レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年11月07日
- 登録日時
- 2017/11/13 15:12
- 更新日時
- 2017/11/17 12:04
- 管理番号
- 2017-3
- 質問
-
解決
昭和4年の中学校第三学年、数学の授業で秋に何を教えていたか単元を知りたい。
試験問題はどのようなものであったかも知りたい。
また、教員はテストの採点をどのようにしていたか、赤で採点していたか、テストの答案用紙の紙質、解答欄、
点数のつけ方は漢数字かアラビア数字かについても知りたい。
- 回答
-
昭和四年の学校教育の時代背景について確認した。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1317569.htm
当時の学制の区分:大正8年~昭和19年 中学校・高等女学校(12歳~17歳)・高等小学校(~15歳)
第4 期(大7(1918)~昭9(1934))黒表紙教科書時代(第三期国定教科書)
・のち昭和六年に学習改定がなされた。算術と代数・幾何が一緒になった。それ以前は大正七年からの自由教育時代。
【参考】「新制中學研究叢書」東京高師附中新教育研究會編 ; 第1巻 總論 日本教育振興會, 1948.
p138-139
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・中学校数学・第三学年の単元は代数と幾何。二学期の教授要目(日本中等教育数学会案による)
【代数】=一元二次方程式の根と係数との関係及び根の吟味
一元高次方程式分数及び文字方程式連立二次方程式及びその応用問題
【幾何】=軌跡 作図題 面積
(典拠: 「數學教育の諸問題」村上羲著. -- 厚生閣書店, 1928.
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/BB00023224)
「近代数学」と学校数学-数学の普及の歴史から/公田 藏(Osamu Kota)
数理解析研究所講究録1064巻1998年 p75-91
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1064-7.pdf
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*当時の教科書について
当時使用された教科書はここのサイトで全文見られる。
*広島大学教科書コレクション画像データベース
http://www.lib.hiroshima-u.ac.jp/?page_id=462
キーワード:幾何、または代数で検索。
昭和4年以前の教科書を紹介。
http://dc.lib.hiroshima-u.ac.jp/text/keywordSearch?v=20&s=none&q=%E5%B9%BE%E4%BD%95&o=20
「中学教科新平面幾何学」寺尾壽編/冨山房/昭和3
http://dc.lib.hiroshima-u.ac.jp/text/metadata/2031
「初等代数学教科書」(大正15)東京開成館
http://dc.lib.hiroshima-u.ac.jp/text/metadata/4905
【参考】 「日本数学教育史」/松原元一著 ; 1 算数編(1) - 4 数学編(2). -- 風間書房, 1982.
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/TW00005496
*試験問題:
「戦前高等教育機関の「物理」「数学」入試問題の分析」/中 島 直 忠 編/広島大学高等教育研究開発センター
(PDFで全文掲載)
http://rihejoho.hiroshima-u.ac.jp/pdf/sosho/so86.pdf
*附録に入試問題あり、ただしふりがなはカナではなくひらがななので、教科書の出題の文章を参照のこと。
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その他の質問について
Q:教員はテストの添削をどのようにしていたか?
A:赤鉛筆が妥当か。
この時期、教員の俸給が減給された。
「万年筆は高価で買えないので、付けペンで原稿を書く」(「教育時論」昭和四年の投稿欄にあり)
→赤いインクのペンはこの時代ではあまり普及していないと推測される
当時のの鉛筆一本の値段は一銭。
【参考】鉛筆と日本の鉛筆工業の歴史 - 日本鉛筆工業協同組合
http://www.pencil.or.jp/company/rekishi/rekishi.html
色鉛筆は当時よく使用される画材だった。
Q:点数の表記は漢数字かアラビア数字か?
A:アラビア数字で書いたと思われる。
洋数字が一般に知られるようになったのは明治期の「算術」で教えるようになってから。
1872(明治5)年文部省が小学校を創設するにあたり洋算を採用。
(典拠:「学校ことはじめ事典」佐藤秀夫/小学館.1987)
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/TW00046376
Q:答案用紙の紙はどんな材質であったか?
A:国産の安価な洋更紙
典拠:「 ノートや鉛筆が学校を変えた佐藤秀夫著. -- 平凡社, 1988. -- (学校の文化史)
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/TW90006160
当時の印刷はガリ版(謄写版)印刷(*先生の手書き)
日露戦争以後謄写版の普及により官庁・学校の印刷に多用された。
【典拠】
1)ガリ版ものがたり / 志村章子著||: 大修館書店 , 2012.3
2)YOMIURI ONLINE 学校 モノ・風景
1枚ずつ印刷 手作りの味…ガリ版
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/special/CO015551/20150522-OYT8T50083.html (すべてのサイト最終確認2017.11.1)
- 回答プロセス
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当時の社会的背景・学生の区分など372の教育史関連資料を当たり内容を確認。
大正自由教育期~昭和前期(戦前)の教育史の時代区分を知る。
「教育持論」昭和4年前後を確認。当時の教育状況・教育問題・教員の投稿などを参考にする。
この時期の著作物で所蔵資料を調べる。
中学校教育-教科教育-数学教育の資料を目次をざっと確認して該当する項目を探す。
同様に戦前の数学教育を扱った論文等をネット検索。
本学所蔵の教科書コレクションで該当する年度の数学教科書を検索。
現物貸借不可のため、画像データベースで内容が見られるものがないか国会図書館・他大学資料をネットで検索。
- 事前調査事項
- NDC
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- 教育史.事情 (372 9版)
- 参考資料
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村上羲. 數學教育の諸問題. 厚生閣書店, 1928.
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/BB00023224) (当館請求記号 B2F/和書 375.41||Mu) - 東京高師附中新教育研究會編. 新制中學研究叢書 第1巻 總論. 日本教育振興會, 1948. (新制中學研究叢書) (当館請求記号 B2F/和書 376.3||To||1)
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松原元一. 日本数学教育史 数学編(1)(2). 風間書房, 1982.
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/TW00005496 (当館請求記号 B2F/和書 375.4102||Ma||3) -
佐藤秀夫. 学校ことはじめ事典. 小学館, 1987.
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/TW00046376 (当館請求記号 2F和書 372.1||Sa) -
佐藤秀夫. ノートや鉛筆が学校を変えた. 平凡社, 1988. (学校の文化史)
https://opac-ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/webopac/TW90006160 (当館請求記号 B2F/和書 372.1||Sa) -
志村章子. ガリ版ものがたり. 大修館書店, 2012.
https://www.kinokuniya.co.jp/c/20140416121154.html (当館請求記号 2F和書 749.8||Sh)
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村上羲. 數學教育の諸問題. 厚生閣書店, 1928.
- キーワード
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- 戦前の学校教育
- 中学校数学
- 教科書
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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以下の機関にも問い合わせるよう案内した。
当時の紙について:紙の博物館
http://www.papermuseum.jp/library/search.html
学校風俗関係について:京都学校歴史博物館
http://kyo-gakurehaku.jp/
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 団体
- 登録番号
- 1000224606