硬くなるのを抑制する」「この方法は、だんごなどで採用されている」とある。
▽食品添加物の資料を探す。
●『よくわかる暮らしのなかの食品添加物』谷村 顕雄/監修 光生館 2007(498.5)
→PP.114~115にβ-アミラーゼについての解説あり。でん粉分子を切断し、麦芽糖とともに老化しにくい性質の巨大な分子β-リミットデキストリンを生成するとある。
▽インターネット検索(餅 柔らかい 添加物)
○農文協のWebサイト こども農業雑誌『のらのら』2007年1月号の内容紹介ページに「もちを固くしない方法は?」という記事あり。
(http://www.ruralnet.or.jp/syokunou/200701/01_3.html) 2018年3月18日確認
→「酵素を加える」の項目に、「デンプン分解酵素(とくにβアミラーゼ)を加えて、α化したデンプンを軽度に分解し、β化しにくくする」という解説と、βアミラーゼを加えることでαデンプンの末端の麦芽糖を切り離すという図解あり。参考文献として『食品加工総覧』第四巻(農文協)が挙げられている。(府内公共図書館に所蔵なし)
○広島県のWebサイト内の「食品工業技術センター」のWebページ
食品工業技術センター> 研究開発・成果> 食品企業のためになるQ&A No.1>73 餅類の軟らかさを保つ方法
(http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/syokuhinfaq/faq73.html) 2018年3月18日確認
→餅菓子類に対する硬化抑制剤として、澱粉の分子を切断し,老化を起こりにくくする酵素である“β-アミラーゼ”の紹介あり。「普通、無添加の製品に比べて添加製品は、2~5倍の硬化遅延の効果」があると解説がある。
酵素が活性する温度とpH、添加時期や添加後の品温の注意などについても記載。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 衛生学.公衆衛生.予防医学 (498)
- 参考資料
-
- 『地域食材大百科第6巻』 農山漁村文化協会
- 『よくわかる暮らしのなかの食品添加物』 西島 基弘/監修 光生館
- キーワード
-
- 料理(リョウリ)
- 調理(チョウリ)
- 餅(モチ)
- 糖化酵素(トウカコウソ)
- 不凍たんぱく質(フトウタンパクシツ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000234407