レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年05月29日
- 登録日時
- 2019/07/26 16:16
- 更新日時
- 2019/09/07 10:08
- 管理番号
- 相-190002
- 質問
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解決
宮廷の重要な行事に亀卜がありますが、それはどのような時に、どのような判断を占ったのでしょうか。亀卜は宮廷行事だけでなく、大きな神社でも行われたようですが、宮廷行事での亀卜の実際を知りたい。
大嘗祭で用いる米の産地以外に、どのような場合があるのか、また、どのように判断したのか(例えば、二択なのか、三択、四択か。それとも多数の中の一つを指定するやり方なのか)を知りたい。
- 回答
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次の文献、情報を紹介しました。
○どのような場合に亀卜を用いたか
・『平安時代史事典 上』古代学協会・古代学研究所編 角川書店 1994
p.639に「亀卜」が立項されており、「亀卜は神祇官で神祇関係の事に多く用いられ、その他は陰陽寮で易筮が行われ、両者を官卜寮占といった」「甲の表面に卜兆(亀裂)を生じさせ(中略)その形状を占書の基準と照合して吉凶を判断する」「平安時代には、朝廷の大事や年中行事でも宮主・卜部らに卜わせた」等の記載があります。
・『皇室事典』皇室事典編集委員会編 角川学芸出版 2009
「9 皇室と宗教文化」のp.480~483に「119 陰陽道など」の項があります。p.480~481「【道教と陰陽道】」には「軒廊御卜は、天変地異が発生した際、また大嘗祭の悠紀国・主基国の卜定に際して、宮中紫宸殿の東軒廊において行われた卜占をいう。神祇官に亀卜を、陰陽寮に式占を行わせて、それぞれの結果を奏上させた」とあります。
・『亀卜』東アジア恠異学会編 臨川書店 2006
p.48~53「コラム 斎宮と亀卜」に「『延喜斎宮式』に見られる亀卜に関する条項」についての記載があり、「斎宮には定期的に卜を行う卜庭があり(中略)斎王の選定のような重要事項、重要儀礼の日程を選定すること、儀礼の場で斎王に仕えるものを選定すること、その他井戸を選定することが卜の対象となっていたことがわかる」「斎宮寮には陰陽師がいないので(中略)つまり、斎宮の「卜」は亀卜で行われていたのである。ただし、京で行われる儀礼日程の選定などは陰陽寮が行っていた可能性が高い」とあります。
○どのように亀卜を判断したか
・『稲と祭儀』にいなめ研究会編 協同出版 1967
p.8~9「卜定の方法」に「後世の亀卜秘伝書が秘伝とするごとき複雑な事象に対して判断を下すといったものではなく、要は、可なりや不可なりや、吉なりや不吉なりやの卜問いに過ぎなかったものであろう」とあります。
・『国史大辞典 第7巻』国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1986
p.867に「新撰亀相記」が立項されており、「卜部氏の職掌とした亀卜の由来、方式について記した書。天長七年(八三〇)八月、卜部遠継の撰と伝える」とあります。参考文献として『新撰亀相記抄講義』角田忠行著 が挙げられています。
・『新撰亀相記抄講義 上・下』角田忠行著 会進社 1913
※こちらの資料は、図書館向けデジタル化資料送信サービスにより国立国会図書館の承認を受けた図書館内の指定のパソコン端末で資料を閲覧することが可能です。
・『新撰龜相記の基礎的研究』工藤浩著 日本エディタースクール出版部 2005
「Ⅰ校本の部」「Ⅱ研究の部」から成り、新撰龜相記校本と参考資料、関連する研究等が収録されています。
p.179に「「亀相部分」は(中略)実際の亀卜の手順が述べられる。(中略)亀裂は、それが生じた位置によって(中略)それぞれが神・人・天・地・兆の吉凶を表すとされる。亀裂の状態は卦と呼ばれ、天・地各二十九、神・人各三十八、兆三の計百三十七卦がある」とあります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210)
- 相法.易占 (148)
- 参考資料
- キーワード
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- 亀卜
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000259123